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フィナンシャルタイムズにコメントを引用していただきました。
全体としては自衛隊の課題をストレートに指摘した、耳の痛いところもある記事です。
Is Japan’s military fit for purpose? ft.com/content/2e8dd8…
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もし予測が当たりまくるという人がいたら、そもそも反証可能性がある形で発言していないと思った方がいい。
将来予測で重要なのは前提条件をはっきりさせること。そうすれば、予測が外れたときの修正もロジカルにできる。問題は適切な前提条件を選び出すことで、予測そのものじゃない。
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そもそもトレンドならともかく、個別のイベントの予測はまずできない。当たったとしても偶然だ。理由はすべての情報が手に入るわけではないから。フィアロンのいう通り、完全情報が実現し、で約束遵守の問題がなければ戦争は起こらないだろうが、そもそも完全情報が現実世界では実現しない。
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プーチンを止められるのは誰か、とここ数日で何回か聞かれたが、勝ってる(占領地域を拡大してる)戦争を止められるわけがない。止められるとすればプーチン自身しかいない、と答えているのだが。
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あとやはりINF条約、なくなったあとも亡霊のように影を落としているなあ。射程500kmの制限のなかで攻撃可能距離を伸ばすための航空機搭載なのだろうから。INF条約がなければ普通に1000km級の機動弾頭付き弾頭ミサイルを配備してたのだろうから。
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・あと気になるのは核実験。未臨界核実験をこれまでロシアがやってきているのは公然の秘密だが。
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今回、軍事用語が普通の人には全く違うイメージで理解されてしまうことを知った。「市街戦」とか「砲撃」が代表的。「原発を砲撃」と聞いたときは、152mm榴弾砲かと思い、ひるおびではそのイメージでコメントしてしまった。
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・しかし現地査察はSTARTⅠ以降の核軍備管理条約の背骨。現地査察を行えることが、米国で新START後継条約に懐疑的な論者も、現地査察の重要性は強調。
・特に、新STARTは「保有弾頭数」ではなく、「配備弾頭数」の上限を決めているものなので、現地査察がなければ条約としての意味がなくなる。
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国防歳出法をバイパスする、なかなか米国内法的に難しい橋を渡っての決定のようだ。細かくはコメントに書いてます。
米国、弾薬不足で「禁じ手」 ウクライナにクラスター弾 - 日本経済新聞 nikkei.com/article/DGXZQO…
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以上の理由から、実際に核を使用しなければならない状況になればアメリカはICBMかSLBMを使うだろう。世界のどこにでも30分程度で着弾するし、迎撃の心配もほとんどないからだ。
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倫理性は多面にわたるのでもう少し。ウクライナはNATO加盟国じゃない。だから拡大抑止(核の傘)の対象ではなく、開き直ってしまえばアメリカにはロシアの化学兵器使用を抑止しなければならない義務はない。とも言える。これが昨日小泉さんの指摘した「計算された曖昧性」が行き着く1つの極端な可能性。
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また、特に戦争の場合は、ルトワックのいう逆説性の論理も当てはまる。戦争が起こると予測し、準備していれば戦争が実際に起こる可能性は下がる。逆に戦争が起こらないと予測し、無防備でいれば逆に戦争が起こる可能性は高まる。
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ポイントは、最大搭載能力を大きく下回る弾頭しか積んでいないこと。例えばICBMのミニットマンⅢは3発の弾頭を積めるが今は単弾頭化されている。SLBMのトライデントD5も8発積めるので最大1872発積めるが配備されているのは1000発程度。
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核共有とは、核弾頭を同盟国領土に廃配備し、使用の決定と作戦そのものを米国と同盟国共同で行うもの。今では、米国のB61航空機搭載型核弾頭を同盟国の期待に積んで、目標に投下する。
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完全情報でないのは研究者だろうがOSINTだろうが情報機関だろうが同じこと。そうなるとトレンドを読むことはできてもイベントの予測はできない。例えてみれば、野球でもサッカーでも、1シーズンを通しての順位を予想する方が、個別の試合の勝敗を予想するより簡単だというようなものだ。
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少し補足すると、第1論争は、リアリズム、リベラリズムの間の論争だが、主題は規範性を内包した外交哲学。第2論争を経て、政策哲学から切り離された社会科学の理論が追求されるようになる。(わかりやすく単純化してます) twitter.com/SugioNIDS/stat…
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今回の琉球新報さんの一連の取材と記事は、切り取りではなく、内容を消化していただいた上での、異なる立場からの論理的な批判だと感じています。なので名指しはされておりますが不快ではありません。
これを機に、外交防衛の両面からの対中戦略論の議論が深まっていくことを期待します。
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政治的要求と軍事的合理性のどちらを優先すべきかについて、理論的な正解はない。結果から評価するしかない。
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また、1500発のほとんどが米本土向けになるだろうとも言っている。
ちなみに、NPRでは「ヘッジ」(予備核弾頭のアップロード)を核兵器の役割から外すと記述されている。
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(追加2)ネガティブな印象を持つ人が多いみたいなので、1つメリットを。
条件付きながら核弾頭投下の共同作戦やるということは、当該弾頭が使用される作戦計画が米国と同盟国とで共有されるということ。作戦レベルではあるが、このメリットはプライスレス。
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停戦協定にも同じことが言えます。停戦協定とは、ある時点の軍事的現実を政治的に固定することです。しかし、固定された政治的現実を維持するにはパワーが必要です。約束が守られる保証がないからです。つまり、パワーがなければ停戦協定の維持それ自体ができなくなるのです。