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心の援助を行う者は、悩める人のガイドや杖になることはできても、その人の代わりに人生を歩くことはできない。だからその人が再び歩く力を削がない対応が重要。力を奪う不適切なことを漫然と続けないのはもちろん、歩を進められる後押しになるようなメッセージをいかに上手に伝えられるかも問われる。
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他者と適度な距離を維持することはしばしば難しく、それがうまくいかずに大切な人を失うこともある。だがそれを恐れて自分の殻にこもってしまえばいつまでも孤独なまま。適度な距離感は何度も失敗し傷つくことを通して身についていくもの。だから他者とつながることに臆病になりすぎないようにしたい。
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新しいことを学ぶのに気負ったり構えたりする必要はない。完璧主義にならず、自分の興味のあることから気楽にあせらず少しずつ。頭の中の知識の引き出しを一つでも増やせれば、多少偏っていようとそれは一生の財産になるし、難しく考えすぎていつまでも入り口で立ち止まっているよりずっと有意義だ。
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「そのうち誰かが何とかしてくれる」と先送りしているうちに取り返しがつかなくなってしまうことは多い。今の時代、多くの分野で「誰かが何とかしてくれる」力は弱くなりつつある。もちろん限度はあるができるだけ「自分で何とかする」力をつけ、いざという時自ら行動を起こす準備をすることは大切だ。
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大きな志を抱き、何度失敗しても挑戦し続けるのもよいけれど、それよりうんと小さい、人に言うのも恥ずかしいような身近な目標に取り組むことも決して無駄ではない。たとえ簡単なステージでもクリアすれば、自信と達成感というアイテムが手に入り、それらはより難しいステージを戦うための武器になる。
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人生の中で悩み苦しむことは決して無駄ではない。つらい経験をすることで、日常の小さな幸せの素晴らしさ、有難みを感じられるようになり、それらを同じく悩める他者へと還元できる。頑張っても報われないことも多く、生きづらい今の時代。そのつらさを分かち合い、支え合いながら共に生きていきたい。
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今暗闇にひとり佇むあなたは、地球の一員としてしっかり地に足をつけ立っている、かけがえのない大切な存在。たまには失敗しても、それ以上の小さな成功があるから今がある。人生つらいことも多いけれど、ここまで歩いてきた足跡を時々振り返りながら、これからも地に足をつけてゆっくり歩いていこう。
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人生はつらいこと、苦しいことの連続。誰もがそれらを一つ一つ乗り越えて、まだ見ぬ景色を目指して歩いている。困難を乗り越える道は無数にあり、どの道が正しいかなど誰にもわからない。だからたとえ誰かの生き方がひどく不器用で下手くそなものに見えたとしても、誰もそれを嗤うことなどできない。
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同じものを食べても、食器やその場の雰囲気や一緒にいる相手が違うだけで美味しく感じられる。人生だってきっと同じ。生活の本体がよい方向に変わることを期待しても叶わないなら、その背景や脇役にあたる部分だけでも少し変えてみることを考えよう。それだけで手軽にいつもと違う明日が手に入るかも。
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毎日同じことの繰り返しに見えても地球は確実に回り、一日として同じ日はない。何も変わらないと俯いていたら日々の小さな変化に気づけない。顔を上げて視野を広げ、五感を研ぎ澄まし、心のアンテナを張り巡らせよう。いつもと一本違う道を歩いたり、一つ前の駅で降りるだけでも何か変わってくるかも。
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長く生きていても昨日までとは生まれ変わったように何かが劇的に変わることはそうはない。だが髪や爪が日々伸びるように私たちには小さな変化が繰り返され、一見変わりばえしない毎日のようでも私たちは少しずつ生まれ変わっている。新しい時代もこのことを忘れず、できるだけ大切に日々を過ごしたい。
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何かをきっかけに自分を変えようと決意してもなかなか思うようには変われないもの。でも100変えようとして99がダメで1つしか変われなかったとしても、一見どこが変わったかわからなかったとしてもまずはそれでOK。変わることを信じ変わろうと行動し続けることで、目指す自分は少しずつ近づいてくる。
