1926
恋愛下手な人は、相手を誘いたいけれど言葉なんて見つからないからただ首筋に顔を埋めて「ねぇ…この後さ。分かるでしょ?」とだけ言って、魂胆が分かって楽しくなってしまった相手に「なーに?言葉にしてくれないと分かんないよ」と振り返られて笑われてしまったら「意地悪」とそっぽ向いて欲しいです
1927
相手を愛するあまり、相手の束縛に喜びを感じてしまう関係は、仄暗さの中にひとさじの甘さがありますね。抱きしめられて「君に首輪つけてこの部屋から出られないようにしたい。君が僕だけを見るようにしたい」と囁かれたら、かすかに笑って「そんなことしなくても、君しか見てないよ」とキスしてほしい
1928
「浮気されたらどうする?」と尋ねられた瞬間に黙って。しばらくしてから「どうするもないし。されたらされたまでだから、別に」と顔を伏せたまま口にしたあと、「ねぇ、それって例え話だよね?」とかよわく震えて。「ごめんなさい、例え話です!趣味の悪い例え話でした!」と謝らせてしまう人が愛しい
1929
2人で夜道を歩いている時に月に目を止めて「月が綺麗だね」と口にしようとするも、その言葉にまつわる謂れを思い出して途中で黙ってしまう人は可愛らしい。相手も沈黙の意味を知り赤くなるのも、何も知らず「月がなに?」と追い討ちかけるのも良い。片思いの人は月を褒めることすら敏感になって欲しい
1930
看病をしてもらう話が好きです。病気だからこそ寂しい気持ちが増して看病してくれる相手の存在がありがたく思えて、熱い手で平熱の手をとらえて「どこ行くの」と尋ねて「買い物に行ってくるだけだよ」と苦笑する相手に「…もうちょっとだけこうさせててよ」と普段なら口にできない甘え方をすれば可愛い
1931
相手が自分に甘すぎることを十二分に自覚している人が罪深いです。どんなことをしても言っても本気では怒られないことが分かってはいて、分かった上でちょっと甘えてみて。「そうやったらすぐ許されると思ってるよね?」と尋ねられたなら、柔らかく微笑んで「うん、思ってる」と返してしまったら良い
1932
過去のトラウマから他人を好きになることを恐れていた人が、じっとりと溶かされていくさまに夢を見てしまいます。最初はよぎっていた過去が、相手の優しさのおかげで思い出さなくなっていって、もう二度と誰かを好きになることなんてないと思っていたはずなのに、自分自身に裏切られてしまったなら良い
1933
自分の感情を、回りくどい言葉や慣れた笑顔で誤魔化す人が、相手の前でだけは素直に甘える姿が愛おしいですね。人前ではそつなく振る舞っていたのに、2人きりになるとドッと疲れた気がして、すりよって抱きついて手を回して。「なんか疲れちゃった」とそのまま口にして、よしよしされにいったなら良い
1934
キスマークを「つけてほしい」とねだる姿には色っぽさがありますね。相手を自分に縛り付けておきたいから、「跡つけて」と口にして肌を自ら晒して逃れられなくして。鈍い痛みとともに刻まれた跡を撫であげながら、「一生消えなければいいのになぁ」と、すぐ消えてしまうことを残念に思ったならば良い
1935
事後に恥ずかしくなってしまう関係性が可愛らしいですよね。肌を重ねている瞬間は熱のままに口付けて、手を背に回してキツく引き寄せて、「愛してる」の言葉も躊躇わずに捧げられるのに、肌を離すと気恥ずかしさばかりが湧いて。「なんで目すらまともに見れなくなるんだろ」と赤くなる顔を抑えたら良い
1936
「君を救えるのは僕しかいない」と使命感を感じている愛も良いですけれど、「君を殺せるのは僕しかいない」と思い詰めるている愛もドラマチックで惹かれます。殺意の実情は、君を殺さないと生きていけないでも、僕のいない世界で生きる君は可哀想だでも良い。死が密接に結びついた激情は美しいです
1937
素直になることが出来ない人が、アルコールのせいにして甘えてしまう姿が魅惑的です。普段はお堅いのに、お酒を飲んだならしなだれかかって、正直に愛の言葉を口にして、「いつもこれぐらい甘えてくれたら可愛いのに」と笑われながら甘やかされて。本当は理由にしただけで、全く酔っていなければ良い
1938
