2076
川端康成の小説『化粧の天使達』に、「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます」という一文があるそうですね。別れを予感した人が、相手が毎年花を見て自分を思い出してたまらない気分になるようにと願って、そっと花の名を教えて一生自分を忘れられないようにしたなら良い
2077
相手に「私が死ねと言ったら君は死ぬのか」と問われた時、静かに微笑んで「当然そうだ」と返す関係が好きです。「お前だって俺が死ねと言ったら死ぬだろう?」と尋ね返し、震える相手の手に指を絡めて「そんな当たり前のこと聞いてくるなよ」と言う、死すら分かつことが出来ない強固な2人組は美しい
2078
2人でいる時は会話が少なくてポツポツとしか喋らないから周囲に恋人と知られることも少ないのだけれど、それは言葉で自分を相手に説明する時期はとうに過ぎて、もう何も口にしなくても相手の考えていること思っていることが分かるから会話が減っただけの、強い信頼と理解で結ばれた恋人達が気高いです
2079
11月11日はジュエリーデーですね。相手の瞳を宝石にたとえて褒め称えるロマンチストに惹かれます。「あなたの瞳は宝石よりも美しくて人を引きつけますね」と瞼にキスを落とされ「僕がこの世で唯一、手に入れられない宝石があなたなんだ」とうっとり囁かれるから、じわじわ赤くなっていってしまえば良い
2080
嫉妬を、少しずつ見せられるようになっていく人が、いじらしいですね。最初は、嫉妬なんてしたら嫌われると思って相手が他の人と仲良くしても必死で笑顔を作って耐えていたけれど、次第に心を絆されて嫌なことは嫌と言えるようになって。ワガママを言ってご機嫌取りをさせる喜びを、知ってしまえば良い
2081
恥ずかしくて愛を告げたことがなかった人が、ある時勇気を出して恋人に「愛してる」と囁いたら号泣されて、途切れ途切れの言葉から、自分が愛を告げないから相手は本気の愛だと信じることが出来なかったのだと知り、時間を埋めるように「愛してる」と繰り返して涙に口づける姿がロマンチックで好きです
2082
普段はクールなのに、相手の前でだけは甘えたがりの一面を存分に見せる人に撃ち抜かれます。「抱っこして」「なでなでして」「褒めて」と次々に口にして、引っ付いたなら離れなくて。頬を緩めた相手に、「君が2人きりの時はこんな姿だなんて皆は知らないね」と言われたら、黙って赤くなっていれば良い
2083
肌を重ねる時に、見られることを嫌がる相手が甘美ですね。だらしない姿を晒して百年の恋も醒められてしまうのが怖くて、「お願いだから暗くして」とねだって。視界が閉ざされた分、鋭敏になった聴覚や触覚でひとつひとつの快楽を拾い上げてしまって、今度は、声を耐えることに必死になってしまえば良い
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身につけるものを贈る人の、ひそやかな独占欲に惹かれてしまいます。「きっと似合うと思ったから」と気軽に口にして贈りながら、本当は、相手が身につける時に自分のことをクッキリと思い浮かべることを計算していて。自分の目が届かない瞬間も、自分に縛られている関係性にウットリと浸ったなら良い
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顔が好きすぎるあまりに、しばしば見惚れてしまう人が素敵です。見慣れてはいるはずなのに慣れることはなくて、ふとした瞬間に「本当に美しい顔をしてるな」と息を忘れて眺めてしまって。「あれ?今見惚れてなかった?」とからかわれても、余韻からいつものようには突っぱねることが出来なければ良い
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優しい相手だからこそ「ひどくされたい」と屈折した感情を持ってしまう人が甘美です。こちらが悪い時でも怒った顔なんて見せなくて「大丈夫だよ」と笑っているばかりだから本心を隠されているような気がして。「ひどくしてくれてもいいのにな」と激情をぶつけられる夢想をして、溜息を吐いたならば良い
2087
首の後ろや背中にキスをすると、艶っぽさが際立ちますよね。無防備な首の後ろに唇を当てられるから、その熱さと厚さをいつも以上に感じてしまって、ぞわりと肌が潤みを帯びて。「やだ」の言葉も弱々しく、背中にもキスを落とされて。見えないからこそいっそうに、相手の欲を深く感じてしまったなら良い
2088
弱者が強者を押し倒して熱のこもった瞳で見下ろしながら「どうして逃げようとしないんですか」と尋ねたら、強者は征服されているとは思えない余裕の笑みをふっと浮かべて「どうしてか考えれば分かるだろう?」と答え、相手の熱を煽って欲しいです。追い詰められた場面でも態度を崩さない強者は色っぽい
