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“戦車はもっとも兵站集約型の兵器である”
侵攻初期のロシア戦車の損失理由の最大は戦車兵自身による放棄だった(一時は損耗の50%が放棄)。
背景にある“準備不足・補給体制の脆さ” について、翻訳してみます(ロブ・リー氏による長文記事の一部を抜粋します)
warontherocks.com/2022/09/the-ta…
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戦車はきわめて兵站集約型の兵器であり、作戦を続けるため定期的な整備、予備部品の備え、充分な燃料が必要となる。よって、他の部隊より補給計画が重要となる。しかし、今回の戦争で見せたロシアの異常な秘密主義の結果、現場の指揮官や補給担当者は適切な兵站を計画する充分な時間を持たなかった。
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加えて、今回の侵攻は多くの前進軸を持ち、相互の連携もなく、きわめて迅速かつ長大な前進を要求された。結果として戦車部隊は砲兵や防空部隊から離れ、さらに長く暴露された補給線を持つことになったのだが、補給部隊は待ち伏せ攻撃への対処能力を用意していなかったのである。…以上
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“第2次大戦以来 最高位のロシア軍人捕虜”!
ハリコフ戦線で西部軍管区司令官アンドレイ・シチェヴォイ中将がウクライナ軍の捕虜になったそうだ twitter.com/ChuckPfarrer/s…
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【補足】捕虜姿の写真だと制服の階級章は“中佐”。元ツイートだと「佐官の制服に着替えて脱出を試みた」とありますが、まだ100%確定情報ではないかもしれません。ウクライナ軍等の公式発表を待ちたいと思います。
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ハリコフ州でのウクライナ軍の反攻はロシア軍を敗走させ、北部ドンバス戦線は崩壊した。ロシアの撤退は統制されたものではなく、包囲を逃れようと我先に逃走している。
ウクライナ軍は70kmの深さでロシア軍戦線を突破し、3000平方kmを解放した。これはロシアが4月以降に奪った面積より大きい。 twitter.com/TheStudyofWar/…
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「3月にキエフを撤退したとき、プーチンは依然として主導権を握り、次の戦場を選ぶことができた。
ハリコフでロシア軍が敗走したいま、主導権はウクライナにある」戦争研究所 twitter.com/TheStudyofWar/…
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ウクライナ軍の大反抗作戦で“鹵獲”されたロシア兵器(17日確認)
戦車74両、歩兵戦闘車143両、自走砲27両、牽引砲16門、指揮車両22両などなど
アメリカ陸軍の機甲旅団戦闘団まるっと1個ぶんくらいじゃん…… twitter.com/WarSpotting/st…
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OSINTサイトOryxさんの算定だと大反抗開始前(2月~8月末)でロシアは約1000両の戦車を失っている(撃破・放棄・鹵獲)ので、この半月で一割増し(鹵獲74・撃破21)ってことですかね。
撃破に対して鹵獲の割合が多いというのも、抵抗せずに大急ぎで逃げ出したことが伺えますね
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ウクライナ軍の東部反攻によりわずか一週間程度で100輌近い戦車を失ったロシア。だが、ロシアは“現時点で、どれくらいの戦車を保有しているのか?” また“長期保管状態の戦車はどれくらいあるのか?”
ウクライナメディアの記事を翻訳してみます。以下
kyivindependent.com/national/how-m…
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戦車1300両は、完全編制の機甲旅団14個、もしくは大隊戦術グループ42個に相当し、イギリス・フランス・ドイツ・イタリアの戦車保有数を合算したものよりも多い。また、完全検証された994輌にしても、近代化されたT-72B3/MやT-80BVM、新型T-90Mなど品質面で大きな損害を被ったことがわかる。
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Oryxは写真等で完全検証可能な台数のみ計上しており、ロシアの独立系調査機関は同サイトの数字を「喪失総数の70%」だと類推している。この計算に従えばロシアの戦車損失は1300輌程度。これは5月にアメリカ国防省高官が発言した推定にも近い。ロシアは保有戦車の40%を失ったことになる。
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ミリタリーバランス2021年版によれば開戦前の時点でロシアは3300輌の現役戦車を保有していた(陸軍2840輌、海軍歩兵330輌、空挺軍160輌)。そして、情報検証サイトOryxの調査では、9月1日までに994輌を喪失している。
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だが、ロシアは依然として2000輌の現役戦車を有し、さらに膨大な予備戦車が保管状態にある。ミリタリーバランス2021年版によれば各種のT-72、3000輌のT-80、200輌のT-90を含む10200輌が保管状態にある。また2016年版は2800輌のT-55、2500輌のT-62、2000輌のT-64など冷戦時代の戦車をカウントしている
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…紙の上ではその通りだろう。だが、これら保管戦車はどれほど使い物になるのだろう? 唯一確認する方法は実際に数えてみることだ
ウクライナの軍事情報メディアはグーグルの衛星画像を検証した。ウラル山脈東の保管施設では2299輌が再生不可能と判断された。何十年も屋外に放置された屑鉄にすぎない
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別の1304輌は潜在的に修復可能と見なされたが、移送や点検、再整備にはかなりの時間がかかると推定された。推定で886輌が完全に作戦可能状態で保管されていた。なお、ロシア軍基地には格納庫があり、最大で1330輌保管可能だが、衛星からは内部の確認は不可能。
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また、修復するにしてもロシアの保管戦車は共食い整備の犠牲で劣悪な状況にあり、特にT-72系統の多くは状態が良くない。
また、西側のハイテク部品規制は修理・改修を困難にしている。
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全体としてロシアは少なくとも2000輌の修復可能な予備戦車を保管しており、当面ウクライナ戦争で戦車が不足するという可能性は低い。ただし、T-72やT-80の初期型、もしくは60年代の遺物など、より多くの旧式兵器を見ることになるだろうが。
…以上
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ロシア軍は東部の最前線に送れる予備兵力はすでに無い。ライマンは陥落するだろうし、リシチャンシクとセヴェロドネツクは“その次”だ、という記事。
ドミノのようにロシアの東部戦線が後退する可能性を解説。以下翻訳 forbes.com/sites/davidaxe…
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5/27はウクライナにとって暗黒の日だった。ドネツ河北岸の重要都市ライマンLymanが陥落。これによりロシア軍はドンバス地域における布陣を強化し、補給線の安全を確保した。
ライマン陥落はドミノの一手だった。これによりセヴェロドネツクが、さらに双子都市リシチャンシクが陥落した。
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クレムリンが必死にかき集めた新編の第3軍団はウクライナの攻勢を遅らせるためハリコフ戦線に投入されたが、いくつかの小競り合いののち、敗走するロシア軍の群れに加わった。
いまライマンのロシア軍は劣勢にあり、ますます孤立を深めている。
…以上
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戦争研究所は指摘する。「ドネツ北岸に沿ってウクライナ軍が東進すれば、ロシアはライマンを維持できず、さらにセヴェロドネツク・リシチャンシクへの道を開く」
「ライマンのロシア守備隊はほとんどが予備役と敗残兵であり、しかもロシアは他の戦域から増援を振り向けている気配がない」
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ロシア軍90万人のうち徴集兵は半数の40万人。兵役期間は1年、法律により徴集兵は戦闘参加できない。
兵役適齢人口は100万人。1/3は健康上などの理由で兵役に就けず、毎年2回、残りの人員から20万人程度ずつ徴集される。