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審神者を引退すると決めた翌日、政府から手紙が届いた。
なかなかの厚みをしたその手紙の封筒には、とても美しい字で【辞める事を決意したあなたへ】と書かれている。一体なんだろうか。私は少しの緊張と、それから妙な高揚感と共にその封筒を開いた。
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母、刀剣乱舞で何故か千子村正と御手杵をミュのキャストまで合わせて完璧に覚えてるし、ステの大包平に至ってはキャストの名前を大包平さんだと思い込んでる。何故。
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一度で良いからヒールの高い靴を履いてみたいと思っている歌仙。しかし意外にも足が大きく、また横幅も割と広い為にこっそり買ってみた靴はどれも痛くて履けない。そもそもヒール靴の選び方も分からない。詳しそうな審神者なり加州なりに聞けば良いとわかっているが、プライドが邪魔をして聞けない。
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近所に、今どきそんな不良逆におらんぜ?ってくらいの不良っぽい人がいる。別に喧嘩するとか騒ぐとかではないんだけど、服装が完全に不良。多分高校生。
で、そいつが今日田んぼの脇に座ってて、何してんのやと思って通り過ぎる時覗いてみたら、おたまじゃくし捕まえてた……。田舎産不良最高か?
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各刀剣たちが言うと怖い一言
三日月「今日は随分風変わりなものを連れておるなぁ。」
小狐丸「そんなものまで愛でるとは、主様は博愛でいらっしゃる。」
石切丸「……日が暮れたら、鏡を見てはいけないよ?」
岩融「今日は眠らぬ事だ。」
今剣「ふりかえっちゃだめですよ。」
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その審神者は、幼いうちに亡き母の跡を継いで本丸に入った。ギリギリ文字を読めるくらいの歳であった。無論、仕事なぞろくに出来はしない。暫くの間は担当官と政府施設所属の審神者が代理を務め、審神者は中学生になるまで学業に専念するという方針になった。
そんな審神者の世話係は秋田藤四郎だ。
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とある本丸の審神者が産んだ子は、人見知りが激しい。演練会場へ連れて行っても基本的にほぼ顔を上げられないし、刀剣男士の傍を離れられない。その刀剣男士も、加州か五虎退が精一杯。
ある日、親である審神者が受付をする為に離れた瞬間、突如会場に警報が響く。
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刀剣乱舞、審神者をやってるとどこまでが公式でどこからが幻覚なのか分からない。
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鬼が全て滅して、ほんの数年も経たぬ頃、風柱様が逝去なされた。
痣者となられ、強さと引き換えに寿命を明け渡したのだと、しがない元隠にはその程度の情報しかない。なにせ家族もなく、戻る家もないからと鬼殺隊の解散後も産屋敷家の細々とした雑事を片付ける仕事を与えて貰えただけの端役だ。
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の審神者は、親も審神者をしている審神者家系の出である。その為、審神者は普通の審神者よりも早い段階で刀剣男士と触れ合い、知識を得ていた。政府職員にも知った者が多く、審神者は早々に抜きん出た存在になった。
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職場で、片付けが出来てなかったり補充がされない、もしくは私に報告もないまま放置されてるような時、毎回「万死!!」って怒ってたら、職場の人達が「万死タイム」と呼ぶようになった。そんなんいいから次の人の為にも補充するか私に一言言いに来い。
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伊黒さん、転生したあと薄ぼんやりと記憶があるといい。でも薄ぼんやりだから覚えているのは桃色と若草色のとても可愛い女の子が居た事と、その子を何としても嫁にして幸せにして添い遂げねばならないという、蛇のような執念だけ。
ある日偶然その子を見付けて、更に記憶が戻る。
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朝、どうしても起きれない審神者を起こす時の五段階刀剣スヌーズ
1.初期刀、もしくは初鍛刀
まずは基本に忠実に、「朝だよ」「起きろ」などの声掛け、カーテン等を開けて陽を室内に取り込むなどの動作。年に数回はこれで起きる。朝ごはんの匂いと共に起きれるのである意味幸せ。
