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1番最後まで残る記憶は「香りの記憶」説がありますよね。雑踏の中、ふと反射的に振り返ってしまって。なんで振り返ってしまったのだろうと考えて、「あの人と同じ香りがしたからだ」とようやく気づいて。「忘れられたと思っていたのにまだこの身体には、”あの人”が染み付いてるんだ」と自嘲して欲しい
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「嘘つき」という一言は、責めるようでいて響きが甘いですよね。相手を睨みつけながら冷たく洩らす一言としても、涙を流しながら相手に縋ってこぼす一言としても、とろけた笑顔を浮かべながら耳に囁き落とす一言としても捉えられますし、あの人はどんな「嘘つき」を口にするのかを考えるのが楽しいです
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甘えるのが苦手だった人が、相手の甘さに溺れていくさまが魅力的ですね。甘やかされるのは子供扱いだと思って避けて生きてきたのだけれど、甘やかすのが好きな相手に出会ってしまったら欲が生まれて自分という形が崩れていって。2人きりになるなりピッタリくっついて、言外にねだってしまったなら良い
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「かっこいい」としか思われていない人を、恋人が「可愛い」とニコニコ表しているのが好きですね。「可愛い!?」と周囲に驚かれても「え〜可愛いよ」と揺らがなくて。「一体どこが可愛いの?」と尋ねられると、2人きりの時に見せてくる素顔のアレコレを思い出しながら「秘密!」と誤魔化してれば良い
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煙草の匂いは嫌いだったはずなのに喫煙者の恋人ができてから、1人になっても自分の肌や髪から相手が愛おしむ煙草の銘柄の香りが漂うと、まるで相手が残してくれた所有印のように感じてうっとりし「煙草吸ってみようかな」と相手の身体にも自分の痕跡を刻みつける瞬間を想像してしまう人の暗さが美しい
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ひとに愛されたことがないために、相手から注がれる愛情を「怖い」と感じてしまう人が愛おしいです。期待したら裏切られるだけと思っているから、「好き」と言われると、「嫌い」と言われる日がくるのだと想像してしまって。「嫌いになんてならないよ」の言葉に怖くなって、みっともなく泣いたら良い
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11月1日は犬の日ですね。”犬になる”という倒錯した場面には魅せられます。主導権を握った側が主導権のない側の頭を撫でて「今日から君は僕の犬だよ」と告げ、震えながら「うん」と言った相手に「犬は”うん”なんて言うかな?」と問いかけて「…ワン」という服従の言葉を引き出すのが悩ましいです
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死別した愛する人の香りを、香水にして身にまとうことが可能になったという事実は、失った恋人の香りを身につけ自分で自分の身体を抱き締めながら優しい眠りに逃げる人や、新しい恋人の身体に昔の恋人の香りを身につけさせて懺悔する人の想像をさせてくれるので、ロマンティックで素敵ですね
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キスで腰砕けになってしまう瞬間が艶めかしいですね。抱き寄せられて腰に手を回した瞬間までは意識がハッキリとしていたのに、唇が重なって食まれるうちに溶けてゆき、舌を噛まれたり粘膜をつつかれたりしているうちに力が全身から抜けていって、唇が離れると同時にズルズルとへたりこんでしまえば良い
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腕の中に相手を閉じ込めた時、あまりに相手の身体が小さくて細くて脆く感じられることに驚いて「このまま全身全霊で抱きしめたらこの身体は壊れてしまうかもしれない」と危うい考えが頭を過れば独占欲が満たされ満足して「もう…痛いよ」と声を上げられてしまう、体格差のある恋人達の仄暗さが好きです
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初めて相手とするキスの際に、人生のファーストキスでもないのに硬直してしまう人が愛おしいです。目を瞑る相手が自分の腕の中で待っているのを見た瞬間、余裕が吹き飛んでしまって。「この人、こんなに綺麗だったのか」とまつ毛の長さや唇のなめらかさに気付けば気付くほど、手足が動かなくなれば良い
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相手の顔が大好きで、相手の顔にとことん弱い人に胸ときめきます。腹が立つこと起こされて許さないとその瞬間は思っても、大好きな顔が悲しげに歪められて「ごめんなさい」と口にされたら、これ以上こんな表情はさせたくないとたまらなくて。気が付けば「いいよ」と返して、ほころぶ顔に見惚れたら良い
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報われなくてもいいと謙虚に思っていた人間が、両思いになって欲張りになってしまう姿が、艶めかしいですね。「好きになってくれるなんて」と奇跡にすら感じたのに、両思いの実感が芽生えるにつれて、「もっと見て」「もっと構って」と欲が増えてしまって。自身に呆れながらも、後戻りできなければ良い
