376
これは、とある本丸の話である。
「主、おはよう。」
その本丸の審神者は、もう長い事部屋から出て来ない。声を聞いたのだって、一体いつが最後だろうか。
「今日も、いつも通りで良いかな……?」
うんともすんとも言わない襖の前で、蜂須賀は今日も聞けぬ返事を少しだけ待った。
377
これは、とある審神者養成学校の講師の話である。
その講師は、刀に触れる仕事についての講義を担当している。鍛刀、手入れ、連結、そして顕現。学舎に備え付けられている擬似的な部屋で行われるその講義は大変に人気で、講師もまた生徒からとても慕われていた。
378
刀剣男士の中で、審神者に恋をして、審神者からも恋されて、本気で隠すつもりで準備していたけれど最後の最後で審神者の人としての命の尊さを捨てさせきれずに、それでもせめて抱きしめようとして手が届くその瞬間に政府の安全装置が作動して顕現を解かれ強制刀解させられそうな刀は誰だろうね。
379
「俺に、士道に背けって言ってんのか。」
和泉守の声が、玄関に落ちた。
しんと静まり返ったそこで、審神者が唇を噛む。その姿が、そのまま肯定を示しているようで、和泉守は目元にグッと力を込めた。黙っていればとても秀麗なその顔が、酷く歪む。
「俺に、心を殺せって言うのか……!」
380
審神者要請学校でお世話になった先生へ。私は今、先生が斡旋してくれた本丸へ来ています。そうです、先代が亡くなられたという、あの本丸です。
ここの刀剣男士達は先生の仰る通りとても優しく、穏やかに私のような若輩者を受け入れてくれました。本当に、ありがたい限りの待遇でした。
381
これは、とある審神者の話である。
その審神者は、あまりにも未熟だった。それは審神者としてでは無い。心が、あまりにも未熟だった。
審神者は、負ける事が受け入れられなかった。負けず嫌いで、敗北する事を恥をかいたと思うような人だった。演練では、相手に審神者が居るからか特に嫌がった。
382
主、あんたが愛した花が、完全に枯れちまった。名前も色も正直覚えてねぇ。多分万屋に行っても、俺はろくに花を見ていなかったから同じ品種の種は買えねえだろう。
あんたが愛した庭から、あんたの大事なもんが一つ減っちまった。
なあ主、やっぱりあんたは馬鹿だ。
俺なんか選ぶんじゃねえよ。
383
鶴丸って、健康診断受けたら
「余命宣告されちまった……持ってあと数百年だとさ。」
ってすんごい回りくどい形で健康でしたって報告してきそう。
384
ここは、本丸の庭に植える花を育てる場所。花と言っても、普通の花の種や株では霊力に満ちた本丸の土に負けて逆に養分を吸い取られてしまう。本丸内の畑であれば大丈夫だが、畑で花を植えても庭からは見えない。そこで霊力に耐えうる種や株を育てる必要があるのだ。
385
386
数ある本丸では、それぞれの事情がある。全てが同じでは無いし、かと言ってまるで違うわけでもない。本丸が百あれば最低百の違いがあって、そしてやはり、最高百の共通点があるのだ。
「私は、一期一振。粟田口吉光の手による唯一の太刀……です。」
例えば、譲渡されるという、事情も。
388
私、学校教育に無駄なものがあるとはあんまり思いたくない派なんですけど、それでもどうしても何故あったのか理解出来ないものがありまして。
逆上がりって、本当に後の人生で使わないね????
その道に進まん限り本当に逆上がりなんて一切しないね????
何故あの頃の私は必死に逆上がっていた?
389
私の愛した刀剣男士が、少しずつ私との思い出を忘れていく。その事に気付いたのは、日常での些細な会話からだった。
私の言う「あの時」が、その刀剣男士の中にないのだ。どんなに事細かに説明をしても、彼は覚えがないと言う。
そうして、少しずつ、少しずつ忘れていくのだ。
私が彼を愛したせいで。
390
今日コンビニでセルフの紅茶注文したら、機械のとこに研修中って名札した若い子が寄ってきて
「そ、それ、私も飲みました!あの、美味しかったです!はい!」
って教えてくれた。店長さんがめっちゃ見守ってて、恐らく初めての声掛け的なトライだったんだろうな。私も笑顔で楽しみですと返した。
391
その本丸の大広間には、一冊のノートが置かれている。題目は、なんでもノート。
誰が書いても良いし、誰が読んでも良い。ルールは一つ、傷付けるような言葉は駄目。
そのノートは、みんなの楽しみの一つでもある。
392
今日生まれた未来の主へ。
主、生誕おめでとう。産声を上げる主に、可能な限りの祝福を。健やかに、そして伸びやかに生きてほしい。生きる事の喜びを、尊さを、全身で感じてほしい。喜怒哀楽を大切にして、世界に触れてほしい。
そして主が、いつの日か審神者として来る事を、楽しみにしているよ。
393
顕現されて、初めて審神者の顔を見た。
気の弱そうな、自信のなさそうな、そんな顔だった。
そんな審神者が、俺を見て緊張と不安、それからほんの少しの恐怖を抱いたのを見て、俺は心底、申し訳なくなった。
あれ以来、俺は基本的に審神者と会話をしていない。顔も、遠目に眺めるくらいだ。
394
まだ小学生程度の年齢で親元を離れて本丸に住む事になった審神者、夜中にくすんくすん泣きながら親を呼ぶ。その声を偶然聞いてしまった千子村正は、せめて親の代わりになってやれるものは居ないかと探すことを決める。しかし、彼は人の親というものが分からない。だから彼は、理想の親を調べた。
395
想像してご覧なさい……日本号と長谷部の間で、両者と手を繋ぎ時々ジャンプする博多を……癒しの空間でしょう……。
396
職場で、片付けが出来てなかったり補充がされない、もしくは私に報告もないまま放置されてるような時、毎回「万死!!」って怒ってたら、職場の人達が「万死タイム」と呼ぶようになった。そんなんいいから次の人の為にも補充するか私に一言言いに来い。
397
とうらぶの強化プログラム、初めての支援で第二部隊の隊長にしてた歌仙がスっと出てきてあっさり苦戦してた大太刀切り倒して帰って行ったの、解釈一致過ぎて私の初期刀ほんと尊い最高愛してる。
398
・お返しは自分ランキング
第3位、小狐丸
「あの美しい舞を見るために一年頑張ってきた」「極後の神々しさヤバい」
第2位、鬼丸
「悪い夢を見ないようにって、夜中ずっと部屋の外で番してくれてた」「夢に出てきてくれた」
第1位、江
「ライブは狡い」「満を持しての篭手切センターに全私が泣いた」
399
・どえらい高価なお返ししてきそうランキング
第3位、御前
「まだ不慣れでお返しの相場とか知らなかっただけだと思いたい」「回らない寿司全員分は血の気引いた」
第2位、宗三
「ハイブランドをポン」「高級櫛貰った」
第1位、蜂須賀
「高いものからしか選んでない」「彼にとっては安い」
400
・変わり種のお返ししそうランキング
第3位、石切丸
「嬉しいけど、それなんの御札?」「朝っぱらから起こされて祈祷を受けた」
第2位、陸奥守
「一万ピースのパズル、毎年一緒に完成させてる」
第1位、鳴狐
「毎年妙に使い勝手の良い日用品くれる」「座布団。毎年ホワイトデーに交換してる」