426
彼女「早くこっち来て手握って…」
僕「歯磨いてるから待って」
彼女「手握りながらでも歯磨けるでしょ…」
僕「はいはい」
彼女「片時も離れたくないからずっと握っててね…」
僕「うん」
彼女「可愛いでしょ…」
僕「可愛いよ」
彼女「口をゆすぐときは手首だけ切り落として行ってね…」
427
僕「ただいま」
彼女「おかえり…」
僕「まだ体調悪い?熱は?」
彼女「ある…」
僕「アイスノン換えるね」
彼女「寒いからこれでいい…」
僕「寒気か」
彼女「お前で暖取るからぎゅってして…」
僕「湯たんぽどこにしまったかな。探してくるね」
彼女「そうじゃなくて早くぎゅってしろや…」
428
僕「何してるの?」
彼女「ゲーム」
僕「熱があるんだから寝てろよ」
彼女「寝るの飽きた」
僕「…本当にまだ熱あるの?」
彼女「あるよ」
僕「測ってみて」
彼女「じゃあ、あっち行ってて」
僕「何で」
彼女「私、体温を測ってるとこを人に見られたら死ぬタイプの人間だから」
僕「仮病だ」
429
彼女「とにかく測るからあっち行って」
僕「ズルするなよ」
彼女「大丈夫。ちゃんと熱あるし38℃は出せる」
僕「熱がある方が大丈夫とか意味分かんないな」
彼女「…はい。測ったよ。41.1℃。余裕で38℃クリア。何か文句ある?病人なめんな」
僕「何そのふざけた体温!仮病確定じゃん!」
430
僕「41℃も熱あるのにすごい元気じゃん。やっぱり俺の目の前でちゃんと測れ」
彼女「それで熱がなかったらないってことになっちゃうじゃん!」
僕「どうせもうないんだしそれで良いんだよ」
彼女「正確な体温さえバレなければ私はずっと病人でいられるの!やめて!」
僕「何て堂々とした仮病だ」
431
彼女「…はい。測ったよ」
僕「36.6℃。熱ないじゃん」
彼女「…」
僕「…」
彼女「で?」
僕「は?」
彼女「だから何?」
僕「えっ」
彼女「熱はないけど私は病み上がりなの。何か頭が痛い気がするし、喉も痛い感じがする。だから、今から病み上がりという点をプッシュして甘えるから!」
432
僕「何読んでるの?」
彼女「私に関わろうとしないで!」
僕「ホモか」
彼女「違う!」
僕「なら見せて」
彼女「見る必要ない!」
僕「その必死さ…ホモだな」
彼女「…お前のこと嫌いになりそう」
僕「じゃあ、ホモじゃない」
彼女「ホモだよ」
僕「ほら、ホモだー」
彼女「うっせーよ!」
433
彼女「朝からお粥しか食べてないから空腹で寝れない。焼きおにぎりが食べたい」
僕「作れば?先に寝てるね」
彼女「コホンコホン。病み上がりだから無理しない方が良いかもしれない」
僕「…」
彼女「コホンコホン」
僕「作るよ」
彼女「嘘だって分かってても作ってくれるなんて私に甘いなー!」
435
彼女「また熱出たの怒ってる?」
僕「ううん」
彼女「熱ある感じはしてたんだけど、病み上がりで調子こいてたから怒られると思って、病は気からって頑張ってた…」
僕「そっか」
彼女「罰が当たったって思ってるでしょ…」
僕「ううん」
彼女「やっぱり私に甘いなー…」
僕「優しいって言えよ」
436
僕「何してるの?」
彼女「食器たまってるから洗わないと…」
僕「熱あるんだから寝てろよ」
彼女「お前食器洗うの下手だし…」
僕「やるから」
彼女「でも、ずっと寝てたらお前寂しくて死んじゃうし…」
僕「お前がいなくても生きていけるよ」
彼女「無理だからそんな悲しいこと言わないで…」
437
彼女「熱しんどい…ラーメン食べたかったのに無理だ…」
僕「治ったら食べよう」
彼女「代わりにえびアボアボのお寿司5皿でも良いけど…やっぱりそんなに食べれないから、代わりに代わりに甘いキツネかサクサクのタヌキが乗った温かいうどんが食べたい…」
僕「初めて聞く食べ物ばかりなんだけど」
438
僕「熱あるんだからちゃんと寝てろ」
彼女「トイレに行こうと思って起きたらゴキブリ見つけたんだけど…」
僕「えっ」
彼女「じゃあ、私言われた通り寝るから殺すのお願いね…」
僕「…」
彼女「…」
僕「いや、ちょっと…」
彼女「はいはい…ちゃんと殺ってから寝ますよ…」
僕「すいません」