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人生は陸上競技ではないので、スタートもゴールも自分で設定できるし、合図を待たずいつでもスタートできる。少し勇気を出して、今まで立ち止まっていた場所から走り始めてみよう。あなたの決めたゴールがたとえ近く容易なものでも、そこで味わう喜びと達成感は、きっと次のスタートへの原動力になる。
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人と人との関係は相互作用。一方が相手のためにしたことでも、自ずとその逆も成り立つ。だから誰かと交流し有意義と感じたら、きっとあなたも相手の役に立てている。情けは人の為ならず。自分自身がより成長し、充実した人生を送るためにも、これからも誰かのためにできることを地道に誠実に続けたい。
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今日誰かと出会えたのも、素晴らしい景色を見られたのも、新しい知識を得られたのも、皆今日まで一生懸命生きてきたから。一日一日生きていく過程にはつらく悲しいこともたくさんあるけれど、新たな積み重ねもある。毎日は同じことの繰り返しではなく、日付を跨ぎ一夜明けたその先は誰にもわからない。
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人生思い通りに行くことなんて少ないし、強くてかっこいい自分にもなかなかなれるものではない。人生は日々挑戦と挫折の繰り返し。今の居場所がため息と悔し涙の末に転げ落ちたところであったとしても、そこは人生の通過点の一つ。そこから抜け出し這い上がる挑戦権は、いつだって自らの手の中にある。
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薬のように効果のあるものには大抵副作用もある。誰かへの親切ややさしさも時にそう。悩める人にはつい今持てる全力を捧げたくなるが、それが結果的に相手をさらに苦しめてしまうこともあり得る。今だけでなく明日も明後日も力になり続けられるように、その時々ですべきことや力加減を冷静に考えたい。
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たとえ自室に篭りSNSの誰かの呟きを読むだけの毎日でも、あなたは一人ではない。そこにも人と人の繋がりは成立する。それは細い一本の糸のようなもので、何かを変える力などほとんどない。それでも一人で歩くには過酷な今の時代、細くても誰かとの繋がりを確かに感じともに歩くことはきっと有意義だ。
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あれこれ頑張ってもうまくいかず、凹んだり嘆いたり。でも僕らはもともとスーパーマンではない。歳を重ねるごとにそんな当たり前のことを識り、無数の失敗の果てに見出した数少ない長所を伸ばそうと努力する。今の試行錯誤は、その後の人生の中で自分を輝かせる何かを見つけるための貴重なプロセスだ。
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真の人間性や心の病理というものは、冗長な文章よりもむしろ、短いフレーズややりとりの中にこそより鮮明に現れる。他者のために何かを発信しようとする人ならば、誤解を生み、信じてついて来ようとしている他者を混乱させたり傷つけたりするような一言を吐かないよう十分気をつけたい。自戒もこめて。
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あなたが毎日何気なくしていることでも、期せずして他の誰かの痛みを癒したり心の隙間を満たしたりできることがある。道端にひっそりと咲く花のように、ふとした一言やさりげない笑顔が、人知れず苦悩する誰かに少し力を与えられるかもしれない。あすも特別なことはできなくても、あなたらしく咲こう。
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長く生きれば好むと好まざるとに関わらず、立場や肩書等様々なものを身に纏わされていく。それらをうまく着こなせず悩むことも多いが、着たまま鏡ばかり見ていても何も変わらない。それらを脱いでいる時できるだけ自分らしく生きることで、経験値というどんな服にも似合う自身の魅力が増していくはず。
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一見八方ふさがりのように思われても、そこから一歩進んでみることで見える景色が大きく変わり、以前には考えられなかったような解決策が導かれることがある。追い込まれた時には思考停止に陥り、つい現状維持に傾きがちだが、そういう時こそこれまでとは違う方向に行動を起こす少しの勇気を持ちたい。