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漫画家が「未完で旅立つ」ってのは
最後の最後まで、現役で描いてたって事。
本人に描く気があり、
それを待ってるお客さんの需要があった証だ。
それはとても幸せなんじゃないか。
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ちょっと前に「未来少年コナン」が毎週再放送されて、ご覧になった方も多いと思う。
あれの作画レベルはとても高く、アニメーターの勉強という意味ではお手本だらけだが、今のアニメよりも線そのものは、とても少ない。
だから僕は少し怖かった。
これが今の子に通用するかなと。
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これを英断と言えるのは今になってからだ。
普通は「バクチですね」だ。
当時同世代アニメーターだった僕も美樹本さんの絵は「美樹本さん個人の絵で沢山のアニメーターが描ける絵では無い」と感じた。
というか、アニメーター経験の無い人間は、僕らは信用も信頼もしなかった。それで当たり前だ。 twitter.com/hitasuraeiga/s…
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このはだしのゲンといえば、「子供の頃に観てトラウマになった」という話が山のように出て来る。
だがこれは恐怖アニメでは無い。
数多のどんな恐怖映画も「でも本当はこんなの無いんだ フィクションなんだ」と心が逃げられる。
だがゲンは【これは確実に本当にあったことなんだ】だ。
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僕はもう原画になっていたが、動画の子がチェックして下さいと持ってきた。
延々と身体のただれた人の行列の動画。
「これ、あえて原画に詰めないで。ダラダラと無機質に動かして」とアドバイス。
どんなシーンでもその場を冷静に見る。
泣いてちゃ駄目だ。
手は動かすんだ。
空気が重かった。
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「はだしのゲン」のアニメーションは、当時働いていたアニメスタジオでも動画の手伝いをした。
最初キャラ表だけ見た時に「なんだか明るく丸くなっちゃったなあ 大丈夫かなあ」と思ったが、作画が始まったらそれどころでは無かった。
中割りしてる動画が辛くて吐いた。 twitter.com/ChiakiAsami/st…
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とんがったアニメのカット割り、アングルは 宇宙刑事シリーズや戦隊ものにも変化をもたらした。
互いに「負けへんで」が、映像へのこだわりを深くして行った。お客の目に商品も磨かれた。
これが仮想敵の良いところだ。
【アイツのせいで俺らが売れなくなった】なんて仮想敵にすらならない。
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古くから漫画やアニメは「凄い実写には負けへんで」と、映像を磨いてきた。
最初のアニメの「あしたのジョー」は、原作に惚れつつ「負けんで俺らは」と演出でも作画でも恐ろしいエネルギーを発揮した。
70年代のアニメブームは80 年代のTV特撮に刺激を与えた。
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レイアースのアニメのキャラクターデザインを担当した石田敦子さんとは、何度かお話させて頂いたのですが、ぬりえの仕事の時にキャラクター表を一式もらって
その端々に石田さんが「胸を強調したカゲは付けないで」とあり、なるほどなあと。
放っておくと男は、すぐデカく描いちゃうからね。
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もちろん何の打ち合わせも無い。
あまりの反応の良さに娘もビックリ。
「いやーお父さん あたしゃ関西人のノリは本物だと思ったよ」
あの時撃たれてくれた男子諸君 ありがとう。
娘には一生の思い出になったでしょう。
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昔、娘が高校の修学旅行でUSJに行った。
娘はその頃流行ってた色んな電子音のなる小さなオモチャ持ち歩いてた。
関西のどこかの高校が、記念撮影で並んでて
娘は事もあろうか、その列に向かって【ダダダダダのマシンガン音発射!】
すると男子たちが次々とう!げ!とかって撃たれてうなだれたって。
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僕は日本のアニメーションは、間違い無く世界で戦えるものだと思っている。
今は。
だがそれは、現在40歳以上のベテランが【何とかクオリティーを下げないように踏みとどまってるおかげ】だ。
これは長くは続かない。
若い子がベテランになる前に、どんどんやめて行くような業界では先細りだ。
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そして本来なら、演出でも作画でも【20代のやたら才能のある奴らが新時代を見せる】でないとおかしいのだが、それが見当たらない。
既に成熟したベテランの技術を後から追うだけだ。
二十歳から四十歳までの20年
【この20年をちゃんと食えて行ける環境】が無ければ、才能は根付いてくれないよ。
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ちょっと前に「歴史を変えたアニメは」みたいなのがあったが
日本においては間違いなく、1974年の宇宙戦艦ヤマトだ。
これは従来アニメ(テレビまんが)は、【明るく正しく良い子のために】作るのが正しいとされていた。
だから作品内には必ず子供がいた。
つまりそれが観てる子供の分身だ。