初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(新しい順)

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菊池寛が第四次『新思潮』の編集後記に書いた文章です。芥川龍之介の小説を、田山花袋が「何処が面白いのか分らぬ」と批評したのに対して、「僕達が田山氏の作品を読んで何処が面白いのか分らぬと全く同じだ」と反論。本音なのでしょうが、親友への批判に黙っていられない菊池の男気もまた感じます。
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夏目漱石が芥川龍之介に送った名言「むやみに焦ってはいけません。ただ牛のように図々しく進んでいくのが大事です」の書かれた手紙の映像も登場。芥川は師の言葉に従うことができませんでした。 芥川龍之介生誕130年 旅の軌跡たどる企画展 甲府|NHK 首都圏のニュース www3.nhk.or.jp/shutoken-news/…
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今日は中島敦の誕生日です。谷崎潤一郎や芥川龍之介に負けず、敦の学校の成績は抜群でした。京城中学校(現ソウル)では開校以来の秀才と言われたそうで、今の東大より遥かに難関の旧制一高にも飛び入学しています。小学校での2回の転校や父母(義母2人)との不和も敦の天分を損なうことはなかったのです。
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中原中也の誕生日にあたり、誰も言及したことがないであろう細かすぎる情報をひとつ。『山羊の歌』の署名本を見ると、ほぼ全ての本で献呈署名の対抗ページに文字が映っています(画像参照)。これは明らかに墨が乾く前に本を閉じたからで、もしかしたら中也は少しせっかちだったのかもしれませんね。
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中国人バイヤーから芥川龍之介の代表作の自筆原稿を譲ってほしいと連絡があり、提示されたのは超高額でした。中国で人気の高い日本の近代作家と言えば、以前より芥川の名前も挙がっていたけれど、自筆原稿の需要があるとは驚きです。ちなみにお断りしました。
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今日は梶井基次郎の命日です。『檸檬』から『のんきな患者』まで、彼の実質的な作家活動はわずか7年で、完成した小説は20編にすぎません。しかし梶井の命の炎は儚く消えたけれど、残された作品は今もなお眩いばかりの輝きを放ち続けています。梶井基次郎は永遠に日本近代文学の至宝です。
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川端康成『少年』(新潮文庫)の見本が届きました(28日発売)。巻末に宇能鴻一郎さんのエッセイ「川端康成の少年愛」を収録。この小説を読むために、わざわざ図書館で全集を借りる方が多くいることを知り企画したので、文庫本にできて本当に嬉しいです。ノーベル賞作家の絶妙な筆致を堪能してください。
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「拡散をお願い申し上げます」 『日本古書通信』3月号に「復刻版の展示について」を寄稿しました。展覧会監修者が「美しい装丁を実物によって鑑賞し」と挨拶文に書きながら、最も重要な本ですら復刻版を展示する絶望的な現状への批判です。編集長の許可を得て全文をアップします。是非お読みください。
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山の上ホテル内コーヒーパーラー「ヒルトップ」の期間限定(数量も限定)「デコポンのパフェ」です。デコポンを模した中央の飴細工を壊すと、中に2種類のシャーベットが隠れていました。楽しく美味しいダブルで素敵なパフェであります。
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今月で定年退職する知人の大学教授が研究室の本(約800冊)を売却するために古本屋を呼んだところ、「値が付かない本ばかり」との査定で、逆に処分代金(手間賃+運送費+潰し費用)として10万円を請求されたそうです。近年しばしば耳にする話で、「思ったよりも高く売れた」という声は滅多にありません。
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芥川龍之介は海軍機関学校教官時代に「いまごろ、ヨーロッパでは、ばかなことをしているだろうな?」と呟き(第一次世界大戦)、理由を尋ねた生徒に「君には、それがわからんのか?人殺しをやってることがばからしいことなのだよ」と。130回目の誕生日の今日もロシアの為政者にそう言っているでしょう。
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「佐藤春夫は詩人でもない小説家でもない、その中間の変なもの。それでも現文壇では一番好いのだ・・・」中原中也が日記に残した言葉です。芥川にも谷崎にも書けない中也ならではの表現だと思います。
