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書籍こちらになります。
世界で一番書店が好きな人種なので自著を現場に見に行きたい気持ちと「直視できるか」という謎の面映ゆい気持ちと「今日早く迎えに来て」という4歳との兼ね合いで現場に行けないのですが、売ってくださる方、本当にありがとうございます。
amazon.co.jp/dp/4046058633
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本日、自著が発売になりました。
『まいにちが嵐のような、でも、どうにかなる日々。』
きれいな赤い表紙が目印でして、色々な方が関わってくださいました。届いたよであるとか、本屋で見たよとか呟いてくださると著者が喜びます。
赤い本、編む。|きなこ @3h4m1 #note note.com/6016/n/n84cbe8…
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小さな子どもって朝のまだ誰も起きてこない静寂に、すうすう柔らかな寝息を立てて眠っていて、アレなにか握り締めているなあ、小さいぬいぐるみかなあ、可愛いなあと思って近づくと
『リカちゃん人形の脚』
だけ握っていたりして時折猟奇的ですよね、本体はどうした。
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駅からすぐのバレエ教室にむかって、長い髪をほつれ毛ひとつないシニヨンにくるりとまとめた女の子達が普段着に白いタイツを履いて秋の雑踏をくすくす笑いながら駆けてゆく姿を四歳と見ていてつい
「妖精みたいね」
と呟いたらその子達の何人かがへへって笑って振り向いたのでやっぱり妖精ですか。
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うちにやってくるクロネコヤマトの人は春を背負っている感じがするし、佐川さんは年中夏を纏っていて、JPのお兄さんには秋の静謐がよく似合うし、Amazonの人は冬のしんとした寒さに負けない快活さ。そして西濃運輸のおとうさんは朝を連れて来ると言うか、だいたい7時台に来ちゃうので私が常に寝間着。
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9月21日は宮沢賢治の命日の『賢治忌』秋の季語でもある日なんですけれど宮沢賢治はカムパネルラでよだかの星は燃えつづける、あの朴訥とした優しい物語達よりも私は『春と修羅』の鮮烈が好きです。物書きとは、修羅。
四月の気層のひかりの底を
唾しはぎしりゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
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4歳の現状が主治医をして「自分の技術ではこれが限界」ということになり、今発生している問題の解決の為にひとまず別の病院に行くことに。高い技術と矜持を持って仕事をする専門医が限界を口にすることを「誠実」と呼ぶと知っているし私達は最善を尽くしているし術後のアイスならなんぼでも買うたる。
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「明日の朝には台風一過ってことになっていると良いよね、病院があるし」
「たいふういっかって何人かぞく?あたしはな、ママとパパと、にぃにとねぇねとあたしで5人かぞく!」
という震える程にベタでかつかいらしい会話をしまして、台風14号は午後5時45分現在松江市の西北西約30㎞。
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台風が然程殺傷能力を持たない地域の育ちの私の『台風の思い出』は制服の紺のプリーツスカートが強風にあおられた高揚だとか鉛色の空の隙間の青空というやや甘美なものなのに、気圧の変化に超絶に過敏な4歳児は朝から頭が痛くて吐いて「げーするのが台風」ということになってしまった。なんかごめん。
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私には病気の子どもがあるものでTLには同じように病気のあるお子さんの親御さんの言葉がたくさん流れてゆくわけですが、中には「今朝亡くなりました」というものもあるもので、そんな時ここは白い花をささげるための献花台にもなるのです。
さようなら、みずからの体を最後まで戦い抜いた勇敢な子。
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4歳の付き添い入院の助っ人にきてくれていた母を車で迎えに来た姉に「高速代もガソリン代も安くないし…」といくらか包んで渡そうとしたら
「アラこれは受け取れませんねー!」
物凄い勢いでブロックされてこれが四半世紀超「謝礼の金品は受け取れません」をやってきた人の実力…(職業:看護師)
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妹の入院中、十六夜の晩に互いを想い合う宮沢賢治の童話のように優しくうつくしい姉妹だったはずがいざ退院して帰宅するとどうでもいい100均の玩具を取り合って死闘を繰り広げる姿は最早風流ですらあるし元気は結構ですけど蹴りはやめなさい蹴りは。