2089
相手の家から帰ろうとしたら不意に玄関でなにかを握らされて「また」と言われて追い出されるから、扉が閉まってから手を空けてみると合鍵があって、思わず扉にずるずると体を伝わせて座り込み「もうちょっと素直になれよバカ」と声にしてはみても口元には思わず笑顔がこぼれてしまう別れ際が愛しいです
2090
相手に火をつけるためにわざと口にする、「ダメ」の一言が色めいていますね。制限をつけられると反対にしたくなってしまうのが性だと分かって、「ダメ」と音にして、そのくせ身体は離さずにいて。案の定、我慢がきかなくなった相手が覆い被さってきたなら、「ダメって言ったのに」と微笑んだなら良い
2091
キスをする際に、相手の腰に手を回してしまう人が艶めかしいですね。自分からしたいなんて言えなくて、降ってくる唇を受け入れる時もされるがままなのに、唇が重なったなら腰に手を回してギュッと引き寄せて。その、言葉にはされない愛の強さが相手に、「こういうところが可愛い」と映っていたなら良い
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年の差があるカップルは、年上が年下を「子供のくせに生意気だ」と苦々しく見ていて欲しいですし、年下は年上に「大人のくせに何も分かってない」と悔し気に考えていて欲しいですし、そのくせふとした時に「子供なのに賢い」「大人って凄いんだな」と相手を認めて、尊敬の目を向けてしまったら萌えます
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愛し方が分からないから誰彼構わず拒絶していつも人に遠巻きにされている人と、愛され方が分からないから誰彼構わず媚を売っていつも人に囲まれている人という、正反対なようで似た2人が好きです。最初は「バカなやつ」とお互い軽蔑しているも、次第にその軽蔑に水気を帯びた憧れが混じってきたら良い
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自分より細い相手を、華奢なように思って慎重に触れてしまう人が、美しいですね。自らと比較すると細いだけで、一般的に華奢なわけではないのに、脆い細工のように思い込んでしまって、抱きしめるとなれば緊張して。「もっと強く抱きしめてよ」と率直にねだられても、力をこめるのは難しかったなら良い
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嘘をつき続けて生きてきたがために、もう自分の本心が分からなくなってしまった道化者のさみしさは魅力的ですね。相手に「大嫌い」と睨まれたら「僕もだよ」と反射的に返してせせら笑いながら、なぜ自分の胸はチリチリ痛むのだろうと疑問に思ってけれど本心を追及することから逃れる愚かさに惹かれます
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11月11日はポッキーの日ですね。「ポッキーの日だからポッキーゲームしよ!」と言ってみたら笑われて、「くだらないって言いたいの?」と拗ねたら首を振られ、「そんな口実使わなきゃ、キスにも誘えないのかと思ったら可愛くて」と返されて恥ずかしくなり、反論をしかけても甘いキスで封じられたら良い
2097
他の人を好きな相手に恋をしてしまう切なさに惹かれます。相手が報われない恋に苦しんで涙を流している時、そっと隣に寄り添って「君は優しいね」と肩にもたれかかられて。その身体を不器用に撫でながら「じゃあ優しい私にしなよ」と言ってしまえばなにか変わるのかと考えながらなにも言えなければ良い
2098
「君だけいればいい」と言われたいと、願ってしまう人が狂おしいです。相手には多くの大切なものがあることは分かっていて、その中のひとつになれただけで幸せだと普段なら思えるのに、ふとした時に、その他大勢が過ってしまって。「"君だけいればいい"って嘘でも言われたいな」と溜め息吐いたなら良い
2099
他人の優しさに触れたことがなかったから「寂しい」との感情を持ち合わせていなかった人が愛おしい。相手から「特別だよ」の言葉を与えられて、落ち着いた体温に慣れ親しんだからこそ、1人きりでいる時には空白を感じてしまって。「これが寂しいなんだ」と気付いた瞬間、目の奥が熱くなったなら良い
2100
相手の顔だけが好きという関係は素敵。言動は論外なのに「顔だけなの?」と縋られると否定も忘れて見惚れたり、相手の顔を眺めてため息ついて「顔だけは完璧なのに」と呟くと「褒めてる?」とじゃれつかれてまたため息ついたり、中身が伴えば…と呆れながらも次第に相手の魅力に引きずり込まれれば良い