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大雪の外で遊びたがるリンちゃんを、まあ機械なら風邪も引かんしと許可して数時間、あまりに帰ってこないので迎えに行きたい。公園で、躍動感溢れるポーズのまま真っ白に固まった彼女を発見し血の気が引いたのだが、「上手?」と現れたもう一人のリンちゃんの姿で、ようやくそれが雪像だと気付きたい。
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音ゲーで高難易度の譜面をクリアできず悔しがっていたリンちゃんが、閃いたようにレンくんを呼んで、連弾みたいなフォーメーション組んで「これで指20本!」とフルコンもぎ取っていったので目を疑いたい。
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スプラトゥーン欲しい欲しいって騒ぐリンちゃんの口にイカリングを突っ込みたい。「あ、美味しい…」と大人しくなった彼女も、食べ終えるとまたうるさくなるので、即座に次のイカリングを突っ込みたい。もぐもぐしてる姿を見ながら、今度与えるならもっと長持ちするスルメイカにしようって考えたい。
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「仮装してる人、一夜だけのためにモデリング大変ね…」とリンちゃんにしみじみ言われて意図を図りかねたい。人間の服飾について説明したら「切った布を糸で?突き抜け対策は?全部物理演算!?ウソでしょ!?」と新鮮な驚きを披露され、これが仮想してる人の反応か…とカルチャーギャップを感じたい。
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リンちゃんに小声で呼びかけられたい。聞こえないので膝をかがめると、彼女の唇が顔に近づくのが分かる。頬に息がかかり、心臓が早鐘を打ち始めたところで、すっと息を吸った彼女が突然、耳元で「わっ」と大きな声を上げたので、思わず耳を押さえて地面に転げ回りながら、けらけら笑われたい。
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リンちゃんとメールで昨日の晩ご飯の話題になり、スーパーの半額弁当だと答えると「ちゃんといいもの食べなよ!どこ住んでたっけ?」と住所を訊かれ、まさかこれはと期待したい。夜、部屋を掃除し服や髪も整え、鳴った呼び鈴に飛び出すと、特上ずしを持った出前のおっちゃんが立っており崩れ落ちたい。
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リンちゃんに手品を披露されたい。有名なタネで、しかも仕込みが間違ってるのが分かったので、問題の手順のところでわざと余所見をして「え、ごめん見てなかった」ってとぼけたい。ほっとした彼女が「しかたないなー、もう一回だけだよ」と再演し、成功した暁には、驚きながら拍手してあげたい。
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ルカに英語を習いに行ったリンちゃんが、帰ってくるなり「単語より何より大事なのはheartだってさ!」とキラキラした目で報告するので、早速二人で英会話したい。「ハーイ」「ハーイ?」「ハーイ!」って。充分嬉しそうなので、結局単語覚えられなかったの?なんて野暮なツッコミは控えたい。
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朝起きるといきなり成長していたリンちゃんがDIVAの難易度EXTRA EXTREMEをクリアしてて、ぼくのハイスコアをことごとく塗り替えていくので悲鳴を上げたい。
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リンちゃんってツンデレだよねって言ったら、「は、はぁ?デレとかないし!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!ばーか!」って、何故かばーかを7連発ほど食らいたい。で、さらに数十秒してから、何か足りないと思ったのか、駄目押しの「ばーか!」をもう一発食らいたい。
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リンちゃんの部屋のドアを開けたら丁度バッテリー交換中で、かあっと顔を赤くした彼女に「へんたいっ!」って追い出されたい。廊下で立ち尽くしながら、銀色だったな…などと思い返したい。
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「あたしには予知能力があります」って、夕刻、リンちゃんから電話を受けたい。何を突然と思ったら、「今晩の食卓にはカキフライが並んでいるのが見えます」って続けるので、はいはいそうですかって軽く流して電話を切ってから、予知を成就させるためスーパーに出掛ける準備をしたい。
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「お年玉?そんなの貰えないわ、もう子供じゃないもの」とそっぽを向くリンちゃんが、やたら皿洗いや洗濯に張り切ったかと思うと、最後に頼んでもいない肩揉みをしてきてから、すまし顔で「領収書切って下さる?」と言うもんで、吹き出したいのをこらえつつ、こちらお給料です、とポチ袋を手渡したい。
