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農業のうち、コーヒーなど大企業との関連が強い農産物ほど気候変動/生物多様性への対応が迫られていて、実際ネスレやUCCは生産者に投資をして農業を低環境負荷に変革しようとしてる。日本の農業では「茶」がこれにあたると思ってて、お茶飲料企業の動向を調べてみたら、伊藤園は2023年の3月に
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『オーガニック(有機)給食を全国に実現する議員連盟』に提出するために有機農業と健康が栄養成分に与える影響をレビューしたのですが、研究は膨大にあるのですね。基本的に、有機と慣行の安全リスクは差は大きくない(有機は一貫して残留農薬が少ない一方、大腸菌リスクが指摘)。また栄養成分も、
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ナガミヒナゲシって、誤情報として絶妙ですよね。確かに外来種ですが、「根こそぎやられて生態系は破壊」どころか在来種への影響は不明だし(農地/都市など攪乱地にしかない?)、アレロパシーの影響なんて誰も調べてない。でも駆除することは誰の不利益でもないので、怪文書がネットの海に漂い続ける twitter.com/nikojun619/sta…
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罹患者じゃない人が過剰にグルテンを避けるデメリットすら指摘されている。「食物繊維や鉄の不足および脂質の過剰といった悪影響が出る可能性」
yasuda-u.repo.nii.ac.jp/?action=reposi… 安田女子大学紀要(2021)
食の分野は、大手企業でもこういう無責任なマーケティングが多くて、なんだかなあという気持ちになる
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作物学小麦回の質問、『グルテン=体に悪い』への疑問が多い。もともと、グルテンに免疫応答してしまう患者のためにグルテン・フリー食材はあったが、それが体にいい/ダイエットにいいとするインフルエンサー等の影響で疑似科学化。それに大手食品企業も乗っかり、収拾がつかない状況のようだ。
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つまり、圃場研究は、論文の量が少なく一般性も難しい。現在の評価システムでは、こういう性質は予算獲得が難しく、職を得るのも厳しくなる。これがフィールドの農学者が少なくなった理由だと思う。
これが、生態学出身の私が作物学研究室を主宰することになったのか、1つの理由だと思っています。
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そして作物系の雑誌は複数年度の試験を要求することが多い。なので、1つの圃場試験からは数年に一度しか論文にならない。極めて優秀な人が、複数の圃場実験をうまく回しても1年に1報。一方、ラボの研究だとこのサイクルが早く、季節を選ばない。極めて優秀な人なら1年に>3はざら。この差は、
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件の農学部の是非はいいとして、圃場で農業の研究をする農学部の教員が激減したのは間違いない。これには、アカデミアの評価システムが大きく関わっていると思います。1つは単純に圃場研究は論文が出にくい。基本的に、圃場研究は年に1回しか結果が出ない。
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昆虫の激減が世界的に報告されてるが、昆虫は非常に多様なので個別の種の保全より保護区の設定が有効。世界の昆虫GBIFデータ(89151種)を使って、既存の保護区の有効性を調べたところ、76%が最低目標レベルに達さず、1900種近くが全く重なっていなかった。One Earth (2023) cell.com/one-earth/full…
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大学生活、1限の講義は学生の睡眠にも学習にも悪影響があるみたい。Wifi接続やオンライン学習データから、早朝の講義が出席率を低下させ、睡眠時間を短くし、学業成績(早朝の講義以外のものも)を低下させることを大規模に示した。
nature.com/articles/s4156…
Nature Human Behaviour (2023)
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多分これまで放流を推進した団体を責めているわけではなく「科学のチカラ(膨大な野外データ取得と緻密な分析)でこういうことが分かったので、放流の是非を皆で考えませんか」ということを伝えれば、子供は本当に色々考える気がします。それこそ良い環境教育の題材になると思います。
>RT
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慣行に比べ、有機農産物は、栄養や人間の健康にはほとんど影響しないが、生物多様性には一定の貢献がある。しかし、有機(化学農薬不使用)が生物多様性を向上させる最も良い農法ではない、慣行農家も採用できるより良い方法があると主張する生態学者も多い。以下、有名な意見論文+反論+再反論を紹介
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紅葉という誰もが目にする現象も、実はわからないことだらけ。『なぜ紅葉が進化したのか』を巡る、生理学者(環境ストレス推し)vs. 生態学者(植食者へのシグナル推し)の喧々諤々、諸説紛々の歴史
onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.11… J Evol. Biol. (2022)
(東アジアは赤葉が、北欧は黄葉が多いらしい)
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私も研究で少し関わっていますが(利益相反宣言)、確かにいくつかの畑作物は意外なほど生産できてます。興味深いのは、山に造るメガソーラーは投資家に大人気なのにこちらは不人気な点です。スケール性?