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普段は大人っぽい人が、相手の前でだけ子供のようになって甘えている姿に胸を掴まれます。頭を撫でられながら「君は普段もっとしっかりしてるのにね」と笑われるので、唇をとがらせて「だって君しか甘えさせてくれないんだもの」と呟いて「うん、分かってるよ。好きなだけ甘えて」と包み込まれたら良い
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「愛してる」なんて普段は言えない恥ずかしがり屋の人が愛しいです。相手が眠りについていると思って、そっと髪を梳いて「愛してるよ」と勇気を出して言ってみたらパチリ目を開けられて逃げようとした手を捕まえられて「もう一回言ってよ」と言われるので、一瞬で羞恥が回って舌がもつれれば可愛いです
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相手が隣にいなくなってからようやく、存在の大切さを知る姿が狂おしいです。今までは当たり前のようにあった”好きだよ”と言う優しい声や甘やかしてくる手や冷たい肌をあたためる熱が消えたことに呆然として、1人でバカみたいに泣いて、謝る対象はもういないのに無性に謝りたくなったら寂しくて良い
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雛鳥が初めて目にしたものの後を追うように、初めて優しさを与えてくれた相手を庇護者と認識して知らず知らずに依存した愚かな人と、相手を自分に依存させるために、親鳥のごとき無償の優しさを与えた狡猾な人の閉じた関係に惹かれます。第三者の割り込みも変化も許さずに、愛の巣にこもっていて欲しい
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「黄泉の国で記憶や愛や絆を失って転生することを拒み、拒んだために川に身投げさせられ、千年もの間、冷たい水底で耐えてから転生する人達がいる。彼らの頰にはえくぼが刻まれる」という中国の伝説があるそうですね。恋人に「僕の頰を見て。君にまた会うために千年待った証だよ」と告げる人が愛おしい
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背の低い相手は慣れていますから、あえて背の高い相手が頭を撫でられる姿に胸がときめいてしまいます。高身長が低身長の相手に「かがんで」と言われてわけもわからず身をかがめると、「よく頑張ったね」と言われて頭頂部をぽんぽんと優しく撫でられるので、じわじわ愛しさと恥ずかしさがつのったら良い
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相手の「食べる姿」に、ひそかに欲望を揺らされてしまう人がいじらしい。食欲旺盛な相手が、口いっぱいに頬張って大きく頰を動かして次々と飲み込んでいくものだから、なぜか目が離せなくなってなぜか頭がじんわり熱を持ってきて。ふと「自分もああやってガツガツ食べられたい」と想像してしまえば良い
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相手の匂いに安堵を覚えてしまう人が、可愛らしいですね。抱きしめられると包まれるその匂いに、心も溶かされる気になってしまうから。1人きりの時も相手の服を借りて、そっと息を吸い込んで満たされて。瞬間浮つく頭で「あの人が好きなんだな」と、どれだけ自分が本能からも染められてるか知れば良い
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いつもは愛が直接的な恋人に「愛してるよ」や「綺麗だね」と甘く告げられる度に「うるせぇ」や「黙れ!」と力強く切り捨てる素直になれない人が、相手と肌を重ねる際に「愛してるよ」や「綺麗だね」と囁かれると抵抗する力も余裕も残っていなくて、いやいやと力なく首を振るだけになる姿に夢見ています
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攻めが受けの身体にキスマークを残すのも色っぽいですが、受けが攻めの身体にキスマークをつけるのもそそられますね。「見えないところにしろよ」と言われたのに首筋の、シャツでギリギリのところに唇を寄せて強めにキスをして跡を残して。「悪いことができないように…ね?」と笑っているのが好きです
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歳の差があるからと、子供扱いしてくる年上に苛立ってしまう年下がいじらしいです。日常の戯れとして頭を撫でられるから、自分が幼児のように思われてる気がして「ちゃんと恋人なのに」と言いたくなって。けれどこんな主張をしたならますます、可愛い年下として見られることが分かるから、唇噛めば良い
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相手にだけ弱味を見せられる関係は素晴らしいですよね。いつもは人前で気を張っている人が、心を許している相手の前でだけは弱音を吐き涙を流して脆い姿を見せて甘えることが出来て、自分より弱い身体に縋り付きながら「君がいてくれるから強くいられるんだ」と零している姿には倒錯した美を感じます