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「科学を振りかざす」という表現にすごい違和感があるのは、おれの中に「ほかの方法論に比べれば、科学ほど誰もが共通の認識を持てるものはない」という価値観があるからだろうな。「算数を振りかざす」と言われているように聞こえるのだ。「22が7で割り切れない不安に寄り添え」と言われても困る。
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それに、財力やら家柄やら教養やら才能やらとちがい、「科学的な考えかた」というのは、誰でも身につけることができる。コスパ最高の考えかただ。貧乏人の味方、凡人の味方だ。本来、科学的な考えかたは義務教育で万人に与えられているべきものだが、どうも現状はそうなっていないのが嘆かわしい。
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ちなみに、「科学を振りかざす」という迷言騒動は、2019年にもあったよね。同じ人だったかどうかは憶えてないけど、やっぱり朝日新聞。むかしは〈科学朝日〉というまともな科学雑誌を出していたんだけどねえ。
twitter.com/ray_fyk/status…
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映画『さよならジュピター』をいまから観ようという人にぜひお勧めしたいのは、小説を読んでから観ることだ。小説はとてもよい。そうすれば、本来、二、三百倍以上の金をかけて作るべき映画だったのだなというあなたの想像力が、映画が描き切れなかった水面下の氷山の部分を脳内で補ってくれるはずだ。 twitter.com/nmisaki/status…
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「バリアフリーなんて、一部の特殊でわがままな人間のために金がかかる贅沢だ」と思っている人は、自分が年寄りになってきたら、「私は一部の特殊な人間だ。他人に迷惑をかけないように死ぬまで家に閉じこもっていなくては」と思うのだろうか? バリアフリー化というのは、未来の自分への投資だろう。
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1960年代生まれくらいの人には共感してもらえると思うのだが、庶民の口に入る外国料理のヴァリエーションが爆発的に増えたのは、1980年代後半くらいからだったと思う。おれは高校を出るまで、それこそ嘉門タツオじゃないが、スパゲッティと言えば、ナポリタンとミートソースしか食ったことがなかった。
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日本の義務教育の理科教育で最も失敗しているのは、元素という概念を教え損ねている点だと思う。おれがいままで生きてきて思うに、「水の分子を構成している水素原子と、アンモニアの分子を構成している水素原子は、まったく同じ水素原子だ」ということを理解していない人は、日本人の過半数だと思う。
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「そんなバカな!」とお思いになるかもしれないが、「水を分解してできた水素ガスと、アンモニアを分解してできた水素ガスとでは、どちらが有害だと思いますか?」という設問に言い換えてみたとしたらどうだろう? 全国規模で調査したら、きっと驚くべき結果になると思う。詐欺師は食うに困らない。
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風評被害というものは、このレベルの無知からすでにはじまっている。マスコミは、「日本は事実上高校全入だ。教育水準は高い」などと説明の手を抜かず、このレベルの話からじっくり大衆を啓発してほしい。義務教育レベルの基礎知識を欠く人がネットで見つけた“隠された真実”など、ろくなもんじゃない。
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「東京オリンピック中止」は、いまのところ、関係者のあいだでは「言い出した者が負け」といった空気が流れているが、あるところでカチャッと空気が変わり、「言い出した者は、大英断をした政治的賢者」として語り継がれることになる。この一瞬の潮目の変化を読む能力は、小池都知事にしかないだろう。
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デーブ・スペクターがウケ狙いでもなんでもない正論を述べているほど、事態は深刻だ。 twitter.com/dave_spector/s…
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緊急事態宣言の延長をするにしても、いったい全体、どういう発想で「期間」を最初に決めようとするのだ? そんなことが予め決められるくらいなら、すでにパンデミックを制御下に置いているに等しい。「期間」ではなく、「解除条件」を決めるのが筋と言うものだ。そうしないから、ますます信用を失う。
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「ら致」だの「だ捕」だの「漏えい」だのといった醜い表記にいったいなんの意味があるのかといつもぼやいてきたが、「ひっ迫」だけは、たしかに現場のあちこちから「ひっ」と声が上がっているさまがよく表現されているようでもあり、「逼迫」よりも「ひっ迫感」があるような気もする。
