426
「私はランサーのマスター 藤丸立香のクローン」
「私はセイバーのマスター 藤丸立香の…」
「…藤丸立香のクローンだけで聖杯戦争をさせ、高みの見物ということですか
皆様も考えは同じですな?」
「あったりまえだ!仕組んだ奴全員ころす!」
「あの方を侮辱した者に死を!」
英霊達は団結した
427
「召喚に応じ参上いた…」
道満は目を見張った
目の前には確かに『藤丸立香』が、でも
「…違いますな」
「私は藤丸立香を元にしたクローン、聖杯戦争を勝ち抜く為に
私を殺しますか?代わりはいくらでも」
「いいえ!勝ちましょうぞ!それより貴方を作ったのは、誰ですかな?」
『藤丸立香を弄ぶな』
428
「…お母さんはどうした」
「りこんして、働いて、車がぶつかって死んじゃった」
「今はどうしてる」
「おばあちゃんの家、でもおとうさんがゆうかいされた!って私を探してる」
「…はぁ〜分かった藤丸立香!
お前の心配、やり残した事
コイツの敵全部ぶち殺してクソハッピーエンドにしてやるよ!」
429
聖杯戦争で召喚されたオベロン
「おい全てぶっ壊す奈落の虫を召喚とか、勝つ気ないだろ…」
呆れて前を見るとオレンジ髪の少女
「藤丸立香!?」
「ううん、立香はおかあさんの名前
困ったらコレ使ってお祈りしろって」
その子の手には
虚影の塵の入った箱が握られてた
『私の子を助けてオベロン』
430
「うち、立香の従姉妹や」
黒髪の従姉妹と共に藤丸立香は大学入学
下戸の立香と違い従姉妹はザル
下世話な者は「食いまくり」と噂
立香に近づく男を片っ端から誘うと
「立香ちゃんかわいそー」
「大学から消えた奴もいた」
…
「ありがと、酒呑童子」
「旦那はん人気者やからね」
角を隠した鬼は笑った
431
「顕光殿は呼べませんな
宝具は広範囲に影響がでますし、費やす魔力も大きい
しかし我が武器はそれだけにあらず
マスターもご存知でございましょう?
本来拙僧は陵辱を好みますが、アルターエゴの拙僧はマスターのせいで丸くなりましたからな
あなたの嫌がることはいたしませぬ
…心配いりませぬぞ」
432
「平和が好きなお方でしたからなあ
魔術師共は皆殺しに、一般人はなるべく殺さず終わらせてみせますぞ
そうしたらお墓を探しましょう!きちんと戻して、お納めいたします
お母様とお父様とまた一緒に眠らせて差し上げます
だからそれまで、拙僧といてくだされ」
骨壷を持って聖杯戦争をする、道満の話
433
聖杯戦争
その魔術師はアルターエゴを召喚したく
「これ以上の触媒はない」
陣が光りサーヴァントが
「おや!拙僧を召喚するとは!どうやって…」
召喚された道満が見たのは
藤丸立香の 小さな骨壷
途端道満は魔術師を裂き殺した
「小さくなりましたな、マイマスター」
『この方の眠りを妨げるな』
434
サポートのドラコーが帰還
「先程の戦闘で敗北した」
「…そこのカルデアは?」
「滅びたろうな、マシュは即死
マスターも致命傷
きちんと看取って帰ったぞ
新米でな、死にたくないと泣き喚くのをなだめ…うむ…
余は繁栄したものを食らう
卵から出たての雛は、口に合わぬ」
『生き抜いて欲しかった』
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「拙僧が、拙僧が地獄にお供いたしまするぞ〜!!」
「いいえ私と一緒に冥界にくるのだわ!」
「戦士なら大歓迎だ」
「ええいせっかくのしんみりムードが台無しではないか!まったく
この者の周りは死んでからも騒がしい!
余は独りであったからな
どこへいくにも賑やかが一番良い
後は、頼んだぞ」
436
負けた
サーヴァントも消え
己の血溜まりに沈む藤丸
「独りで知らないとこで死ぬの…寂しいなあ…」
虚空に伸ばした手をドラコーがとる
「そっか…単独顕現」
「…安心せよ、余が看取る
大義であったな
死後は別の者が案内しようが…今際の際は余のものよ」
「ありがとう…」
『お疲れ様、藤丸立香』
437
「ええ、母ですよ?」
そう笑う頼光はあまりにもあの人に似ていて
……
「娘に手をあげるなんてっ!」
ズシャ
「私の娘をよくも!」
グシャ
「はぁっ、はあっ、あの子は私が守ります
絶対カルデアに来られるように
邪魔な者は、いりません
…父親に疎まれ追いやられるのは私だけで充分」
438
父の酒のせいで母は蒸発
内縁の妻を連れ込んだ
でもその人はとても優しかった
「立香、母ですよ、大丈夫」
父が私に手をあげるとその人は怒り、父は消えた
その後も面倒見てくれた
黒髪のきれいな人
お母さん、と呼べなくて申し訳なかった
……
カルデアで頼光を呼んだ時全てを悟った
「…お母さん」
439
「道満がついてくるって言った時はビックリしたけど、悪さしないし良い子じゃん!」
「当たり前です!それにせっそ、私のショートカット、似合ってございましょう?」
「うん!イケメン」
……
「次のニュースです〇〇大学の教授が…
……
「△に勤める〇〇さんが変死で発見…
『あなたを守ります』
440
日常に戻った藤丸立香
「藤丸さん可愛いよな」
「やっちまえよ!」
飲み会で薬を盛った男達
しかし藤丸は無反応
「おかしいな」
「何がです?」
背後に大男
こんな奴サークルにいた?