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太刀、大太刀、槍、薙刀の運転の仕方
・三日月
運転は基本させる側。運転させると、青信号に変わった時の反応がトロ臭い。
・小狐丸
割と上手いけど、渋滞が嫌いだからしない。クラクション鳴らされるのも嫌い。
・石切丸
法定速度厳守で車線変更はしない、と言う見た目で普通に飛ばすし変更する。
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#バイトやらかし大会
電話当番だった日、ふざけて他のスタッフとただいマンモス〜とか言い合ってたら電話が鳴って、ルール通り2コール待ってから取った一言目が
「お電話ありがとうございマンモス!」
で電話の向こうと待機場のスタッフ両方が吹き出した。
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本丸に顕現する刀剣男士には、何故か必ず一振りだけ、精神が不安定なものが居る。刀種や個体に決まりはない。不安定さの程度はそれぞれで、雨の日になると引きこもりがちになる程度のものも居れば、審神者の些細な言動一つで存在意義にすら干渉してしまうものも居た。
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打刀の愛情を考えると、そこはもう沼なのよ……。
・鳴狐
手厚い世話も何もしない。声掛けもそこまでする方じゃない。でも、ちゃんと見ている。頑張っている所、悔しく思っている所、ちゃんと見てくれている。彼だけは、ちゃんと知ってくれている。あなたがどれだけ、真剣に頑張ってきたのかを。
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の審神者は、賢くなかった。理解力に乏しく、基本的には何事も一度で説明を理解出来た試しがない。当然審神者の仕事も失敗が多く、その度に初期刀である歌仙が頭を抱える羽目になった。
だが、審神者は素直であった。馬鹿だからロクな嘘も吐けないのだ。
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の審神者は、写真を撮る事が趣味であった。プロではないし、カメラも良いものを使ったりはしていない。普通に端末を使って撮ったり、学生時代に安売りで買ったデジカメを愛用していた。
本丸へ来る時も、審神者は自分が撮った写真を持って来た。
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これは、とある小さな審神者ちゃんの話である。
「あのね、たんとうかんさん、ひみつのおはなしがしたいです。」
二月のはじめ、そんな緊急連絡を受けた担当官はその途端全ての業務を隣のデスクに座っていた同僚に丸投げし、荷物を担いで審神者ちゃんの本丸へと駆け出した。
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母、Sを見ながら
母:なんかあれね、文化祭で実は密かに仲の良かった優等生(篭手切)と運動部(御手杵)と不良(明石)がサプライズでめちゃくちゃカッコイイユニットを組んだ感じね。
私:急に謎の妄想力見せ付けてくるのやめてくれる?
母:同じ中学とかだと良いね。
私:(現パロ……)
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審神者の娘が生まれた時、一度だけ抱っこした刀剣男士。
その娘には残念ながら審神者になる素質がまるでなかった為、もう一人の親と共に一般人として暮らし、大人になり、ついには結婚が決まった。
結婚式の日、娘は柔らかな日差しとライスシャワーのその奥に、一瞬懐かしい誰かを見た気がした。
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主が引退を宣言したのは、僕にとって五十回目の春だった。
僕を顕現した時は若々しかった主も、今では白髪と皺だらけになり、見るからに老いている。あっという間と言われればそうだし、思ったより長かったかと聞かれれば、確かに長くもあった。
この本丸は、別の人が引き継ぐと言われた。
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これは、とある日の演練会場での事である。
「すみません、主さんを探しているんです。」
そんな風に声を掛けてくる堀川国広に、演練会場は一時騒然となった。
そもそも、余程の事でもない限り刀剣男士が審神者と演練会場で逸れることはない。堀川のような脇差なら、尚更。
まさに異常事態であった。
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これは、とある刀剣男士の手紙である。
主へ。
息災だろうか。
こちらは、まあ変わらない。
先日、鶯の声を聞いたよ。知っているだろうか、鶯は春告鳥とも呼ばれている。春が来たんだ。
主にとっての春はなんだい。
さては花見の団子、とか考えただろう。
全く、君らしい。
また花見がしたいものだ。