環境も農家も救う「ソーラーシェアリング」が注目される理由technologyreview.jp/s/294438/the-n…
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結構衝撃。これは生物多様性・気候変動・農業に関心のある人は読むべき論文かも「EUの気候変動対策計画は、バイオエネルギーを推進することで炭素貯蔵と生物多様性を犠牲にする」Nature (2022) nature.com/articles/d4158… 2050年までに農地の20%がエネルギー作物になり、半自然草地の50%は失われる(!)
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『地球を救うには人類を減らすしかない』という寄生獣的な環境問題の解決策は巷に溢れ、研究者からも発信されますが、この言説を証拠に基づいて舌鋒鋭く批判した意見論文。
「人間集団の減少は、生物多様性保全の必要条件でも十分条件でもない」Biol. Conserv. (2022)
sciencedirect.com/science/articl…
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人口減少を主な解決策とする議論は、非倫理的・植民地主義的(人口増加は途上国に偏る)であり、実際の生物多様性の減少要因から目を逸らさせてしまう。主因は(人口の少ない)先進国の消費であり、食生活・サプライチェーン等を構造的に変える必要がある。漁業(海の多様性)で日本も名指しされてる。
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農業系の講義資料を大量に作る必要がある私にとって、神様みたいな素材サイトを見つけてしまった。その名も『農民イラスト』。
nawmin.com
味のある絵柄で、農業に関連しそうなイラストを公開していただいてる。ありがたい…!
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一般的に漁業は大きな個体を選択的に捕獲するため、個体数が減るだけでなくサイズが小さくなるよう急速に進化する。逆に、完全禁漁区では個体数の回復だけでなく、成長速度が速くなっていた。ロブスター@欧州での実証。Pro. B (2022) royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rs… 持続的な漁業に進化の視点が必要な理由
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なんという力業の野外操作実験!
草原にランプを設置して下層植生に光照射し続けると、富栄養や植食動物がいないプロットでも光を巡る競争が緩和され、植物多様性が低下しにくい。 Nature (2022)
nature.com/articles/s4158…
つまり草丈が高い植物による「競争排除」が、多様性を低下させることを示した。
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なんか衝撃。アイアイは虫などを採餌するため中指がめっちゃ長い。その長い指を使って鼻をほじっている行動が動物園で観察された。おそらく喉までいってるだろうとのこと。
動画:youtu.be/sz_H-ZsSevo
…lpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jz… J Zool. (2022)
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写真がすごい。海面上昇に悩むバングラデシュ農家ではイカダ(ヒヤシンスを編み込んだもの?)の上で作物を育てる伝統的な水上農法に戻る農家が増えているよう。
jp.reuters.com/article/climat…
現実が私の貧弱な想像力を超えてて「SFで見たことある!」状態。まるでパオロ・バチガルピの世界。
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そもそも、果実のデータベースに果肉と果皮の色を分けて記載してあるのが乏しいように思います。コントラストが大きい種(果肉と果皮の色が大きく異なる)から、ミカンのように少ない種までたくさんあって、コントラストそのものに何かしらの生態学的機能があったら面白いです。