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石原慎太郎氏は健康だった頃、女性や障害を持つ方々を生きる価値のある人間とない人間に分けていたらしい。けれど自分が脳梗塞の後遺症に悩まされると、今度は恐怖を感じるようになったという。要/不要を区切る考えはいずれ自分に帰ってくる。是非読んでほしい
tokyo-np.co.jp/article/3347
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ホロコースト否認についての実際の裁判をテーマにした映画『否定と肯定』(Denial) 、なんと無料で見ることが出来るらしい。 26日(木)まで。 家にこもって視聴しよう!
gyao.yahoo.co.jp/episode/60e2a3…
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「長いものに巻かれた評論を見抜く方法」として役に立ちそうな考えを見つけたのでここで共有します。
1)弱者/被害者の側の責任にばかり焦点をあて、強者/加害者の責任やその背後にある構造的問題を議論しようとしない。セクハラや男女格差、生活保護などの文脈で当事者責任を問う論調がその例です。
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ラムザイヤー論文の問題と並行する形で、慰安婦問題を矮小化しようとする修正主義者たちが海外の日本史研究者を執拗にハラスメントしています。史料の厳密な分析を通じて過去の出来事とその意味を誠実に解き明かそうとする営みは、人格攻撃から守られるべきです。連帯を。 twitter.com/paularcurtis/s…
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コロナがここまでに拡大し、入院できない患者が増えてるのは地震や津波のような災害じゃなく、医療体制の整備を行わず、替わりにオリ・パラにリソースを投下し続けた結果でもあります。酷すぎる現状は政治と社会の問題であって、個人の諦めの領分ではないはず。 twitter.com/hazuma/status/…
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4月からジェンダーの視点(女性だけでなく、男性性についても)意識して授業を組み直してきました。それと最近、新しい研究テーマとして近世イギリスのジェンダー、特に1630年代の洗濯婦と石鹸の使用について調べているのですが、色々気づきが多いので、忘れないように記録しておきたいです。
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まず、当たり前のことですが、石鹸を使ってシーツやシャツを洗ってる洗濯婦の様子を知りたいと思っても、史料の残存状況が僕が研究対象にしてきた起業家層の男性とは雲泥の差。
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石鹸は当時も日用品。それを使って洗濯をしていた人はイギリス中にいた。そこから賃金を得ている洗濯婦も。 けど、そもそも女性の賃労働は「職業」として記録に残されることが少ない。「誰々の妻」とか「どこどこ居住の未婚女性」とかしか記載されてないことが多い。
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男性の労働はギルドが統制している場合も多いし、ロンドンだとそう言った組織がまとまった史料を提供してくれる。女性がギルドで奉公人としてトレーニングを受けることも稀にあったみたいだけど、洗濯くらい日常的かつ、肉体労働の次元だとそれもない。
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石鹸は1630年代に国策の一環で生産・流通の独占が敷かれるのだけど、そこで、洗濯婦が少し出てくる。なぜなら彼女たちがエンドユーザーだけら。 だけど、彼女たちはエリートが残した史料では"Wash women"とか、無名で呼ばれて終わることがほとんど。
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しかも国のエリート男性たちが残してた史料では、国策で作り始めた新型石鹸を使ってくれない洗濯婦たちは「無秩序で、威張り散らしている女性たち」ぐらいの呼ばれ方をする。
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彼女たちの経験や視点というのは、エリート男性たちが書き記した史料からは、ほとんど窺い知ることができない。
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じゃあ、そういう洗濯婦と付き合いのあったと思われる石鹸工場の男性たちはどうか? 国策独占によって一方的に自分たちの生産活動が規制の対象になった男性たちの利害は洗濯婦の利害と一致していそうでもある。
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けど、そこから調べて行っても、結局石鹸工の男性たちも「Free-born Englishmenの権利が侵害されている」という論戦を貼るばかり。それって実は、イギリス人(男性)の経済的自由っていう意味なんだな、と。
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テーマもそうなんですが、やっぱりジェンダー視点を導入してみて最も違うのは、史料を手繰り寄せていくときの「態度」や「プライオリティ」に違いが出てくるんだ、ということが驚きでした。
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これまで男性の起業家的行動と、その文化的あり方を中心に見てきたけど、彼らは史料いっぱい残してるんですね。 それに多くの人たちが彼らについても書き残している。 だから、エゴドキュメントにしても、議事録にしても、風刺にしても豊富にあった。
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だから、人類学的に、彼らの生活世界の一部に入っていくような試みが比較的やりやすくて、彼らが事業を立ち上げるときに、どのようなことを気にしていたのだろう?アピールの方法は?その時の文化的背景は? 避けたいと思ってる「落とし穴は?」とか質問を立てれば、それを多面的な史料を組み合わせて
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ある程度まで答えることができた。それは、当時の男性たちが、その問題を気にしていたから。同じ経済活動の領域における歴史調査でも、ジェンダーを考え、女性の経験に迫ろうと思うと、途端に同じようなアプローチは、全く通用しないんだ、ということに気がつきました。
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人類学的に例えるならば、自らの声を直接残すことの少なかった洗濯婦のような人の歴史を調べるのは、インフォーマントに話せない状況でフィールドワークをやるようなものなんだ、と。
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そこで、「インフォーマントに直接アクセスできないから、テーマや対象を変えよう」、と諦めない。これが、ジェンダー史的問題を設定した時のスタート地点になるみたいです。 どんだけハードル高いんだよ、と驚きました。
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で、この記録の少なさ、声の聞き取りづらさ、調査時のハードルの高さ、こういった「真実に迫るための障壁」そのものが、男性中心の社会が歴史的に生み出してきた構造の一部な訳です。
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こういう記録をめぐる権力関係とか、史料のなさについては、理屈としては分かっていたようなつもりでした。 だけど、実際に具体的テーマを見つけて、調べてみると、かなり早い時期に「これ無理ゲーでは」と何度も思わされてしまう。
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ここまできてようやく気がついたのが、男性として、男性が残した記録を使って、その資料が素直に語ってくれるテーマ、つまり当時の白人男性にとっての関心事を調べるのがいかにやり易いことなのか、ということを実感できました。
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で、「史料無さすぎだ」「じゃあ次に何調べろっていうの?」ということになって、その難しさ、フィールドの非対称性を実感してみて、初めて「あれ、この非対称性って、まさに今でも続いているよな」「これって氷山の一角だよな」と思い始めた感じです。