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濡れるとサビたり。包丁のような刃物になったり。そういった諸々の周辺的事実の結節点として、私たちは「鉄」を初めて理解する。知識とは知のネットワークを形成することであり、ことばを覚えるとは結節点に名前をつけることであり、理解するとは、その結節点が何とつながってるかを知ること。
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臨床の現場を知らない医学研究者が、数値だけを見て楽観論を振りまいている気がする。なるほど、「集中治療室の滞在期間の違い」は、まだ統計データが出ておらず、明確に論ずることは難しい。しかしそれにしても、臨床の現場がこれだけ悲痛な声を出してるのに、それを聞き流すのは解せない。
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市役所職員によると、被災者全員に公平に配れないのであれば、配ってはいけない、という。味噌ラーメンと塩ラーメンを合計したら被災者全員に配れるのだが、「それだと塩ラーメンが欲しい人に味噌ラーメンが配られたりなど、もめる原因になる、だから配ってはいけない」と頑張っていた。
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京大に合格してすぐ、父の友人が先斗町の小料理屋に連れて行ってくれた。最初、店には私たち3人だけ。しばらくすると「京都のことならなんでも聞いてくれ」みたいなことをゲラゲラ笑いながら話す人が「お、ここにしよう」と戸を開けた。いかにもお金持ってそうな、高級スーツを着た男性二人。すると。
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どんなところにも文句を言うのが上手な皮肉屋さんはいて。煮込みハンバーグを大阪で大量に作り、なるべく保温して被災者の方々に温かい食べ物を、と思って持参したところ、「豚に食わせるようなもの配りやがって」と言った被災者もいた。しっかり食ってたけど。この人、何にでも文句言っていた。
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「まんが医学の歴史」は大変面白いので、みなさん読んでみられることをお勧め。その中で、対照的な人生を送ることになった二人が紹介されている。ゼンメルワイスとリスター。この二人は、消毒が多くの患者の命を救うことをそれぞれ発見したのだけれど、人生が大きく違ってしまった。
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とある大学の先生の嘆き。
学生は「結果」にしか興味がなく、「どうしてそうなるのか?」ということに関心がない、とのこと。
小中高の教育が結果しか求めず、大学でリハビリやってる感じ、だという。なるほど。
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ボランティアは無私の人間でなければならない、という変な縛り、「思枠」があるけれど、そんなの要らんと思う。ボランティアは神様じゃない。人間。ただ、同じ人間として、ほっとけないから何かできることをするというだけ。嫌になったらやめていい。それがボランティアだと思う。
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来る物資は片っ端からそれぞれの商品の山に積んでおく、というルールだけ承知すれば、誰でも物資管理ができた。左官職の若者が物資管理の担当になってから、物資管理をする必要がなくなった。
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前にも書いたけど、「勉強できない子」はまず、音読み熟語がわからない、というところでつまづいていることが多い。何を隠そう、私自身がそうだった。そして塾で指導してきた感覚だと、公立中学で偏差値55以下は音読み熟語が苦手。偏差値50以下だと、それが出てきたら思考停止。
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世の中に全然役に立たない、趣味としか思えない研究が、とてつもなく人類に貢献する技術体系を育てることになった事例を紹介。
それは、ミミイカという光るイカの研究。これがやがて、アレルギーや心の病にも深く関係する、腸内細菌などの研究にも波及していった。
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他方、私は、女性は赤ん坊に対して努力をしない存在に預けることに不安を覚えるのだな、ということに気がつき、少しだけ赤ん坊にサービスをするように努力した。ただ、どうせなら自分も楽しいように、と少し工夫して。
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まず親が立派な人間になり、子どもの見本とならなくては、という話をよく目にする。でも私は、親として欠落があっても構わないと思う。そして、その欠落を子どもに補ってもらえば、なおよい。昔、「あさイチ」で行われた実験はその点で大変興味深かった。
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この事例から、「頭がいい」って何だろう?と思うようになった。学業に関してなら、その京大生は卓抜していて、同級生の私なんかはるかに及ばなかった。すべての物資の種類と量を把握し、消費スピードまで計算に入れるなんて芸当、私にはムリ。他方。
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その後、市役所職員の方は、ボランティアが「これが足りない」というと「わかりました!」と言って市に即電話、物資をかき集める業務に専念してくれた。結構助かった。他方、物資を配り、それで不平を言う人への対応はボランティアが担うことにした。お互い強みを生かして棲み分けられた。
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私のところに来たスタッフや学生は、最初の頃、失敗したと気がつくと「ああ!すみません!どうしよう!」と慌て、動転する人が多い。私は「あ、失敗はどんどんして下さい。その失敗、予想の範囲ですから。私もやってますし、失敗しないとなぜこの操作を行わなきゃいけないのか、分かんないんですよね」
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中古の汚い毛布を送ってきた人は「どうせ被災者の人たちは寒くて仕方ないんだろう、だったら捨てようと思っていたこの毛布でもいいか」となったのだろう。手紙を入れて送った人は「どうせなら日に干して少しでも気持ちよく眠れますように」と願いを込めたのだろう。「どうせ」と「どうせなら」の違い。
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塾を主宰していた10年間、私は「教え魔」だった。私は非常に物分りが悪く、中学までは成績も悪かったので、勉強のできない子でも理解できるよう分かりやすく教える自信があった。実際、私が説明すると「よく分かった!何で今まで、こういう教え方してもらえなかったんだろう」と、生徒は感動した。
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サービスを受ける消費者からすると、タダで散髪してもらえたらその分生活費が浮き、助かる。しかし散髪屋は全く客が来なくなり、収入がゼロになり、生活できなくなる。その人は「消費者」でさえいられなくなる。すると、社会から一人、消費者が消える。結果的に消費が減り、誰かの収入が減る。
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昔から不思議に思っていたことがある。「山には誰も肥料をまかないのに、なぜあんなに青々と木々が生い茂るんだろう?」山はむしろ雨にさらされ、上から下へと養分を抜き去られるばかり。それが百年も千年も続けば、山は肥料分を失い、いつか植物が育たない場所になるはずなのでは。
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私たちは、病気になっても病院にさえ行けば治ると安心するからこそ経済活動を維持できる。もし大切な身内が十分な治療を受けられないとなれば、家族で看護する必要が出てくる。もうそれで経済活動はできなくなる。治る者も治らなければ、その人は経済活動ができなくなる。
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昨年、東京大学の農芸化学科は定員80人なのに、進学希望したのが50人台だったという。なぜそんなにも希望が減ったのだろう?今の若い人たちは、農芸化学が就職で非常に有利だということを知らないのだろうか?教えてくれた人によると、先輩から聞くはずだというのだが。
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査読された論文ではないらしいけど、まあ、そうだと思う。
培養肉が話題になり始めた頃、これを推奨していた研究者に「エネルギー収支は?」と聞くと答えられなかった。「培養液を作るには相当のエネルギーを消耗しているはず。計算してください」と伝えた。 karapaia.com/archives/52322…
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百円ショップに行くと、前まで百円だったであろうサイズのプラスチック容器が二百円に。三百、五百円も多い。価格がかなり混在。店の様子を見て「ああ、これ、三十年前の雑貨屋、金物屋だな」と感じた。
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「KPIを書け」という指示が来た。KPIって何ですか?と聞いたら事務担当者「え?篠原さんの方が専門なんじゃ…」
二人で調べたら、どうやらその年度までに達成する目標のことらしい。だったら「達成目標」でええやんか。意味わからんよ。最近、また意味不明の言葉増えてきたよ。日本語で書けよ。