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その時間に焦れて、声があがり始めた時に主審が耳に手を当てるポーズを取ると、あたかもアピールを受けてチェックが始まったかのようですが、そんなことはありません。
『あーわかりにくかったのか。ごめん。もちろんチェックしているよ』というような心持ちです。
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田中選手が少しでもボールに触れていれば『プレーを妨害した』として問答無用でオフサイドとなる。
ボールに触れたかどうかは客観的な事実なので、ボールに触れているならば通常はOFRではなくてVARのORで判定変更になる。
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気になる発言②
「主審が副審と協議しに行ったところで、VARも含めた3者で話をすべきだった」
副審の助言を受けて、主審が判定を下した後の話をしているのならばOKです。
それまでの話の流れからすると、『VARと一緒に判定したらいいのではないか』と聞こえます。そうであれば違います。
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2、VARの役目/役割について
気になる発言①
「ゴールは必ず確認作業が入るので、VARのチェックを待ってから、正しい判定に持っていったほうがスマートだった」
すでに述べましたが、現場の判定が得点かオフサイドか確定していないのに、VARはどうやって『明白な間違い』を見つけるのでしょうか。
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VARは判定の組み立てには参加できません。
主審と副審が協議している間は、会話に参加しません。注意深く聞いていて、判定が出た後にその判定に対するチェックを行います。
今回であればオフサイドとなった後に、根拠を主審/副審に確認しながら『明白な間違い』を探すのです。
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最後にひとつ
『再開してしまったら元には戻れない』のはその通りです。
ただ、VARが発動する【4要件】が起きた場合、VARがチェックを終えて主審に「チェックコンプリート」と言うまでは再開しません。
それまでの時間はオリジナルジャッジに対応した再開の準備をします。
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再開の準備が整ってもなお「チェックコンプリート」が来ない時に、耳に手を当てるポーズをします。
わかりやすいように柔軟に対応するのも大事だとは思いますが、基本原則はそうなっています。
そもそもの再開に時間がかかっている時には、耳に手を当てないこともありますが、チェックはしています。
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サッカーファンならばご存じの方も多いと思う私の名前、八木あかね。平仮名なので読み間違えようのないこの「あかね」がみなさんを混乱させてきました。審判を始めてからの歴史に沿って、いくつか「あかね話」を披露いたします。