439
彼女「ゴキブリ捕まえるからビニール袋取って…」
僕「はい」
彼女「ていっ…捕まえた…」
僕「そのまま捨てる?」
彼女「スリッパ…」
僕「はい」
彼女「人が熱あるときに出てきやがって…。パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!」
僕「…」
彼女「清々したわ…」
僕「すごい八つ当たりを見た」
440
彼女「熱下がんない…しんどい…」
僕「大丈夫?」
彼女「ちょっと涙流して良いかな…」
僕「うん」
彼女「死にそう…」
僕「風邪くらいで死なような玉じゃないだろ」
彼女「うん…。私…お前より先に死ぬつもりないから安心してね…。寂しいもんね…」
僕「死にそうなのに無駄にカッコイイな」
441
彼女が柱の角に足の小指をぶつけて「あっがぁ!」って叫びながら廊下の端まで転がっていった。とても美しい前転だった。
442
彼女「私よく足の小指ぶつけるじゃん」
僕「普通はそんなにぶつけないよね」
彼女「どこかおかしいのかな」
僕「問題があるとすれば頭だろうね」
彼女「小指の爪の形いびつだし」
僕「うん」
彼女「テンション下がって闇属性になりそう」
僕「今までは何属性だったの?」
彼女「猛毒」(即答)
443
彼女「胃腸風邪かな。お腹痛い。痛すぎて吐きそう」
僕「大丈夫?」
彼女「つわりってこんな感じなのかな。私が妊娠してこんな苦しみを味わわされたら悪魔の子でも身籠ったのかと思うね」
僕「いや、お前の子だろ」
彼女「お前の子でもあるだろ!」
僕「!」
彼女「エンダアアアアイヤァアア!」
444
僕「朝だぞ。起きろ」
彼女「…zzZ」
僕「おい」
彼女「…zzZ」
僕「…」
彼女「…zzZ」
僕「ヤバイ!寝坊!おい!起きろ!」
彼女「…むにゅ?」
僕「むにゅってそんな漫画みたいな寝ボケ方があるか!なめんな!」
彼女「むにゅ?むにゅ?むにゅ?」
僕「でも、萌える!悔しい!」
445
彼女「ねえねえ。これ似合う?」
僕「似合う似合う」
彼女「…」
僕「…」
彼女「今のでお前がどれだけ適当に返事してるのか分かった」
僕「似合ってるよ」
彼女「ちゃんとこっち見てごらん」
僕「見てるよ」
彼女「じゃあ、似合ってるわけないでしょ!」
彼女が僕のパンツを頭に被ってた
446
彼女「男性用パンツってデザイン豊富だし、オシャレな子なら帽子代わりに被りこなせると思うんだよね!」
僕「は?」
彼女「夏はトランクス。冬はボクサータイプ。オールシーズンいけるね!」
僕「ブリーフは?」
彼女「原宿系の子向けのオシャレ上級者アイテム。これはくる!」
僕「こねーよ!」
447
僕「起きろ!」
彼女「…は?まだ朝の7時じゃん!」
僕「休みでも規則正しく起きる。そう決めた」
彼女「バカ言ってんな!あと12時間したら起こせ!」
僕「ダメだ!」
彼女「ヒック…ゲェ…。朝からイライラさせるからしゃっくりとげっぷが同時に出た」
僕「だから何だよ」
彼女「げっぷり」
448
彼女「私の眼鏡どこ?」
僕「知らない」
彼女「あ、そっか!冷蔵庫だ!」
僕「は?」
彼女「冷やし眼鏡始めようと思って入れたんだった」
僕「へえ」
彼女「そんな対応の仕方で子供できたときどうするの!子供なんて私よりもはるかに意味不明なことするんだよ!しかも私の子供だよ!心配だよ!」
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彼女「コンビニ行く」
僕「いってらっしゃい」
彼女「付いてきてくれないの?」
僕「面倒」
彼女「これでもし私が事件に巻き込まれたりして帰ってこなかったら、お前すごい後悔するだろうね。何であのとき一緒に行かなかったんだろうって」
僕「…」
彼女「そんな未来のお前を救いたい。来い!」
450
彼女「おはよー!」
僕「おはよう」
彼女「おはよー!おはよー!」
僕「元気有り余ってるな」
彼女「6時過ぎなのにまだ外が薄暗いなんてもう秋だね!涼しいし朝ご飯食べたら自転車で遠出しよっか!」
僕「夜だよ。夜6時。夕飯。夜の自転車は危ないけど本当に行くの?俺は行かない」
彼女「…」