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初版道の発案により川端康成『少年』(新潮文庫)が3月28日に発売されます。今年、没後50年を迎えた川端の少年愛に溢れる名作の初文庫化。巻末エッセイの宇能鴻一郎さんも推薦しました。ちなみに、新潮社からのお礼は当該文庫本3冊とのこと。さすがは文芸の新潮、実に太っ腹で感謝の言葉もありません。
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89年前の今日、小林多喜二は特別高等警察の拷問により殺されました。遺体の様子はあまりにもむごたらしく、当時の証言、特に右手の人差し指が反対側に付くくらい骨折していたという記述は、読むたびに涙を抑えるのに苦労します。作家の右手ですから。『蟹工船』を生んだ右手ですから。
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今日は夏目漱石の155歳の誕生日です。明治は遥か遠くになりましたが、今でも漱石の作品は年齢性別を問わず多くの人々に愛されています。綺羅星の如き近代作家の中でも、漱石ほど国民作家という言葉にふさわしい文学者を他に知りません。これからもこの国がある限り、永遠に読み継がれていくでしょう。
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芥川賞作家の西村賢太さんが死去されました。初めて会ったのは30年以上前。神保町の古本屋太秦文庫(店主が玉英堂書店の先輩店員)でした。その後、西村さんが始めた古本屋「野狐書房」の目録に必ず出品協力をしたものです。時折見せる人懐っこい笑顔が忘れられません。心よりご冥福をお祈りいたします。
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太宰・安吾・織田作は、銀座の「ルパン」で大佛次郎の連れとトラブルになり「表に出ろ」という話に。安吾は「おう、出ようじゃないか」、太宰は「暴力はだめだよ」と。織田作だけは知らん顔して同伴者のネクタイを褒めていました。ちなみに揉め事の原因は「小股の切れ上がった女の話」だったそうです。
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『文豪たちが書いた耽美小説短編集』(彩図社)です。このラインナップを「耽美小説」で一括りにするのは無理があるけれど、なかなか良く考えられたセレクションだと思います。
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谷崎潤一郎『春琴抄』(昭和8年、創元社)の朱漆表紙特装本(極美)です。表紙の題名と見返しの署名・花押は金蒔絵により盛り上がっています。両見返しは緞子を使用し、桐箱の題名と署名は谷崎の自筆。この超豪華本は朱黒両表紙あり、昔から計3冊製作と言われますが、6冊実見したので間違いです。
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大学入学共通テスト国語(現代文・評論)に宮沢賢治『よだかの星』が登場しました。2つある文章の1つで、テーマは「食べることについて」ですが、内容はさながら『よだかの星』論。賢治の原文も引用されています。高校国語教育における近代文学の地盤沈下が心配な今、心強い出題(しかも評論!)でした。
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NHKの朝ドラを見ていたら「ねえ君、僕と共鳴せえへんか」「何それ、織田作?」という会話が出てきてビックリ。織田作で分るのかなと思っていたら「織田作之助なんか読むん?」と。今日の舞台は昭和37年の道頓堀。ちなみに主人公の高校時代のアルバイト先は古本屋です(画像は『夫婦善哉』初版本より)。
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萩原朔太郎と萩原恭次郎は同郷・同窓・同姓の詩人でした。しかも「太郎と次郎」ですが、血縁関係はありません。朔太郎は恭次郎を「芸術的兄弟」と語り、恭次郎は朔太郎を終生敬慕しつつ異なる詩風を志向しました。『月に吠える』無削除版と『死刑宣告』の初版本が並んだ画像はこれが世界初(笑)です。
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最近「自己肯定感」という言葉をしばしば耳にしますが、「自尊心」との違いがよくわかりませんでした。近代文学にも詳しい心理学者に尋ねたら、英語を交えて説明した後で「例えば太宰治は自尊心は強いけれど、自己肯定感は低いわけです」と。そうなのでしょうか。不慣れな言葉は使わないことにします。
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芥川龍之介を知らない青年と新年早々初版本の整理をしました。芥川の本も出てきたので「これ芥川だよ」と言ったら「へー、これでアクタガワなんですね」と。予想外の言葉でしたが、確かに簡単な読みではないのかもしれません。夏目漱石も初対面の芥川に献本する時、漢字でどう書くか戸惑ったそうです。
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今年没後10年×α(5≦α≦12)の近代作家の例(同年は五十音順)。何かのご参考にどうぞ。 120年ー正岡子規、110年ー石川啄木、100年ー森鷗外、90年ー梶井基次郎、80年ー北原白秋・中島敦・萩原朔太郎・与謝野晶子、70年ー蒲原有明・久米正雄、60年ー正宗白鳥・室生犀星・柳田國男・吉川英治、50年ー川端康成