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『有職の色彩図鑑 ~由来からまなぶ日本の伝統色~』
(淡交社・2020年)
B5判変版・208ページ
2970円(税込み)
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この子に声を掛けるんだ。『ね、心ある生き物なんだから、僕の気持ちを判ってくれるよね?ね?』って。……でもこの子、小っちゃくアクビをして、じっと僕の顔を見上げるだけ。何か言いたげなんだけど、話してはくれないんだ……。
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他の猫の毛色は浅い黒だけど、この子は墨みたいに深い黒色。まるで『戦国策』に出てくる伝説の名犬・韓盧みたいな姿をしてる。体長1尺5寸、体高6寸くらい。屈むとキビの小さな粒みたいで、伸びをすると張り切った弓みたいなんだ。
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瞳はキラキラとまぶしいほどに輝き、耳は直立するスプーンみたいで揺れない。丸まったときは、足も尻尾も見えない。お堀の中の黒い宝石みたいなんだ。歩くときは音もなく声も立てない。そう、ちょうど雲の上の黒い龍みたいだな。
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平安後期、藤原頼長のモモ焼きの食べ方が『古事談』(源顕兼・鎌倉前期)に記されています。
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この色彩は中国皇帝の「赭黄」に倣ったものと考えられ、中国の皇帝の衣の色は「五行」の中心、そして中国中原の土地の色である「黄」を用いました。黄櫨はハゼノキを用いた染色で、『延喜式』によれば、綾一疋を染めるのに「櫨十四斤、蘇芳十一斤、酢二升、灰三斛、薪八荷」を用いました。
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楽所幕がなぜ木瓜文なのか。
根拠文献は曖昧ですが、一般的には「応仁の乱で衰微した雅楽界を復興したのが織田信長であり、その恩義を忘れないように楽人たちは織田家の家紋を用いた」というように語られています。
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え?違う違う。この子の才能が素晴らしいからって言うんじゃないよ。ただ、せっかくお父様から頂いたものだから、つまらないヤツだけど、大切にしてるってだけ。(……ぜ、絶対、好きとかじゃないんだからねッ!)
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