「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri 今日の天気は?」 「……」 「ヘイSiri?」 「はい、なんでしょう?」 「今日の天気は?」 「雨です」 時々ウチのSiriは調子が悪くなる。修理に出しても異常なし。なんでだろうなと思い返してみると、全て、彼女とデートした翌日の事だった。
「PS5欲しいんだよなぁ」 友人のその一言が嬉しかったんだ。最近じゃ、身近な友人はゲームなんてやらなくなって、語り合える相手は俺の周りにすっかりいなくなっていたからだ。 「あー、まだ入手困難だね…。でも大丈夫!再入荷の情報入ったらすぐに知らせるよ♪」 「マジ?悪いな…息子が喜ぶよ」
家にいると痣が増えるから、私は近くの図書館に毎日足を運んでノートに小説を書いて過ごした。気分転換に好きな本を選ぶ。図書館に育てられた私は、いつかそこに自分の本を並べるのが夢だった。 そして、夢は叶った 意外と涙は出なかった でも、お世話になった司書さんが泣いてくれた時、涙が溢れた
「リア充爆発しろってよく聞くけど、この期に及んでなんで他力本願なんだろうな」 「そりゃ爆破するって言ったら捕まるからな。本物はただ、黙々と実行するのみだよ」 友人が懐からスイッチを取り出して押すと、遠くで大きな爆発音がした。 「……今のは?」 「福音さ」 「……」 「Xmasの夜に、乾杯」
先輩は私の憧れだ。 物怖じせず上司に意見するし、堂々と定時で帰るし、飲み会も「気分じゃない」と断れる。 「私も先輩みたいになりたいです」 「ふーん…じゃあ私の師匠を紹介してあげるよ」 後日 公園に案内された。 「この方が私の師匠」 そこには、1匹の猫が気持ちよさそうに寝転がっていた。
「…チェンジ」 後ろからポーカーを観戦していた俺は驚愕した。Aの4カードが揃ってたのにチェンジだと!? 何たる度胸…これが勝負師と言うものか… 「驚くのも無理はない」 常連らしきギャラリーが俺に耳打ちしてきた。 「あいつロイヤルストレートフラッシュしか知らないから、それしか狙えないんだ」
「自然恋愛出来るのは今だけだから、後悔の無いようにね」 と母に言われたけど、高校でも十分、打算ばかりだと思う。皆、ステータスとか外面ばっか気にして彼氏彼女作りに走り回ってる。だから私は母に言われたセリフを妹に伝えた。すると妹は「(´∀`*)?」みたいな顔して友達と鬼ごっこしにいった。
ノートとペンが道端に落ちていた。ノートは真っ黒で異様な存在感を放ってる。ページを捲るとびっしり人名が書かれていた。調べると全て犯罪者の名前で、全員死亡済だ。僕は怖くなってノートを燃やした。後日 学校のテストで名前を書くと、意識が薄れ僕は倒れた。使ったのは、あの時 拾ったペンだった。
初めて彼氏の家に行ったらなぜか洗面台の鏡にキスマークがついてて、口紅も置いてあって「なんなのこれ?」って思って問い詰めたら慌て始めて、余計に怪しくて強く聞いたら「初キスで緊張しないよう、女装して鏡の自分と向かい合ってキス練してた」って白状されたんだけどキスは死ぬほど下手だった。
今日も会社と家の往復を済ませ、夢も希望も無い毎日から逃避するように、ゲームを起動する。 「そういや、川島の奴は夢を叶えたのかな…」 ゲームを全クリし、スタッフロールが流れる。 すると、見覚えのある名前が目についた。 〝ディレクター:川島 一〟 俺は泣きながら、ゲームの電源を切った。
俳優の夢を諦めた時、人生が一気に色褪せた。 どうやって死のうかと毎日考えてた俺に友人が言った。 「死ぬ前に、この漫画読んどけ」 それが、尋常じゃないくらい面白い。あっという間に最新刊まで読んだが、まだ完結してないらしく、親友に聞いてみた。「なぁ、HUNTER×HUNTERの続きいつ出るんだ?↓
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
「こら!パパのお供えモノ食べちゃダメでしょ!」 翔子は仏壇から豆大福をとって食べた息子を叱った。 生前、夫の大好物だったものだ。 シュンとして、息子が呟く 「パパならきっと、わけてくれたモン…」 「……そっか、そうだね」 遺影に目を向けると、夫は笑っていた。
