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クリスマスを迎える子供の「何か特別なことが起きつつある」というワクワク感、この感覚ほど、救い主が誕生するという「福音(よい知らせ)」に出会った古代イスラエルの人々の感覚に近いものはありません。C.S.ルイスは『ライオンと魔女(ナルニア国物語)』の中で実に鮮やかにこの感覚を描いています
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『トマス・アクィナス 理性と神秘』(岩波新書)が、サントリー学芸賞(思想・歴史部門)を受賞しました。「善は自らを伝達する」を根本思想としているトマスの思想がより多くの方々に伝達される機会となれば幸いです。
読んでくださる皆様に支えられつつこれからも活発に書いていきたいと思います。
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「悪魔は堕天使だ」というキリスト教の説明は、一見荒唐無稽な神話に見えるが、示唆するものが多い。最も優れた天使が、最も優れているからこそ、自分を受け入れることができず、「神に取って代わる」という野望の虜になってしまう。それは自己受容の失敗という意味であらゆる罪の原点になっているのだ
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『中世思想原典集成精選』全7巻が刊行されるのは、今年度最大の快挙の一つ。古代末期から初期近世までという網羅範囲の広大さ、翻訳の正確さ、解説の充実。このシリーズが平凡社ライブラリーに入ることは、文庫の翻訳の少ない西洋中世思想の魅力が多くの読者に伝わる大きな機会となること、間違いない twitter.com/nekonoizumi/st…
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一冊の書物を繰り返し徹底的に読み込むことによって、百冊・千冊の書物を眺めるよりも多くの洞察を得ることができるということは一面の真実だが、一冊の書物を真に徹底的に読み込むことができる為には、その書物だけではなく、百冊・千冊の他の書物にも目を通さなければならないということもまた真実だ
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今週末は「復活祭」ですが、世界中で、公開のミサは行われません。史上最も静かな復活祭になるかもしれません。ですが、考えてみれば、キリストが「復活」した日は、とても静かな日でした。ほとんど誰もそのことに気づかなかったからです。その意味では最も復活祭らしい復活祭になるかもしれません。
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拙著『世界は善に満ちている:トマス・アクィナス哲学講義』(新潮選書)の「まえがき」全文が、ネット上で読めるようになりました。一冊の書物との出会いが与えてくれる「ほんの少しの変化」が人生全体において持ちうる大きな意味について述べています。
kangaeruhito.jp/trial/43956
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教皇フランシスコの思想と活動のキーワードは、「橋を架ける」です。困難のうちにいる人々、周縁化された人々、異質な人々に橋を架けていく実践のうちにこそキリスト教の本質が見出されるという教皇の思想が、明日からの数日間でどう表現されていくか、注視したいと思います。
bit.ly/2ObCDUp
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アリストテレスの「奴隷」概念が、大航海時代における「新大陸」の「発見」のなかで、「原住民」の奴隷化にどのような役割を果たしたか。そしてその奴隷化に対抗するためにもアリストテレスがどのように生かされたか。実に刺激的な『アリストテレスとアメリカン・インディアン』の復刊は実に喜ばしい。 twitter.com/Iwanami_Shinsh…
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読書の醍醐味の一つは、繋がるはずのないと思っていた二つの書物が読者の心の中で繋がることによって、作者も思っていなかったような新たな言語宇宙が誕生することのうちにある。無数の読者の心の中で無数に日々誕生するこうした無限の言語宇宙の連鎖こそ、この世界に意味を与えているものに他ならない
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自分がいま読みたいなと思う本を読むよりも、何らかの外的事情で読まざるをえなくなった本を読むことによってこそ、新たな視界が開けることが多い。そうした本こそが、自分が本当に読みたかった本だとも言える。自分にとっての盲点を教えてくれる本こそが、自分が真に読みたい本であるはずだからだ。
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#新大学生に勧めたい10冊
入手しやすく、専門家でなくても読める良質な翻訳のある古典を中心に。
『聖書』(フランシスコ会聖書研究所訳など)
プラトン『ソクラテスの弁明』(岩波文庫)
アリストテレス『ニコマコス倫理学』(岩波文庫)
アウグスティヌス『告白』(中公文庫)
(続く)
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『神学大全』の日本語訳は、今年度末で新刊では買えなくなります。いずれ役に立ちそうな巻は買っておきたい人におすすめなのは、第9巻(人間の目的・幸福)、第10巻(感情)、第11巻(徳)、第12巻(悪徳)、第13・14巻(法論)です。哲学・神学・西洋思想史に関心のある人には必ず役立つ時が来ます。
