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「あしたのジョー」が若いクリエーター志望者に読まれていない問題。あらゆるエンタメの過去名作は読まれないし手に入らないのです。そして根本的問題。創作講座に来る学生も社会人も、講師の勧める作品や参考文献なんて絶対読みゃあしません。百人に一人いればいいので、そういう人は勝手にモノになる
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日本人の役は日本人に演じさせるというポリティカルコレクトネスによって作品の品質は向上するという意見を見たが、「大阪人の役を大阪弁がしゃべれるだけのお笑い芸人にやらせた結果、レベルが地におちた映画・ドラマ」を山のように見たことからすると、とうてい承服できませぬな。
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「異世界ファンタジーで日本語特有の表現が出てくるのはおかしい問題」、僕らもつい文句というよりツッコミを入れたくなるが、小説は痩せ細らせるようなことはやめた方がいいと、「事実」を振りかざしたマウンティングに悩まされてきたミステリ者としては思う。ほんとにすぐわいて出るんですよ。
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いま放送中の「ドリーム」に「私たちのアポロ計画」と副題を付け、結局「マーキュリー計画」とは改めず、結果的にわけのわからない邦題になった件を、「大怪獣のあとしまつ」のプロデューサー・インタビューで思い出すなど。どちらも本邦映画関係者の観客への底なしの侮蔑を感じさせる点で。
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鬼滅の刃は僕もよく知らないのだが、主人公の妹がくわえてる竹を「巻物」と誤解した人が多いと聞いて逆にホッとした。つまり妖術使いが巻物くわえてドロンドロン、が継承されてるということでしょ? 今、日本人の中から「言葉」と「物語」が凄い勢いで消えて行っているが、何とか踏みとどまってほしい
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あしたのジョーはコミックスで20巻か……当時とてもそんなの買えないと思った記憶が。その点、40巻50巻と続くのが当たり前の今の漫画は、確実に次世代に読まれるネックになると思う。「ベルサイユのばら」10巻、「はいからさんが通る」8巻(番外含)は強い。少女漫画の作劇は小説に近いのかもしれない
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「えんとつ町のプペル」の件で映画ってこんなもんだったかなと思ったが、80年代に前売り券商法で「こんなもん」にしたのは当の映画界だった。当時は映画に郷愁を抱く企業人が多かったから、製作費を出させた上に前売り券を押しつけることができた。そのとき日本映画についてみんな学んでしまったのだ。
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もう疲れたから言わないけど、少年少女向けの冒険探偵小説や伝奇時代小説が消滅した時代に育った人たち(僕からしてそうだが)には、そもそもそういうものがあったことを知らないから、いくら「将来のお客さんのために子供向けエンタメを出そう」と言っても通じないんです。そういう概念がないんだから twitter.com/ashibetaku/sta…
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わからなくていいのですよ。古い小説を読んでいて、ふいに出てくる「昼夜銀行」「チッキの合い札」「ニュース映画館」「驚き盤」といった未知の言葉の異化効果とイメージ喚起力は捨てるにしのびないものです。 twitter.com/komorin95/stat…
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もう名前は忘れてるから安心してほしいけど、ある若手小説家が、今の郵便事情の悪さに対して「でも、たかだか80円で東京から大阪まで翌日配達されるというのがおかしかったんですよね」と発言したのに激しいショックを受けた。徹底的な現状追認と不平封じ。たぶんマイナカードでも同じことが起きます。 twitter.com/kinkuma0327/st…
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浦沢直樹先生が前々首相がマスク姿の似顔を描いただけで炎上したり、是枝裕和監督が日本の好もしくない姿を描いているのに支援を受けたことへの非難とか、入管の暴力を描く演劇を評価した人への殺人教唆とか、「諷刺」や「社会批判」をダサいものとして排除した結果、とんでもないことになった気がする
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『ドグラ・マグラ』に「正木博士は羊羹色の紋付羽織(略)という村長然たる扮装」」とあるように、これは服地の色として使われてきた表現。微妙な色彩の訳語として使ったのは先人の知恵で、むげに排除するのは、日本語の連続性を断ち切ることになるし、「西洋にない」から排除というのは狭量では。 twitter.com/Cristoforou/st…
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「そんなもの書いてもダメ」「こんな舞台/アイテム/人物は出してはいけない」――こんな“助言”のせいで壊された世界の廃墟や、生み出されたまま放棄された人物たちが僕の脳内には蠢いている。その責任は差し出口に耳を傾けた僕自身にある。これはかなりキツいのでプロアマのみなさんともお勧めしない。
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これは良いまとめ。不滅のエンタメって本当にヒョコッと誕生するのだなと。ひたすら面白いことの尊さ、「いい奴ら」の活躍を見る楽しさ。後の創り手への影響はたぶん絶大→金曜ロードショーで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を初めて観た人の感想 - Togetter togetter.com/li/1541691 @togetter_jp
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かつてコバルト・ノベル大賞というのがあり、そこから新たな才能が輩出した。やがて少女向け文庫に収まりきらなくなったのか、集英社編集の仲介があったのか、いわゆる一般文芸に進出し直木賞を取る人も次々出た。唯川恵氏、角田光代(彩河杏)氏、そして亡くなった山本文緒氏はその代表的存在だった。
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#日本沈没 これを見て「日本を誹謗中傷する映画」と言ったりストーリーそっちのけで周辺アジア諸国への憎しみを語る人が後を絶たないというのが、ここ半世紀弱の「日本沈没」そのものだよなあ。
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漫画アニメ小説や芸能人の発言に政府批判があると不快がる人たちは……
昔、新本格を売り出すとき、それまでノベルスに惰性的についていたイラストを廃止したんですよ。そしたら今度はミステリに挿絵がついてると怒りだす人たちが爆誕したのです
つまり「知らない」「慣れてない」だけのことなんです
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もう僕が生まれ育ち、親たちから話を聞き、小説やドラマで知った「大阪」と、維新と吉本に支配された「大阪」とは、単に時間的に隔たっているばかりではなく、人間的にも空間的にも全く別個の存在と考えた方が気が楽かもしれない。僕はそうします。
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ナンブ寛永さん@kan_ei_senが入手された戦後すぐの「サザエさん」の断片なんだけど、戦前の豊かな時代を体験したサザエと、戦時下の耐乏生活しか知らないカツオの落差がおかしいより怖い。「国が国民のために金を使うのは当たり前」と考えるサザエと「とんでもない、それは甘えだ」というカツオたちと
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どうも気に食わないもののたとえに「小説なら『一万人の軍勢がズラリと居並んでいた』と書けばいいが、漫画はそれだけの人数を描かねばならないし映画はもっと大変だ」というのがある。まるで手抜きと言わんばかり。そもそも「一万人の軍勢がズラリと居並んでいた」で描写をすませる作家なんかいるかい