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パンデミック下に於けるオリンピック開催の初めてのモデルに日本がなるとかいったたわごとが聞こえてくるからには、なにかよほど特別に厳格な対策を取るのかと思いきや、まるでわざと感染爆発を引き起こそうとしているかのようなオリンピック運営の話ばかりが次々とあきらかになってくるなあ。
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まあ、まだまだ国民は開催中止を諦めてはいかん。万が一、いまのようなゆるゆるの準備で強行開催されて大惨事になったあと、「あのとき、日本人は全員気が狂っていたのか?」と問われたとき、「いや、私は正気だった」と胸を張って言えるようにはしておきたい。
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ひとつだけ確実に言えることは、強行開催して大惨事を招いたあと、IOCは「おまえらがおまえらの意思で招致し、おまえらの頭で考えて開催を決定し、おまえらが準備し開催した。それだけのことだ。IOCの知ったことではない」と言う。これはもう、絶対に言う。というか、すでに自己責任だと言っている。
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なにが怖ろしいって、「オリンピックのあと、これこれこうするつもりだ」という話が、この国のリーダーたちからまったく聞こえてこないことだ。仮にオリンピックをやったとしても、そのあとみんなず~っと日常を生き続けていかなくちゃならないんだけどな。
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ほんとうに気味が悪いのは、「私の責任でオリンピックを開催するのだ」と言っている者が、どこにもいないことだ。日本側はみな口を揃えて「私には中止や延期は決められない」と言うばかりだし、IOCは「日本がやるのだから、開催を全面的に支援するだけだ」と、責任は逃れるのに権限は振りかざす。
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このまま進めば、オリンピックが原因で大感染爆発が国内でも国外でも誘発された場合、みな蜘蛛の子を散らすように逃げてしまうにちがいない。「私はじつは開催に反対だった」「対策が万全だというから賛成したのだ。万全でなかったのは私のせいではない。私は被害者だ」と、口を揃えて言うのだろう。
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地上波テレビを観ていたら、あちこちでまだ「インド型」などと言うとるな。昨日、厚労大臣も東京都知事も、ちゃんと「デルタ株」と言うておったぞ。WHOが、病原体の呼称に国や地域の名前を使うべきでないという理にかなった方針を何度も表明し、協力を呼びかけているではないか。報道機関は情弱か。
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まさに。平井大臣のアレは、民間企業のダメな情報システム部の典型なんだよな。行き着くところは、自社で業務フローもRFPも書けないくせに、“なにかやってる仕草”としてとにかく値切るだけの安物買いの銭失いだ。無能が組織の中でコストカッターなどと呼ばれて存在感を示す安易な方法なんだよね。 twitter.com/dancing_eel/st…
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ウガンダ選手団の件は、「なるほど、陽性者が出たらここまでやる準備をしていたのか。これなら意外とオリンピックは安全かもしれないぞ」と主催者側が国民に思わせる大チャンスだったはずなのだが、いざ陽性者が出てみると、想像以上に対応がグズグズなので、ドン引きしている人が多いのではないか?
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思うに、オリンピックで海外から来日する人々の中から陽性者が出ることを、主催者側はそもそもまったく想定していなかったのではないのか? なぜなら、想定するということは、陽性者が出る可能性を認めるということであり、それはあってはならないことだ。ゆえに、想定してはならないのだ。
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つまりこれは、原発事故前の政府や電力業界やマスコミの姿勢とまったく同じだ。このぶんでは、またアレを繰り返すのだ。
「もしものときのことを考えておくのが危機管理なのでは?」「もしものことなんかない。縁起でもない」
いいかげんにおれたち日本人は、過去の失敗から学習してはどうか。
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なあ、中高大学生たちよ、英語だけはちゃんと身につけておけよ。いま、日本国内のことを知るのに、海外の報道に頼らなければならない事態が生じている。2011年にもそういうことがあった。じつは、こういうことは、常にずっと起こっている。日本に生き残っているジャーナリズムは、ほんのひとかけらだ。