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キリスト教の入門書として、群を抜いて優れているのは、『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイスによる『キリスト教の精髄』です。9月29日(土)の13時から開講の「キリスト教入門 基礎の基礎」の一回目は、『キリスト教の精髄』を手がかりに、極めて基本的なところからキリスト教の本質に迫っていきます twitter.com/201yos1/status…
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5月の100分de名著のテキスト『アリストテレス『ニコマコス倫理学』』は本日発売です。現代でも現役の古典中の古典を、できる限り分かり易く解読していますので、手に取って頂けますと幸いです。『ニコマコス倫理学』は、一生を通じて出会いを深め続けていく事のできる書物ですamzn.to/37A9m2t
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この世界のなかには、「読むべき本」というよりは、「読んでいないともったいない本」「読まずに人生を終えるのが惜しい本」というものがあります。人間についての洞察に充ち満ちたアウグスティヌスの『告白』は、まさにそういう本の一冊です。精読の喜びをありありと味わわせてくれる古典中の古典です twitter.com/yomutokaku/sta…
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「本を読んでも解決しない」ということが分かるのは、本を読むことの大きな意義の一つだ。自分が抱いている問いが、書物を読むことによって解決する問いなのか否かということ自体、書物を読まずにははっきりしない。「読書では解決しない」と思いこんでいた問題が、読書だけで解決することも意外に多い
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アウグスティヌス『神の国』全五巻は、この機会に入手しておかないと、当分手に入りにくくなるかもしれません。キリスト教神学の古典中の古典というだけではなく、歴史哲学という分野を確立した画期的な著作です。 twitter.com/iwabun1927/sta…
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「結論の出ない無意味な議論」という意味で「神学論争」という言葉が使われることが多いが、実は「神学論争」ほど明確な結論を生み出してきたものはない。神が三位一体であることやキリストが「神性」と「人性」を有することなど、古代末期の「神学論争」を経てほぼ不可逆的な仕方で決定的に確定した。
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上田閑照先生がお亡くなりになりました。西田幾多郎、西谷啓治の系譜を受け継ぎ、ドイツ神秘主義と禅仏教のはざまで続けてこられた探求は、宗教・宗派の境を超えて、宗教的探求に従事する多くの人々にとって文字通りの導きの糸でした。『エックハルト』など数々の名著があります。ご冥福をお祈りします
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よい本は、読むたびに新たな謎を与える。問いを与えることこそ、よい本の特徴だからだ。そして、読むたびに読む速度が落ちることも多い。ほんの少し読むだけでも、心の中から様々な思いが触発されて湧き上がってくるので、そのまま読み続けることができなくなるからだ。
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サザン『ヨーロッパとイスラーム世界』(ちくま学芸文庫)いよいよ発売されました。キリスト教世界とイスラーム世界の相互関係を理解するための基本書中の基本書です。岩波現代選書から出ていましたが長らく品切れでした。入手可能なうちに手に入れておくことをおすすめしますamzn.to/35DFFX9 twitter.com/201yos1/status…
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バイデン大統領は、就任演説で、アウグスティヌスの言葉を引用しました。「私が属する教会の聖人である聖アウグスティヌスは、人々は愛を注ぐ共通の対象によって特徴づけられると説いた」と(読売新聞)。この言葉は、アウグスティヌスの『神の国』第19巻第24章からの引用です。
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キリストが死刑になった事がキリスト教の原点にある以上、キリスト教が死刑に反対する事には、かなり大きな神学的問題が含まれている。キリストが死刑になった事が死刑反対の根拠になるとも言えるし、死刑がなかったらキリスト教が今のような仕方では生まれなかったとも言えるbit.ly/2OTz9o7
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すぐには読めそうにない本ほど、すぐに読む必要がある。とにかく読んでみないと、なぜ今の自分にその本が解読できないのか、その原因をつかむことができない。読めない原因が分かれば、その原因を克服することが可能になる。敬遠して触れないでいると、いつまでも読めるようになる手がかりをつかめない