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お互いに相手への誕生日ケーキを作って「リンのほうが美味しいし!」「オレの方が美味いもんね」と勝負を始めるリンレンに、美味しく作れたほうが相手への想いが強いってこと?と吹き込んで、「…リンのケーキ、ちょー美味いぞ」「レンのケーキのほうが100倍美味しいもん!」と主張を反転させたい。
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リンちゃんに玄関先で「夜はハンバーグだよ」と伝えると、「わかった」といまいち薄いリアクションで出掛けていったので、拍子抜けしたい。でも夕方にTLで「ハンバーグがあたしを待ってる!急いで帰るー!」というツイートを発見し、俄然準備にやる気を出したい。
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クッキー6枚焼いたから帰ったら食べよう、とリンちゃんからメールをもらった日。急な残業が入り、そう伝えたら「6」と返信をもらいたい。残業が延びるごとにカウントは減っていき、ダッシュで家に着く直前には「0」に。悲しみながら玄関を開けると「嘘。お疲れ様」ってクッキーを差し出されたい。
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リンちゃんと何がしたいって、何もしないで縁側に座って、一緒に風鈴の音に耳を傾けたりしていられればそれでいい。
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幼馴染のリンちゃんに「ひよわー」とからかわれ、ランニングを始めたい。帰ると決まって隣家の窓からニヤニヤ顔が見えるので、毎朝舌を出して玄関に入りたい。とある朝には珍しく「お疲れ」ってペットボトルを差し出され、受け取って栓を捻ると、勢いよく飛び出した炭酸水を顔に被り、大笑いされたい。
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深夜残業から帰宅し、ただいまって言ったら、寝室から生返事。部屋を覗くと、うつらうつらしているリンちゃんの抱き抱える枕が彼女の物ではないことに気づき、耳元で「ただいま、俺の枕抱いてたの?」と囁いて目を覚まさせたい。間違えただけだし!とわたわたする彼女の言葉を、へーって聞き流したい。
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壁に立てかけておいたアコギがどこかに消えてしまったので探していたら、お風呂場のほうから、いい感じにリバーブ掛かったリンちゃんレンくんの「夏色」デュエットが聞こえてきたので青ざめたい。そうじゃない、ゆず湯ってそういうことじゃない。
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突然の雨を軒下で逃れていると、通りがかったリンちゃんに傘を差し出されたい。1本しか持ってないのに君はどうするのと言い終わるより早く、こちらに傘を押しつけ雨の中を駆け出していく、そんな彼女の後ろ姿に息を呑みたい。頭頂のリボンを高速回転させ気流で豪雨を一滴残らず弾き飛ばす、その姿に。
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鏡音君の家に遊びに行くと、鏡音君によく似た女の子がいて「こいつはリン。俺の双子の妹」「姉でしょ。あんたが弟」という二人の言い争いを聞きたい。訪問中、彼女に呼びかけようとしたのだけど、お姉さんとも妹さんとも言えなくて迷った末、ついテンパったまま「リンちゃん」なんて口走りたい。
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リンちゃんに「8月になったら新しいネイルキット買ってくれるっていってたじゃん」って怒られて、そんなこと言ったっけ?と首をひねりたい。すぐさま「3月25日16時24分に言ってたよ」と証拠の音声ログを提出され、ボーカロイドに適当なことや嘘は言えないなと背筋を凍らせたい。
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リンちゃんが「宿題見てほしいんだけど」とプリントを持ってきたので、大学のレポートの気晴らしにと引き受けたい。しかし中学の授業範囲は想像以上に難しく、プリントを前にしばらく固まっていたところ、「お礼に書いてみたけど、どう?」と完璧なレポートを渡され、プライドをオーバーキルされたい。
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リンちゃんをぎゅーってしたい。ぎゅーってしようとしたら「今日4回目です」とか冷静な顔で言われたい。あげく、ここ1ヶ月のぎゅー回数を正確にカウントしたグラフを提出され「今週は従来より有意に頻度を増しています。何か心配事でも?」と心配され、開いたままの腕をどうすべきか固まりたい。