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【隠し沢④】
さらに、その踏み分け道の両脇には、サワグルミの木が並木道のようにずーっとずーっと山奥まで植えられていた。
そこだけ、潅木も、雑木もない。明らかに人為的に植えられたと思われるクルミの古木の並木だった。
ちょっとしたクルミ畑だった。
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そんな中、飢饉の影響を受けやすかった岩手の山峡の人々は、生き残る道を山に求めた。
そんな集落の共通財産が「隠し沢」という食料庫であり、その存在は平時は隠され、人の立ち入りも村の掟で制限されていた。
それが部外者であってもだ。
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【隠し沢③】
そんで友人と沢に入ったのだが、早速奇妙なことがあった。
沢と並行して、ずーっと踏み分け道があるのだ。
それは所謂林道というような生易しいものではなく、人ひとりが歩けるだけの道だった。
だが、何故かその道は度切れることなく続き、しかも自然石の石垣で補強されていた。
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【隠し沢⑨】
結論から言うと、魚止めの滝の上にも全く同じ密度で岩魚がごちゃごちゃいた。
私は「あ、これは誰かが岩魚を放流したんや」と察した。
昔の山仕事していた人たちは、暇な時に岩魚を釣っては魚止めの上に放流し、いざという時には捕まえて食べたという。
隠し沢確定だと思った。
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【隠し沢⑦】
あんまりに岩魚がいるので「もうめんどくせぇ、素手でも取れるんじゃない?」と竿を放り出して岩陰に手を突っ込むと、僅かな隙間に二〜三匹のイワナが寿司詰め。
私はここの沢で、素手で岩魚を3匹捕まえた。
正直めちゃくちゃ楽しかった。おしっこ漏らした。
勿論全リリース。
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【隠し沢⑤】
一方の沢はと言うと、
一旦沢に入って最初の岩を越えた途端、急に森が広くなり、奇妙に整備されたような溪相になった。
普通、あんな谷なら灌木や笹なんかが生い茂ってるもんだけど、川辺は明らかに管理されていた。
そして、入口付近がちょっとカムフラージュされていたと思われる。
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【隠し沢⑥】
そして肝心の魚はというと。
いるわいるわ。
こんな水溜まりにどうしてこんな数の岩魚が、と言いたくなるほどに岩魚がひしめき合っていた。
水溜まりにルアーを落とせば、2〜3匹の岩魚が殺到する。
ちょっと歩けば岩魚が行き場を失って川岸に踊り上がる。
そんな感じだった。
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まとめるとして、
岩手県は山背という冷涼な風の吹き付ける山地であり、暴政が続いた江戸時代には大量の餓死者を出した。
特に被害が酷かった天明の大飢饉では、実に藩人口の1/4が死に絶えたと言われる。→
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【隠し沢⑪】
そんなこんなで日も暮れかけ、友人と私は帰ることにしたのだが、生えてる草はオオバギボウシとミヤマイラクサばかりだった。いずれも食べられる美味しい山菜だ。
あと、偶然だけど天然キクラゲも生えてた。
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【隠し沢⑧】
ここで決定的な事件が起こる。
つり上がってゆくと、ものすごーく細長くて頼りない滝が現れた。
その滝は、10メートル以上の落差のある岩肌を、消火栓のホース程度の水がチョロチョロ落ちてゆく感じだった。
「これが魚止めだなぁ」と思っていると友人が、
「いや上にもいるよ」と。
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【隠し沢⑫】
それと、栗の花の開花時期だったため、隠し沢周辺は物凄く加爾基、精液、栗の花の匂いがした。
余りに臭いのでよく見てみたら、その隠し沢の周囲の林は、栗の木の周辺だけ明らかに拓けていた。
要するに、山に自然に生えてきた栗の木だけを残し、整備していたと思われる。
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【隠し沢⑩】
結局、沢の傍の踏み分け道は、その沢の源流の水溜まりまで続いていた。最後まで完璧に整備されていた。
正直、水が涸れていたので、釣り上げた数自体は少なかったが、あそこにミミズでも持ち込めば、それこそ「根流しすっぺ」レベルで岩魚を一網打尽にできたに違いない。
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【隠し沢(終)】
こうして我々は約2時間の釣行を終え、大満足で帰途に着いた。
こうして僕の初めての隠し沢探検はくそみそな結果に終わったのでした……(終)
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第一話で炭治郎から直で炭を買ってた街の人々は、早くに父親に死なれ、女手一つで大世帯を守っている竈門家を支えてやろうの意味で、わざわざ炭治郎に声をかけ、卸に持ってく前にみんな買い付けて竈門家を助けていたのだ。
炭治郎があんなに自己犠牲的なのは、その匿名の恩を知っていたからだろう。
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なまじ炭が日々のライフラインであったからこそ、中抜き構造が完璧になっていた炭焼きにおいて、炭治郎が第一話で問屋に行く前に直接取引で炭を捌いてしまっているのは、これはもう、地元の人達が申し合わせてたのだろう。問屋に持ってく前にみんな直で炭治郎から買えと。
竈門家は人望があったんだ。
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鬼滅の刃とコラボすればなんでも儲かる風潮さえあるのに、
日 本 の 炭 焼 き た ち は 何 を や っ て る の か 。
オイルショック以来の大チャンスなのに鬼滅の刃と何故コラボしない。「君も炭治郎みたいな炭焼きになろうぜ!」って誘えよ。今こそ立てよ日本の炭焼きたち。
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その時たまたま雑誌『幽』の講演会が遠野市であったらしく、荒俣宏大先生、宮部みゆき大先生と一緒に、その座談会講演会に出演するため、遠野にいらっしゃっていたのです。
おかげで遠野ドライブの予定を大幅に変更し、飛び入り参加で京極夏彦先生の講演をまるまる全部聞いてしまいました。
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@tips_boxes マジで誰か研究して欲しいんですよ。釣りしてて「おっ、イワナが釣れ始めたか」って思ってふと顔を上げると神社ないしお堂があったことが一度や二度ではないのです。
私、今とんでもない思いつきを口にした気になってます。私が新たな学問、生物民俗学、もしくは生物誌学の祖になるんですよ。
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今回の北海道のヒグマと全裸の男出没事件でわかったことが、たったひとつある。
北海道とヒグマと変態を描いたゴールデンカムイは和製ウエスタン漫画ではなく、北海道にありがちな日常を描いた日常系漫画だったんだ、ということだ。
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我々古風なオタが「ドラゴンクエストやファイナルファンタジーのOPテーマは国歌」と冗談で言ってたんだけど、まさか東京オリンピック開会式で国歌を超える存在として扱われるとは。
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浜田雅功「お前なぁ!」
志村けん「先輩に『お前』って言うなよ」
松本人志「そうやでハマタ! こいつにお前とか言うな!!」
いまだに覚えてます twitter.com/matsu_bouzu/st…
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