2026
相手にとっての「世界で一番愛する人」になれないのなら、「世界で一番憎い人」になりたいと願ってしまった屈折した人に、惹かれてしまいます。向けられる鋭い視線も、吐き捨てるような口調も、「嫌いだ」の言葉にも満足を覚えて。「そのままずっと、僕だけを憎いと思っていてよ」と心中で呟いたら良い
2027
髪を撫でて甘える瞬間に、いじらしさを感じてしまいます。「構ってほしい」の一言が言えないばかりに、相手の髪に触れて毛先に指を絡めて軽く引っ張ってみて。意思に気付かれて意地悪をされて「なに」と問いかけられたら、指先で恥じるように弄びながら「なにって。そんなこと聞くの?」と躊躇えば良い
2028
禁じられた2人が、唇以外への場所へと落とすキスが危うくも美しい。そっと顔を近づけてみれば「ダメ」と指先を当てられるから、苛立ち紛れにその指に口付けて。手の甲から腕、腕から二の腕と少しずつ箇所を増やして、慌てる身体をとどめて、「唇以外は許してくれるでしょう?」と止まらずにいれば良い
2029
自分の好みの服を一式贈る、甘美な独占欲に惹かれてしまいます。美しい身体に自分の証を刻み込みたいとの願いを、生々しい形ではなく叶えようと考えて。選びぬいた服に靴にアクセサリーを贈って、喜ぶ顔を見ながら「これを身につける時には、僕のことを思い出してしまうんだろうな」と満たされたら良い
2030
目には見えないからこそ禁忌の香りが強い、「香り」のお揃いに目が眩みます。関係を秘密にしている2人が、もし目についたらとお揃いの品を身につけられないばかりに、秘めやかな束縛の形を思いついて。相手の身体に自分と同じ香水を振りかけてから鼻を寄せて「おんなじ匂いだね」と静かに微笑めば良い
2031
「愛しています」を告げた後に「ごめんなさい」を付け足すしかない、屈折を抱えた人に愛おしさを覚えます。こんな自分でごめんなさい、あなたを好きになってしまってごめんなさい、押し隠すことが結局出来なくてごめんなさい。全てを込めて6文字を口にして、「それでも好きなんだ」を思い知ったら良い
2032
思いに応えられないから、「愛してる」と何度捧げられても、「ありがとう」と返すだけの、寂しさを抱える人に惹かれてしまいます。その5文字を口にする度に相手の顔がわずかに歪むから、本当は他の言葉を与えてあげたいなと思うのに。それを口にしたら後戻り出来ないと分かって、今日も飲み下せば良い
2033
過去を悔やんでも仕方ないとは分かっているのに、相手以外の人間をどうして愛してしまった時があるんだろうと、終わりない悩みにひたってしまう人が愛しいです。「もっと早く出会いたかったな」とふとした時に口にしてしまったなら止まらなくて、「君だけの人生なら良かったのに」と溢してしまえば良い
2034
相手ではない人間と愛し合った過去があることに、ひそかに罪悪感を覚えている人が美しい。この人以外ではダメなんだと実感すればするほどに、過ぎ去った瑣末な恋愛が自分から相手に対しての裏切りに思えてきてしまって。思わず「はじめてでいられなくてごめんね」と、歪んだ感情を吐露してしまえば良い
2035
相手の香りに欲を呼び覚まされてしまう人がイケナイですね。普段は体臭なんて不潔だと感じて、自分の身体も常に清潔にしているのに、愛する人の香りだけはどうしても嫌だとは思えなくて。汗ばんだ身体に鼻を押しつけて、子犬のように息を吸ってしまって。「そんなに好きなの?」と笑われてしまえば良い
2036
香りと記憶は密接に結びついていますから、香りで思い出が蘇ってしまう人が愛しいです。1人きりの夜は眠れないからと相手の服を抱きしめたのに、抱きしめた瞬間に顔が浮かんでしまって。どんな表情をいつも向けられるか、どんな触り方をしてくるかと思い出して、じんわり熱い身体で眠りが遠のけば良い
2037
周囲から「可愛い」と決して呼ばれない人を、たった1人の人間が「可愛い」と表現する姿に特別さを見てしまいます。「みんな可愛さに気付いてないだけ」と言うくせに、「だったら、どういうところが?」と例を求められたら誤魔化して。内心「あの人の可愛さは自分だけのものだから」と考えていれば良い
2038
