高橋 杉雄/Sugio(@SugioNIDS)さんの人気ツイート(古い順)

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核戦略とは倫理と切り離すことはできないことを改めてはっきりと確認させられた時間だった。
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倫理性は多面にわたるのでもう少し。ウクライナはNATO加盟国じゃない。だから拡大抑止(核の傘)の対象ではなく、開き直ってしまえばアメリカにはロシアの化学兵器使用を抑止しなければならない義務はない。とも言える。これが昨日小泉さんの指摘した「計算された曖昧性」が行き着く1つの極端な可能性。
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米軍予算分析も専門なのでジャベリンについて。 ジャベリンの正確な値段はFY2020で32万1388ドル。1ドル120円として約3856万円。FY2022の調達数量が376。調達予算が1億2084万ドル。米陸軍の累積調達数は34930。
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ミサイル単体の調達数がFY2022で290。調達予算が7664万ドルだから1発当たり約26万4000ドル。1ドル120円として約3172万円。ちなみに累積調達数は34839。他に海兵隊用とFMS分とがある。
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よくわからん。日本でだって普通に大学院で安全保障の研究できるぞ。本人のやる気と問題関心の方向性次第だけど。
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今日のベルゴルドの燃料タンク攻撃、尺の関係で話せなかったことや後で思い付いたことを補足。最初、火曜日に出た弾薬の爆発事故の話かと思った。あれはウクライナ側の評価ではロシア側の安全基準無視やら古くなった弾薬を輸送しているために起こった事故。
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ロシア軍は至るところで地雷を撒いているという話が、ウクライナ側からは3週間位前から流れて来てた。番組の流れに乗らなかったのでこれまで話して来なかったけど。奪回された街中の様子みると相当のものだ。しかもこれは街中に止まらないだろう。
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先週のモーニングショーで、クラスター爆弾の不発弾のビデオが流れていた。地雷とクラスター爆弾の不発弾合わせると相当ひどいことになっていると思われる。ひどいことの上積みというべきか。 ちなみにロシアは対人地雷禁止条約にもクラスター爆弾禁止条約にも入ってないので両条約には違反してない。
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今日のモーニングショー、まさか30年近く前のDeliberate Force作戦に触れることになるとは思ってなかったので復習。というかいきなり地上波で「デリバレートフォースという空爆をやって」と言われてついてこれる人は同業者以外にはほとんどいないと思うので補足を兼ねて。
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Deliberate Forceとは1990年代半ばに泥沼化したボスニア紛争の中で、95年8月末から9月にかけてNATOが行った空爆。1999年のコソボ空爆とは違うので注意。当時ボスニアで、ムスリム人勢力とクロアチア人勢力がセルビア人勢力と戦う内戦が展開していた。
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Deliberate Forceのターゲットはセルビア人勢力。NATOの合計ソーティ数は3535。1026発の爆弾を投下(うち708が精密誘導兵器)、トマホーク13、HARM56。56のターゲットを破壊。これがデイトン合意という停戦合意につながっていく。
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政治的背景の説明は省略。ご興味があればこれを。いかに軍事力と外交とが組み合わされていったか、当時のアメリカクリントン政権の右往左往ぶりと共に描かれてます。いまの情勢を踏まえながら読むとまた味わい深いです。
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ユーゴ内戦について、アメリカ側だけでなくセルビア側からの視点も知りたいという方は、ストイコビッチを主人公にしたこのノンフィクションを。国際政治情勢についてセルビア側からの見方はあまり語られないので貴重。サッカーファンなら涙なしには読めない名作です。 amazon.co.jp/gp/aw/d/B00UH9…
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10年以上前のことだが、とある有名教授が私に面と向かって、「我々歴史家は安全保障の専門家と違って歴史をベースに考えるから深みがある」と言い放ったのを私は忘れない。安全保障研究がどれだけ幅広い地域と歴史をケースとしてカバーしなければならないかも知らないで。
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最新版ミリバラでNATO諸国の旧東欧戦車の数をチェック。 ブルガリア T72M1/M2+ ×90 チェコ T72M4CZ ×30 (その他T72M1 × 89を保管) ハンガリー T72M1 ×44 マケドニア T72A×31 ポーランド PT-91×232、T-72A/M1/M1R×318 ルーマニア T-55AM ×220、TR-85×103、TR-85M1×54 スロバキア T-72M×30
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ロシアの思い切りが凄いな。ここまで割りきって部隊の再配置を行うとは思わなかった。けどすべて完了するまでには2週間から3週間近くはかかるのではないか。ウクライナはこの時間をどうつかうか。
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相変わらずウクライナ軍の状態がわからないが、内線の利を生かした反攻の機会であるように思える。ミコライウからヘルソンを狙うか、ハルキウ包囲を破りに行くか。ヘルソン案は兵站への負担が小さく、成功すればクリミア半島を狙う位置まで進出できるのでロシア軍の行動を難しくすることができる。
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ハルキウ案は、ハルキウを解放し、イジュームからスラビャンスクに進撃しているロシア軍の兵站を脅かすことができるが、ウクライナ側の兵站への負担も大きい。 そう考えるとやるならヘルソンかな。もちろん反攻せずにロシアの第二次攻勢に備えるオプションもある。
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今日のミヤネ屋では、ウクライナ反撃オプションの話をするはずが、東部の戦況を聞かれたのでハルキウから南下するロシア軍がスラビャンスクを突破した場合、ドネツク方面のウクライナ軍が包囲される可能性を話しているうちに反撃の話をしそこなってしまった。
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マウリポリが完全陥落した場合、そこから北上するロシア軍とスラビャンスクから南下するロシア軍(陥落した場合)の2手から、ドネツク北部で踏ん張っているウクライナ軍は完全に包囲される。ここでウクライナ軍をロシア軍が殲滅できた場合、ロシア側はの選択肢はものすごく広くなる。
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予測云々について。自分的には違和感がある。まあ、世界に向き合う態度が違うというだけのことだろうけれど。 安全保障研究において、予測が外れるのはいつものことだ。冷戦の終結も、北朝鮮が崩壊しなかったことも、米中の軍事力拮抗も予測できてない。
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そもそもトレンドならともかく、個別のイベントの予測はまずできない。当たったとしても偶然だ。理由はすべての情報が手に入るわけではないから。フィアロンのいう通り、完全情報が実現し、で約束遵守の問題がなければ戦争は起こらないだろうが、そもそも完全情報が現実世界では実現しない。
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完全情報でないのは研究者だろうがOSINTだろうが情報機関だろうが同じこと。そうなるとトレンドを読むことはできてもイベントの予測はできない。例えてみれば、野球でもサッカーでも、1シーズンを通しての順位を予想する方が、個別の試合の勝敗を予想するより簡単だというようなものだ。
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ではどうやって未来の分析をするのか。そこで使われるのがシナリオ研究。それなりにもっともらしく、かつ「こうなったら困る」シナリオをいくつか作り、対応を考えていく。よく誤解されるが、シナリオは未来予測ではない。未来の不確実性をストーリー化して議論しやすくするツールにすぎない。
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また、特に戦争の場合は、ルトワックのいう逆説性の論理も当てはまる。戦争が起こると予測し、準備していれば戦争が実際に起こる可能性は下がる。逆に戦争が起こらないと予測し、無防備でいれば逆に戦争が起こる可能性は高まる。