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人生の中で悩み苦しむことは決して無駄ではない。つらい経験をすることで、日常の小さな幸せの素晴らしさ、有難みを感じられるようになり、それらを同じく悩める他者へと還元できる。頑張っても報われないことも多く、生きづらい今の時代。そのつらさを分かち合い、支え合いながら共に生きていきたい。
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心の病気に罹った直後はつらい症状の緩和が最優先だが、少し時間が経ったらそれだけでは「木を見て森を見ず」になりがち。症状の治療を続けつつ、背景にある心を疲れさせたものも探り、目を向けたい。それは自身の生き方、考え方の中にあることも。治療者や周囲の意見も参考に、木を見て、森も見よう。
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不安や恐怖に襲われると息は乱れ、さらなる不安を引き起こす。苦しいと感じて速く呼吸しがちだが、かえって苦痛が増し悪循環だ。逆に意識して深くゆっくり、お腹の動きを手で確認しながら呼吸することで、多くの場合不安を軽減することが可能だ。まず呼吸を整え、落ち着いて次に必要な行動を考えたい。
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うまくいかない時ほど隣の芝生は青く見えるもの。つい自分もとあれこれ手を出しがちだが、結局どれも半端に終わり余計に自信喪失してしまいかねない。不調時こそ自分の足元をしっかり固めることが大事。あせらずに最優先でやるべきことにまずは集中しよう。今のままであなたの芝生も十分青いのだから。
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人生のどこかで、道を間違えて引き返したり回り道をすることはよくある。一見無駄足をしたように思えるが、その間も移動した分のマイルはしっかりたまっている。今すぐに役立つことはなくても、その経験は今後の人生の中で思わぬ形で生きてくるかもしれない。迷うことを恐れず、明日も歩みを続けたい。
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どんなに順風満帆で幸せそうな人生を送る人でも、必ず何かを抱え背負っている。それが何かは当然人それぞれで、かつ主観的なもので、その重さも各々で違う。表の顔だけに惑わされず、誰もが笑顔の裏に抱え背負う何かに少しでも思いを致したい。そうすればもっと互いを認めわかり合うことができるはず。
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薬のように効果のあるものには大抵副作用もある。誰かへの親切ややさしさも時にそう。悩める人にはつい今持てる全力を捧げたくなるが、それが結果的に相手をさらに苦しめてしまうこともあり得る。今だけでなく明日も明後日も力になり続けられるように、その時々ですべきことや力加減を冷静に考えたい。
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目の前で苦悩している人や応援したい人に対して、見返りを求めずずっと縁の下で力になり続けることは難しい。どうしても自分が、自分だけ、という考えがよぎりがち。だから人の力になることは苦しい。でもそんな人がいることは幸せなこと。その人と幸せを少しでも分かち合えるように、明日も微力を。
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人生よい出会いも悪い出会いもあるけれど、無駄な出会いなど一つもない。関係がうまくいかなくてもその中で学んだり強くなったり、会えなくなって何年も経ってからふと思い出し、そこから何かに気づいたり。誰かと出会うたびに生きる力がついていく。明日からもたくさんのよい出会いがありますように。
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どんな言葉を投げかけても響く人とそうでない人がいて、同じ人でも響くタイミングというものがある。誰にでも等しく響く言葉など存在しない。それでも絶妙のタイミングで伝えることで、誰かに何かよい変化をもたらすことができるはず。そう信じて明日も目の前の人に、拙い一言でも心を込めて発したい。
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あなたが自分でやらねばならないと考えることと、周りの人があなたにやってほしいと期待することは必ずしも一致しない。真面目ないい人ほど自分に課した100%のことができずに、70%とか40%しかできなかったと自身を責めるが、そんなあなたの40%で救われ、笑顔になれた人もいることをどうか忘れずに。
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誰かの誹謗中傷をしない。
不平不満ばかり言わない。
単なる評論家にならない。
よく知りもしないことを偉そうに主張しない。
常識的なことは弁えつつも、全てのことは最後は自分のものさしで判断する。
他の誰かに自分のものさしを強要しないし、自分も強要されない。
明日もできるだけ自分らしく。
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誰かが努力してできたことが、自分にもいつもできるとは限らない。今はできなくても後になってできることだってあるかもしれない。だから今、他の誰かが努力してできたようにできなくて、そのことで責められたり笑われたり惨めな気持ちになったとしても、あなたは弱いわけでも情けないわけでもない。
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誰かがくれた何気ない一言が、凍えるほどの寒さの中のぬくもりとなり、孤独な暗闇の中の仄かな光となって、人に希望と勇気を与える。私たちの発する言葉は時に人を生命の危機から救うことだってある。私たち人間はこんなに素敵な道具を持って生きている。せっかくの素敵な宝物、大事に優しく使いたい。
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自分はダメだ、何もできないと思いこむ人は多いが、周囲の人も同じように思っているかどうかはわからない。自分と他者の評価はしばしば大きくかい離する。あなたの小さな努力を周りでそっと見ていてくれる人は必ずいるはず。だから自分で無駄だと思いこんでその小さな頑張りを止めないでほしいと思う。
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夏至間近、釧路湿原の遅い夕暮れ。
(釧路町・細岡展望台)
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最近の外来。感染症を直接診るわけでもないわが科は一見普段通りだが、患者の顔には不安や疲労の色が。「コロナが心配」「マスクがない」とこぼす人も。何気ない会話を二言三言かわすと少し安心した顔で席を立つ。世界中のリーダーも右往左往する今、僕らの役割は「変わらずここにいる」ことなのかも。
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今夜床に就いたら、これまでの人生の中で一番美しかった景色や一番楽しかった出来事を思い出そう。体の力をできるだけ抜き、ゆっくりと呼吸しながら。人間関係のストレスや過酷な仕事や悩み事で疲れ果てた一日の最後の短い時間くらい、それらから心身を解放したい。リラックスして心地よい夢の世界へ💤
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無駄なものを買っても少しずつポイントがたまるカードのように、今日あなたが失敗や回り道したことは、未来を生きるために役立つポイントになって蓄積されている。一つ一つの苦い経験でその時得るものは少なく無駄と思われても、それらを重ねるうちいつか何らかの思わぬ形であなたに還元されるはずだ。
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長く生きていても昨日までとは生まれ変わったように何かが劇的に変わることはそうはない。だが髪や爪が日々伸びるように私たちには小さな変化が繰り返され、一見変わりばえしない毎日のようでも私たちは少しずつ生まれ変わっている。新しい時代もこのことを忘れず、できるだけ大切に日々を過ごしたい。
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どんな時も、大切な人やもののためにずっと変わらずにい続ける一人でありたい。様々な雑音や、人と人との争い事、噂や中傷等、周囲は刻々と変わり続ける。それらに全く影響されないのは難しいことだが、できるだけ巻き込まれず振り回されずに適度な距離を置き、変わらずぶれない自分でいたいものだ。
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目の前のどんな人や物も、実は自身のフィルターを通して見て、理解している。フィルター次第で同じ物でも全く違って見える。フィルターの存在に気づかず、自分は正しいと信じ相手を責めたり、相手が変わらないと常に憤る人は多い。相手を変えるより自分のフィルターを点検、交換する方がずっと簡単だ。