肌が赤くなりやすいというのは、艶っぽい体質ですね。相手に首に触れられただけで首が真っ赤に色づいてしまい、そのことに気づかれて、「これだけで赤くなってたら、この先君はどうなっちゃうの?」と耳に囁き落とされたら耳から全身へと熱が回って火がついたようになり、「可愛いね」と笑われてほしい
1939
相手の声に惹かれてしまう関係が愛しい。鼓膜を震わせる響きが好きで、会話なんて何度でもしたのに、何度だってその声に魅力を感じてしまっていて。たまらなくなって「好きって言って」と強請れば耳に口付けられて。「好きだよ」と落ちてくる言葉の意味よりも声の質に、熱が上がってしまったならば良い
1940
「ファーストキスはレモンの味」という物語が浸透しているからこそ、初めてのキスの後「レモンの味、しないね」と呟く2人は存在しますし、レモンを使った食べ物を口にした後にキスして「まるでファーストキスみたいだね」と笑う2人は存在します。世界は明るいです
1941
素直じゃない恋人への意地悪で、言葉にされるまで決定的な刺激を与えずいたぶるのが生々しくて好きです。熱い唇を首筋に押し当てて、耳朶をやわく噛んで、ボタンを1つ2つ外しながらのぞいた肌に指を這わせて。けれど熱を引きずり出された相手が「もう…」と呟いたら「もう、なに?」ととぼけたら良い
1942
相手が隣にいなくなった瞬間に、自分がどれだけ依存していたか実感してしまう人が、いじらしいですね。いつもは隣にいてくれるから、大切さを改めて反芻することはなかったけれど、いなくなってしまったなら、心がざわついて落ち着くことができなくて。「寄りかかってたんだな」とため息吐いたなら良い
1943
相手に夢中なあまり、全ての行動が惑わせるものに見えてしまう人が、愛おしいですね。さりげなく触れた指先やフッと逸らされた視線や突然かすれた呼び声の、全部が全部色めいて見えて、「わざとしているんだろうか」と頭を占められて。答えなんて出せないままに、ますますのめり込んでしまったなら良い
1944
「愛している」が口にできないばかりに「君は特別だよ」の言葉に逃げてしまう、臆病な人が愛おしいです。それ以上の決定的な一言を求められているのは分かっていてもどうしても勇気を出せなくて、静かに微笑まれて「それしか言ってくれないんだね」と責められたら、視線を向けることも出来なければ良い
1945
酔ったフリをして、相手に甘える人の弱さが可愛らしいですね。本当は頭はしっかりと冴え渡っているのに、「酔ったの?」と問いかけてくる顔があまりにも眩しく見えたから、小さく頷いてみて。「酔っちゃった」と自分に言い聞かせるように口にして、そっともたれかかって、つかの間の幸せを感じたら良い
1946
自分が与えられるものは何もないと、思い込んでしまっている人が、いじらしいですね。相手からプレゼントをされるたびに嬉しいのに心苦しくて、「返してあげられないのに」と思ってしまって。本当は相手は、微笑まれるだけで好きと言われるだけでありあまる幸せを与えられていると、知らなければ良い
1947
相手を好きになったことで世界が輝いて見える恋も良いけれど、相手を好きになったことで世界が狭まり、増幅していくばかりの想いを自ら恐れる恋も良いし、恋に悩んで苦しんで「もうあの人を好きでいることをやめたい」と思い詰める人は輝いて見えます
1948
初恋の面影を追い、似た人ばかり好きになる人の歪みに惹かれます。勘の鋭い似た人に「君は本当は誰が好きなの」と尋ねられて一瞬固まったり、何も知らない初恋の人に「君が選んだ人は素敵な人だろうね」と微笑まれて「素晴らしい人だよ」と返す声が掠れるような、一抹の背徳感を抱えていたらなお素敵
1949
夏にクーラーの壊れた蒸し暑い部屋で2人が肌を重ねるのは素晴らしい様式美ですね。「暑いって!暑苦しい!」と最初は身体を密着させられたら怒っていた人が、汗ばんだ肌に舌を這わされて、日焼けして敏感になった肌を刺激されて別の意味で熱くなっていき、「やめてもいいの?」と尋ねられて黙れば良い
1950
「出会わなければ幸せだったのに」と思ってしまう歪んだ恋に惹かれます。相手と出会ってからは苦しいばかりで、これからも狂わされていくことが分かるから逃れたいのに、逃れられる気配が微塵もなくて。「出会わなければ幸せだったのに」と思いながらも、相手を知らない人生なんて思い描けなければ良い