「可愛い」の言葉に慣らされていく過程が甘美。最初は「可愛い」と言われる度「なに言ってるの」と反発していたのに、そのうちに「今日何度目?」なんて茶化す余裕が生まれて。今は当たり前のように受け入れて「ありがとう」だけで済ませて、自然に「自分は可愛いんだ」と思う変化が生まれていれば良い
2039
相手を抱き込む形でするキスに、ドラマティックさを見てしまいます。柔らかく腰を抱き寄せて優しく口付けたのに、重なった唇に交わった舌に混ざり合った唾液に、理性を持っていかれてしまって。気付けば離すまいとキツく力を込めていて、唇を離した後に「意外と独占欲強いんだ」と笑われてしまえば良い
2040
経験が少ない人こそ、激しいキスを仕掛けられてほしいですね。重なった唇の柔らかさを理解する前に、舌が入り込んでくるから「待って」の言葉も浮かばずに。口内を蹂躙されて、思考を塗り潰されて、身体の自由を奪われてしまって。長いキスの終わりにはただ相手に縋りつく形になってしまっていれば良い
2041
相手からの痛みを愛おしいと感じてしまう、歪さを内包した愛に惹かれます。常日頃は温和で、棘のある言い方ひとつしない相手が、肌を重ねる時に我を失って手首を掴んできたことを思い出して。思い出せば肌が興奮でざわついて、少しばかり赤い身体にそっと口付けて「消えないでほしいな」と考えたら良い
2042
普段は決して汚い言葉を使わない相手が、ベッドの中で歪な単語を発することを、特別だと感じてしまう人の倒錯が素敵。怒ってもいいのに怒りたいのに、囁かれると耳から熱を持ってしまって。「なんでそんな嬉しそうな顔をするの?」と問い詰められればたまらなくて、さらに言葉を引き出してしまえば良い
2043
相手の「食べる姿」に、ひそかに欲望を揺らされてしまう人がいじらしい。食欲旺盛な相手が、口いっぱいに頬張って大きく頰を動かして次々と飲み込んでいくものだから、なぜか目が離せなくなってなぜか頭がじんわり熱を持ってきて。ふと「自分もああやってガツガツ食べられたい」と想像してしまえば良い
2044
肌を重ねた夜を過ごして、朝に食卓を囲んでから不意に恥ずかしさに包まれてしまう人が、愛おしいです。カップを掴む指を見れば「あの指にどう触られたか」が蘇り、食べ物を飲み込む口を見れば「あの唇にどう虐められたか」が蘇り、もはや全てがスイッチになってしまって、食事どころじゃなくなれば良い
2045
寝顔にふと見惚れてしまう瞬間は、甘美で惹かれてしまいますね。常日頃は大人っぽいなと尊敬している相手が、無防備な眠り姿をさらしているのを見て、揺れる心があって。「こんな顔もするんだね」と前髪を撫でてから自分の行動に気が付いて、「ちょっと驚いてしまっただけ」と内心で言い訳をすれば良い
2046
苦し気な相手の眠り姿に、胸をかき乱されてしまう人がいて欲しいです。悪夢を見ているのか顔を歪めて、小さな呻き声をもらす姿を見たら、たとえ目覚めたら消えるような辛さと知っていても、無視することは出来なくなって。「…その辛さは肩代わりできないものなのかな」と自分の無力さを痛感すれば良い
2047
恋人の名称はついたものの、なかなか一歩を踏み出すことが出来ない焦れったい2人に魅了されます。もう恋人なんだから、手を繋いだりキスをしたりすることに躊躇う必要はないと知っているのに、どうしても意識しすぎてしまって友人の頃から変化を遂げられなくて。「触れたい」の想いばかり膨らめば良い
2048
「大切にしたいから」手を出せない相手を、「本気じゃないから」手を出してこないんだと、正反対の勘違いをしてしまう人がいじらしいです。言葉はいつだって優しいのに触れることにはいつも躊躇っている相手を見て、「本気じゃないならこんな気持ちにさせないでほしいな」と胸をかき乱されていれば良い
2049
酔っ払って初めて、相手を誘うことが出来る寂しい人が愛おしいです。普段なら隣に並ぶことすら躊躇うのに、アルコールの力を借りれば、身体に触って、「好きだよ」と甘ったるい声で形作って。呆れ笑った相手に「酔ってない時に言ってくれたら、本気にしてあげる」と言われて、胸を締め付けられたら良い
2050
身体から始まってしまう、遠回りな恋の形に美しさを見ます。求めた夜はあるのに話した朝はなくて、最初から向き合ってみようと思えば、難しいばかりで。「君のこと、なんにも知らないから教えてよ」と溢せば、「なんにも知らないなんて言える仲じゃないよね」と返されることの、もどかしさを知れば良い