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4歳の予定されていた色々の処置、これがまた何もできずに終わりまして、次にまたリトライするという結果になりました。赤ちゃんの頃から4歳を知る看護師さんは心配して昨晩病室に来てくれまして、本人はぴちぴちに元気で退院します。
Queen Angio 3|きなこ @3h4m1 #note note.com/6016/n/ndf0512…
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今朝、4歳は予定の処置のような軽い手術のようなことの為に階下の血管造影室に歩いて行きました。途中までは私と手を繋いで、保護者入室不可の場所からは看護師さんと一緒にしかし手は繋がずにひとりですたこら歩いて行ってしまって、それが良いのか悪いのか、なんだか芯の強い娘に育ってしまって。
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「小児病棟のいったいどこから中秋の名月っていうのは見えるのやろか」
あっちか、いや建物が邪魔して見えやんてって、点滴台をがらごろさせながら皆んなで探してやっと向こうの窓、ブラインドの隙間に見つけた白く光る月のことを、4歳もお友達もずっと覚えていられるといいね。
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さっきNICUからまるで南海の真珠粒のように可愛い赤ちゃんを抱いて退院されたお母さん、同じエレベーターに乗りあわせた人々が口々に
「おめでとうございます」
を告げて降りていったのに驚いたことでしょう。私達は小児病棟に入院中の子の親で、あなたと同じNICUの卒業生の親です。
退院おめでとう
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入院中、病棟の廊下を駆け出そうとする娘にはいつも「チアノーゼになるから走らない!」と不穏なことを言うのですけれど、お隣の子のママの「そんなに笑うと髄液がでてきちゃうよッ!」という文言は更にパンチの効いた新鮮さで、初秋の空かと思しき程にママとその子が透明に爽やかなのもなんだか良い。
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この度、紙の本を上梓させて頂きます
『まいにちが嵐のような、でも、どうにかなる日々。』
noteの記事と書き下ろし原稿を選んでまとめて夏中かけてこつこつ執拗に書き直しました。発売は9月28日、Amazonのカートは既に開いています。素敵な表紙だけでも見てってください。
amazon.co.jp/dp/4046058633
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かの2歳君の事故は私の実家が富山であるので、あの川あの海とそれが分かって一層哀しく、幼子の魂が安らかにあるよう祈っていますが、2歳とは病気で色々の発達が遅れている子さえ制御不能なもので、ウチの4歳が2歳の時は入院中点滴ルートを己が手で引き抜き輸液ポンプの停止ボタンを連打してました
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台風の起き土産みたいな夕方の土砂降りの中を家から病院に戻っている途中の道に反対側から白いシャツシャツジャージの高校生が
やべえやべえつめてえやべえ
って言いながら傘もささずに駆けてきて私が知らないだけで青春という国には雨宿りが罪とかそういう決まりがあるのでしょうね(風邪ひくなよ
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コロナの時代がやって来て、それで「第7波」だなんてまるでエヴァンゲリオンみたいな時代が過ぎ去ろうとしているのか未だとどまっているのか。この7度目の終末の予感のこのときに最も受難の世界にあったのは私の知る限りでは町の、そして大学病院の、とにかく小児科の先生方であったことでした。
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13歳がお友達とお祭りに行くのやと言うのを、晩夏の日暮れ、星の見える頃まで中学生が遊ぶのは大丈夫かしらんと、何せこちらは心配性なもので散々注意しながら門限つきで送り出したら帰宅したヤツの手には型抜きの景品のクワガタ消しゴムとラムネ、頭には汗対策の白タオル、昭和に行ってきたんか君は。
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自宅に酸素の機械を設置して酸素を吸入しながら生きている人は酸素が支燃性物質なので火気厳禁であるのですが、うちの酸素ユーザーである4歳の人は「ちょっとお台所を手伝いたい気分やわ」なんて時に
「あ、酸素とめてくるわ」
と言って機械を勝手にオフしてしまうのですわ。かしこ…やめなさい。
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間近に迫った子の付き添い入院生活の助っ人として大好きなおばあちゃん(弊母)が北陸から厳重警戒の中にやって来て嬉しくて張り切る4歳が
「ばぁばがいる間あたしがたくさんお手伝いしてあげる」
ずうっとついて回る君こそが今週、予定の処置入院なのだよって説明は5回くらいしたのだけど。