「俺達、親友だよな」 「どうした改まって」 「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」 「いいぜ」 「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」 「マジなのか?」 「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」 「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
アパートに帰ると、お隣の男子大学生が自室の前で体育座りしてた。 「鍵無くしたの?」 「いえ、終電逃した女友達を中に泊めてるので」 「それで君は外に?紳士過ぎない?」 「いえ、せめて床に寝せてって頼んだら『ダメ』って…」 「え、女の子に追い出されたの?」 「はい。そんな所に惚れたんです」
トロッコ問題。分岐点の先で線路の上に寝かされている5人と1人。どちらを救うかレバーで決める。 「お前ならどうする?」 「寝かされてたっけ」 「そこはどっちでもいいだろ」 「人をどかせて救えないの?」 「無理」 「じゃあ1人を見捨てる。その代わり、トロッコが来る前に、僕も隣に寝てあげる」
『Bot確認です。以下の問いに答えて下さい』 「なんだ?全問簡単な算数じゃないか…むしろBotの得意分野だろ」 選択肢の中から回答を選ぶ。 「…待て、全問答えがAになっちまった…どこか計算ミスってないか?」 暫く悩んでると画面が切り替わり、次に進めた。俺はBotじゃないと判断されたらしい。
「ママはどうしてパパと結婚したの?」 「私がレンタル屋でバイトしてた頃、パパは常連さんだったのよ。いつも借りたビデオは最初まで巻き戻してから返してくれた。それで、あぁ そういう気遣いが出来る人と結婚したいなぁ…って思ったの」 幸せそうに語るママに私は更に聞いた。 「巻き戻しって何?」
家に帰ると荷物が届いていた。僕はすぐに配達担当の人に電話した。 「なぜ荷物が家の中にあるんですか?」 『え?』 「不法侵入ですよね?」 『いえ…奥様が受け取られたのですが…』 意味がわからない。 僕は…独り暮らしだ。 後ろを振り向くと、クローゼットの隙間から、こっちを見てる人がいた。
「最近、英語のリスニング頑張ってるんだ」 「映画を字幕無しで見れるようになりたいって言ってたもんね」 「でも、相変わらず何言ってるか全然わかんねぇんだ」 「そんな難しいの?なんて映画?」 「これ」 俺はスマホで映画を再生する。 「わかる?」 「うん、これがフランス語ってのはわかる」
「呪いの140字小説ってのがあるらしい。読んだ人は必ず死ぬ。RTすれば助かるんだ」 「…お前、読んだんだな?」 友人は頷いた。 「早くRTしろ!」 「……その必要は無い」 「まさか…お前…自分が犠牲になって拡散を止める気か?」 「いや、作者のアカウント 貞子@sada_ko_dayoが凍結されたんだ」
「チッ 雨かよ…」 俺は傘立てから適当なビニール傘を選び盗る。ビニール傘はシェアするものなのだ。傘を開くと、内側にこう書いてあった。 『お父さん、誕生日おめでとう』 俺は泣いた。泣きながら傘立てにその傘を戻した。そして濡れながら帰った。 「誕プレ、コンビニのビニール傘かぁ…」
ケンジはどちらかと言うと、顔が良い方ではなかった。頭が良い方でも、トークが特別上手いわけでもない。それでもケンジは、今までに5人の彼女を作り、その全てはナンパで捕まえたと言う。 「一体どんなトリックなんだ?」 俺がそう問うと、ケンジは一言、こう答えた。 「5勝829敗」
本日夕方頃 XX駅のホームにて、中年男性が女子高生に暴行を加えたところを、周りの乗客に取り押さえられました。中年男性は駅員に連行され、暴行の理由について以下の通り供述しました。 「ついカッとなってしまった。今では反省している。彼女が2度と、自殺未遂なんて馬鹿な真似をしない事を祈る」
奇妙な光景だった。 その作家は、丹精込めて世に出した作品への批難をネット上から探し、それが多いほど喜んでいた。 「なぜ、自分の作品をボロクソに言われて喜んでいるのですか?Mなんですか?」 作家は答えた。 「だって、趣味が合わない人にまで届くことこそ、人気の証でしょう?あと、Mです」