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赤のちから 古から人々は、太陽や炎、血の色を連想させる赤い色に対して畏敬の念を抱き、赤い色には魔除けの力があるとされた。 赤い色の衣類を身につけると病や災難から守ることができるとされ、魔除け、吉祥、生命力をあらわす色として祭礼の際にも用いられた。
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呪符と急々如律令 「急々に律令(法律)の如くに行え」という意味で古代の文書に使われていたことばが呪符の命令を実行させる決め言葉として定着したとされる。
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杖は古くは神の依代としての性格をもっていたが、やがて神の持ち物とされ、権力者の権威の象徴や護身用としても利用されるようになった。高僧・英雄の立てた杖が成長して大樹になるという杖立伝説が全国各地に残る。 遠野ではアカザの杖には病気を除ける力があると伝承されてきた。 常設 アカザの杖
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「まめ本遠野物語」本日再販開始です! twitter.com/tonomuseum/sta…
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鍋倉城跡本丸付近にて
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地震よけの呪歌 呪歌は陰陽師や祈祷師が場を清めたり、福を呼び、災いや魔物を避けるために唱える歌。 「ゆるぐともよもやぬけじのかなめいしかしまの神のあらんかぎりは」と呪歌を紙に書いて3回唱えて門に張れば、地震の被害を避けられるとされた。 「地底鯰之図」左上に呪歌 館蔵資料
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山言葉  猟師は、山では山言葉を使う。里言葉はケガレが多いから神聖な山では使わないものだとも、山の獣たちに分からないように隠語で語るのだともいう。  巻物の唱文する者をケサキという。カモシカをアオシシ、アナグマをマミ、猿をエビス、犬をセタ、心臓をサベ、コメをクサノミ等と呼ぶという。
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言葉の力 昔から日本では言葉には呪力があると考えられてきた。言霊ともいわれ、言葉に宿る霊力が、発せられた言葉の内容どおりの状態を実現する力があると信じられた。 呪力を発揮させるために唱えたり御札に書かれる言葉を呪文という。 館蔵資料
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境の神  村境は異郷や他界との通路であり、遠くからやって来る神や悪鬼、災いを起こす邪霊もそこから入ってくると考えられた。  また橋、坂、峠、辻なども異界との境界と認識され、このような場所には他から侵入するものを防ぎ、道行く人々を災難から守る神として賽の神や道祖神が祀られた。
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五芒星 五つの頂点を持つ星形の記号で陰陽五行説の木・火・土・金・水の五つの元素の相克を表現したものとされる。 一筆書きで書け、全ての部分が閉じていることから魔物が入り込む余地がないとされ、魔除けの呪符などに記された。
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『金枝篇』The Golden Bough 1890年初版 1926年刊 イギリスの社会人類学者ジェームズ・フレイザーによって著された未開社会の神話・呪術・信仰に関する集成的研究書。 柳田國男の民俗学にも大きな影響を与えたとされる。呪術を類感呪術と感染呪術の2種類に分類して説明した。 館蔵(7/21〜公開)
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感染呪術  一度接触したものあるいは一つのものであったもの同士は、遠隔地においても相互に作用するという考えによるもの。  狩の獲物の足跡に槍を突き刺すと、その影響が獲物に及んで逃げ足が鈍るとするような行為や誰かを呪うときその人の爪や髪の毛を使うなどの例がある。 常設資料
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類感呪術 ある現象を模倣することによってそれを実際に引き起こそうとするもので、例えば雨乞いで水を撒き太鼓を叩いて雷の音をあらわすことは代表的な例である。 小正月の御作立やお田植えなどの予祝行事も作物の実りを模倣した類感呪術といえる。 小正月の御作立 撮影:浦田穂一
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遠野の狩の秘伝書 諏訪の勘文の後に、獲物を仕留めた際供養のために唱える秘歌が記されている。 「野辺に棲む獣、我に縁無くば、長き夜路に永く迷はん」と三回唱える。 常設資料「諸所之命留タル時ノ秘文伝」安政2年(1855)
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春風祭りのワラ人形 古来、人々が病になったり、災厄に遭うのは穢れが乗り移るためとされてきた。穢れを祓うために、人形に穢れを移して境や川に送り出した。 春風祭りのワラ人形は、団子で身体を拭い人形に付ける事で、穢れが人形に取り込まれ、人形自体も魔除けの力を持つと考えられた 常設資料
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九字 臨兵闘者皆陣列在前の九字の呪文。山に入る時の魔よけの呪文とされたが、密教や修験道にとり入れられ護身のための呪文とされるようになった。九字を唱えながら印を結んだり、早九字と称する刀を表現する指の動きで縦横に切る動作などが用いられる。 縦横の線は結界で魔除けの効果があるとされた。
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「我々が空想で描いて見る世界よりも、隠れた現実の方が遙かに物深い。」 柳田國男著『山の人生』より
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起因説話 座敷わらし 下閉伊郡岩泉村 家を新築する際には、ざしきわらしと云う童形の人形を座敷の床下に埋めると其の家には必度ざしきわらしが出ると云うこと也 佐々木喜善民俗調査カードより
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ザシキワラシは、東北地方を中心に伝えられる家の神、精霊で、旧家の座敷にいて普段は目に見えないが、時に子どもの姿をして現れるという。 この神のいる家は繁栄するが、いなくなると没落すると伝えられる。近代になってから『遠野物語』や『奥州のザシキワラシの話』等で広く知られるようになった。
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呪詛返しの秘法 自分にかけられた呪詛をかけた相手に返す方法について記されている。 人形をつくり「河の瀬に祈り続けて払ふれば、出て行くなり又帰りくな」秘歌を唱えながら、河川に流せば、身に受けた呪詛はそれを行った本人に返されるという。 『呪詛遍道功大事』より 呪術展資料7/21~9/24
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十種神宝図 この十種神宝を合わせて、 「一(ひと)、二(ふた)、三(み)、四(よ)、五(いつ)、六(む)、七(なな)、八(や)、九(ここの)、十(たり)」といって布瑠部由良由良と布瑠部と揺り動かす。こうすれば死せる人も生き返る(『令集解』巻二)という。 「呪術展」展示資料7/21~9/24
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白狐像 正一位舘稲荷神社(遠野市宮守町)に祀られていたもの。 台座に嘉永2年(1849)の墨書がある。 狐は稲荷神の神使とされる。また年を経たキツネが白狐になるといわれ、神通力を持つとされた。 常設資料
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綾織から小友に越える小友峠には祠が祀ってあるが、このあたりの沢には稀に人目に見える沼があるという。 その沼には、海川に棲む魚の種類はすべていると伝えられている。もしこの沼を見た者があれば、それがもとになって病んで死ぬそうである。 「遠野物語拾遺」37話 峠にある二郷明神 明神付近の沢
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形代とは 神霊が依り憑く依り代の一種で、人、器財、動物などを模してそれに代わるべきものを作り種々の呪術を行う道具。 人間の霊を宿す場合は人形を用いるなど神霊が依り憑き易い形にするとされる。 疫病神や悪霊の依代とされて、村境に送られるワラ人形なども形代の一つである。 常設資料
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駆ける穴熊 遠野市青笹町