あれ、俺ら、変
……
「〇〇大学の男子学生らが遺体で発見され…
「同じサークル!怖いね道満」
「そうですなあ」
441
「何で髪の毛を持ち歩いてたか、ですか?
はい、大切な人、存在、の髪だったので」
指紋も無く監視カメラに映像が写っていたため、奇妙な事件として不問に終わった
道満の髪の毛は警察に押収されたが、その日のうちに鞄に戻ってきた
「…おかえり」
そういうと、嬉しそうに髪は藤丸の指に巻き付いた
442
全て終わり退去の時
道満が髪を切り渡した
「形見です」
なぜか髪は消えずに残り
なぜか藤丸はそれを肌身離さず持ち歩いた
ある夜
帰り道藤丸は男に襲われた
「むぐぅーー!」
その時鞄から髪の毛が飛び出し、相手の首を絞め殺した
……
「これを拙僧と思ってくだされ
必ず御身を守りますから」
443
「軽くなりましたなぁ」
「うふふ、そうかもねえ」
「戦闘で負傷されておぶった時を思い出しますなあ」
「今思えば懐かしいな」
光が見える
「さあ、ここまでです
少し歩くだけでございますよ」
「道満は?」
「拙僧はここまで、それではごきげんよう、マイマスター」
『あなたは安らかにいて』
444
天寿を全うした藤丸立香
「…これで終わり…どこに行くのかな私」
「お迎えに参りましたぞ」
道満が笑う
「私のことわかる?しわくちゃになっちゃったのに」
「間違える筈もありませぬ!
さあ行きますぞ」
「地獄に?」
「どこでしょうなあ、まあ拙僧におぶさってくだされ」
「あはは、ありがと道満」
445
「藤丸あんた何か憑かれてんじゃないの?」
「…確かにね、でもいいんだ」
これでいい
そう思ってた
前と違い何一つ不足なく、結婚しようとしてた婚約者が倒れるまでは
「私を独占したかったんだね…分かったよ道満」
それでも藤丸は符を捨てなかった
「沢山貰ったあなたに、私の全部をあげる」
446
全て終わり世界は元通り
普通の社会人になった藤丸
「藤丸、この無能!」
怒鳴った上司は肝臓を悪くし入院
「藤丸さんって媚びてますよね〜」
嫌味な同僚は病で退職
「53点かな」
手料理に点数をつける交際者は失踪
理由は分かってる
私が悪い?違うよね
道満、ありがとう
『処分してない道満の符』
447
「傷を塞ぎ、この建物の者を皆殺しにしてどこへなりとも行きましょう!」
「私との契約は終わったのに、どうして来てくれたの?」
「拙僧は忠臣ですからな、令呪?契約?必要ございません」
「そうだよマスター」
「そうですわ」
「来たぜマスター」
サーヴァントが集う
「また旅の始まりですな!」
448
世界を救った藤丸立香は実験台にされた
「何故平凡な人間が」
「理由がある筈だ」
「解剖しよう」
(助けて…!)
腹を切られる
血が流れ出し、タイルを滑ると召喚陣の形に広がった
瞬間、研究員は全員化け物となった
道満が笑う
「呼び声に応え参上いたしました!
マイ、マスター」
『最高の触媒』
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「ひぃ助け、助けて!」
「あの子も助けていうとったけど、あんたはん聞き入れたかえ?
うちを食うつもりやったんやろ?
あは!おっかし
食われるんはあんたはんや!」
バリ、ゴキッ、ブチブチ
「血まで脂っこくて不味いわあ
まあ2度と悪さできへんようにしたるさかい
安心しいや 未来の旦那はん」
450
小学生の時、不審者に
「可愛いね遊ぼうよ」
「たすけて!」
不審者が動きを止めた
「ええねえ、うちと遊ばへん?」
「…コスプレ?可愛いね、いいよ」
不審者のおじさんは角の生えたお姉さんとどこかに行った
……
「あれ酒呑童子だったよね?」
「さあ?でも何だか、不味い肉を食べた覚えはあるわ」