501
「碧い瞳のエリス」は
二人称だが ただ
男と女の歌ではない
この場合のあなたと私は
ひとつの魂が内包する
ふたつの人格
少女と女或いは母と娘
それもはっきりとした
境界で仕切りきれない
混沌の領域
そんなイメージもある
もしかしたら
女性という存在の
美に対する
男の嫉妬の歌
かもしれない
502
バンドやグループには
特殊な絆がある
楽しい時苦しい時を
一緒に過ごしてきた関係は
簡単には断ち切れない
選択する道は
どれも険しく思えて
それでもそれが
正しい選択だと
自分達に言い聞かせ
前に進む
その時せめて
歌が力になってくれと
祈るばかり
503
遠くから
見ていたときは
美しい場所が
そこへ行ってみると
思っていたのとは
違ったりする事がある
逆にいままでいた場所が
美しく見えたり
距離と時間は
いつも心を惑わせる
「私」という場所
そこだけを
見失わず
いられたら
いいのに
504
安全地帯
「あなたがどこかで」
どんな場所にいても
同じ「時」を生きている
愛すべき人たちへ
nhk.or.jp/minna/songs/MI…
505
本心に
相応しい言葉を
捕まえるのは
ほんとうに
難しい
言ってしまった後から
あゝ違うなと悔やんだり
時に本心からは遠い言葉で
大切な事を誤魔化していたり
そもそも心が正しいとは
限らないこともある
こんな仕事をしていながら
迷うことばかり
506
おそらく
否定されることを
怖れない
勇気が
なければ
表現者では
いられない
賞賛は
屈辱の
先にしか
ないものだ
傷つくことが
怖いなら
鑑賞者の
席にいるべきだ
507
表現はあくまで手段
目的は別のところにある
作ることは楽しいけれど
その先にも大切なことがある
歌を夢中で
聴いてくれている
そのまなざしに
報いる言葉を
捉えることができているか
例えば一曲
ほんの数分の歌でも
誰かの人生の
二度とない時間
508
先日
久しぶりに
吉川晃司くんと
少し話す時間があった
彼と話していると
音楽の話だけでなく
話題が膨らむ
実は歌から
遠いところに
近道があったりする
論理的に考える部分と
体幹で感じる部分と
「吉川晃司」の世界の
面白さは
その両方が
共鳴するところだ
509
音程もよく声量もあり
声も美しく表現力もあって
ビジュアルも悪くないのに
心が動かない
不思議
音程は不安定で声量もなく
枯れた声でぼそっと歌い
特に美男でも美女でもないのに
心に残る
これもまた不思議
510
誰かの作品が
採用されれば
別の誰かが
失業してる
座り心地の良い席は
それほど多くはない
そう、採用された作品は
多くの挑戦の
敗北の上にある
夢には残酷な一面もある
それでも追いかけるからには
それなりの覚悟もいる
屈辱に耐えられなければ
祝杯はあげられない
511
安全地帯の
「あの頃へ」は
北海道出身の
彼らへの
憧れを描いた
作品でもある
ソン・シギョンさんの
声のダイナミクスは
浩二とはまた違うけれど
また別の
「あの頃へ」
連れて行ってくれる
youtube.com/watch?v=UNvWT-…
513
自分に
父の記憶は
あまりないが
父のような存在は
人には必要だと思う
導いてくれたり
叱ってくれたり
時には反発したり
迷惑もかけたり
いずれにせよ
「あなた」がいたから
自分を諦めずにいられたと
そう思える誰かが…
例えばその人が
遠い人でも
思いあたる人がいるなら
信じていいんじゃないか…
514
Chageの歌は
過剰な装飾や
余計な武装を
していない
柔軟で
体温のある
奥行きは
言葉を選ぶ時の
拠り所だ
それは
はじめて
逢ったときから
変わっていない
youtube.com/watch?v=PQDS_5…
515
ご来場ありがとうございました。僕のキャリア中作品数二番目に多いアーティストなのに、なかなかお会いする機会がないので、嬉しかったです。 twitter.com/CanaariaStaff/…
516
優れたアーティストの
リハーサルに立ち会うと
リハーサルは本番のための
練習ではないといつも思う
いつどこであってもLIVE
その延長線上に
リハーサルも本番もある
更に言えば
歌と出逢ってしまえば
意識するしないに関わらず
その遺伝子を孕んでしまう
たぶん表現とは細胞分裂の
経過にしか過ぎない
517
同じ数字なのに
増えた100に怯え
減った100に少し安堵して
そして1は1だ
どんなに裕福な人も
どんなに貧しい人も
偉い人も普通の人も
被害者も加害者も
人種も国籍も
性別も年齢も
種も
関係なく
私という1
命という1
分母がどんな
数字になろうと
その1は
変わらない
519
山口百恵さんや
郷ひろみさんを
手掛けられた
音楽プロデューサーの
酒井政利さんが亡くなられた
いつもお元気で
エネルギーを頂ける方だった
ご冥福をお祈りいたします
さみしいです。
520
あの人がいなければ
あの歌がなければ
変わっていたかもしれない人生
聴いてきたどの曲も
作ってきたどの曲も
意味がある
たかが数分の曲でも
誰かの永遠の一端に在る事を
忘れてはならないな
521
心は
言葉に
置き換えて
はじめて
正体が
わかりかける
ところが
言葉には
ならない
心が
あることも
事実で…
その上
自分が
無知で
未熟な
故に
言葉に
できなかったり
手強いな。
522
BS少年倶楽部
佐藤アツヒロ×HiHiJets×ジャニーズJr.
「どーしようもない」やってくれた
オリジナルは1989年田原俊彦の作品
作曲は荒木真樹彦
シングルではなかったけど
とても好きな歌
少クラは過去の作品も
大事にしてくれる
その意味でありがたい
523
やりたい事を
やっているだけは
足りない
依頼に応えるだけでも
まだ半分
やりたい事を
やれる環境を
作れる人
或いは
やりたい事に
依頼が来る実績を
作れる人が
プロフェッショナルだと
思う
524
10月に生まれ変わる
渋谷公会堂
1987年
最後となった
BOØWY
あの夜
「Dreamin’」は
僕の中で
特別になった
戻れない時間の
連続の果てに
未来はあるが
ノスタルジィとは別に
思い出すべきことが
ある気もする
それ以前
それ以後
そこには自分の
分岐点も
きっとある
525
例えば街で
すれ違った人の
髪の香りに
記憶が蘇る時がある
歌にもそんな力がある
五感に繋がっているような
そんな歌を作りたい
体温や彩や
ただ聴覚だけに
留まるのではない言葉を
つかまえたい