151
今回も、ある対談を再録させてくれと依頼があった。反響のあった対談だから、ぜひ許可をお願いしたいと。でも、金額の多寡ではなく、たとえ千円でもいいから、寄稿したすべての書き手に再掲載料を支払うべきだと思う、申し訳ないけれど、そうでないと許可できません、と返事をした。
152
雑誌のある特集に寄稿したのち、単行本やムックとして刊行したいので再掲許可を、という依頼がくることがある。慣習として再録にあたっての支払いは、これまで殆どの媒体でなかった。でもそれはおかしい。新しく値段をつけて商業出版するのに。
153
その後、その版元は真摯に検討してくださり、今回全員に再掲載料が支払われることになった。本当によかった。新人はもちろん多くのフリーランスの書き手はこうしたことを言いにくい雰囲気が依然としてある。版元にも諸事情あると思うけど、キャリアのある書き手から少しずつ慣習を変えていけるといいな
154
あと「あの書きぶりは、川上や川上の作品に対しても失礼だ」いう人も多いけど、それも見当違い。書き手が批評家に、自身や自作に対して「礼儀」を求めてどうするの。「低レベルな批評」はあっても「失礼な批評」などない。「礼に適った批評」とか言いますか?みんな、創作や批評を属人的に扱いすぎ
155
これは余談。批評の主体は愛や敬意、と言う人がいるが、必ずしもそうではない。それを必須条件にしたものは読み物としては心地よいが批評ではない。批評の主体は、テキストと論理と緊張感。対象作品の書き手の思いや反応や背景など気にする必要は一切ない。ちなみに小林秀雄は批評家ではなく評論家
156
この「手続き」の話が、なぜ「批評とは何か」の話になるのか、愛や思いや自分語りに繋がるのか謎。書き手は批評だと思って提出し、編集部はそう見做さなかった。それだけ。あと最終的には書き手の判断が通るべきという人が多いけどそんな訳ない。どんな仕事もクオリティが低ければ採用されないのは当然
157
もしわたしが書き手の立場で、編集者からの指摘に納得ができなければ、原稿を引きあげる。自らに文責のあるものを好きにしたらよいとはどのような意味においても言わない。もし編集者の立場なら、最終的にクオリティが掲載水準に満たないものは全文を没にする。
158
女性政治家が少ないのを女性側の問題だという人がいるが大間違い。子の有無を訊かれ、いると答えれば母親がそんなことしてる場合かと言われ、いないと言えばそれで生活の何がわかると言われる。男性候補者がそんなに目に遭いますか?発言すれば性的嫌がらせも多数。女性の意欲を全力で潰す社会なんだよ
159
根本からわかってない。女性の数を増やすことに意義があるんだよ。それを優遇措置だとか逆差別的とか言いたがる人がいるけど、全然ちがう。現状の差別環境に基づく偏向への、当然の是正措置。 mainichi.jp/articles/20210…
160
出版社、メディアの会議や行事などに定期的に参加する機会があるが、意思決定権をもつ「偉い人」は、見事なまでにほぼ男性。私が過去に会った要職女性(執行役員)は二人だけ。作品表象にも関係する。なぜこうなるか。問題がわからないなら外部から専門家を呼んで勉強会をしてくださいと伝えています。
161
発言の有無に関係なく、ずっとこんな性差別視線、認識で采配してきたわけで、ここへきてまた可視化され問題になってよかったんじゃないの、くらいしかもう感想がない。表向きは理解あります風に黙っててもこういうミソジニーと性差別の原理で動いてる現場、いくらでもある。 asahi.com/articles/ASP23…
162
『ヘヴン』のイギリス版の表紙が完成しました。とても気に入っています。刊行は2021年6月10日。蒔田彩珠さん、森脇帆風さん、どうしてもこのおふたりに表紙に登場して頂きたくて実現しました。撮影ディレクターは千原徹也さん@thechihara カバーデザインは Katie Tookeさん。日英合作の表紙です💫
163
164
この「横浜連合80年代ミーティング幹部会集会シーン」動画みたあと、息子と会話の語尾に「よろしくゥウゥウ!」をつけるのが一瞬だけ流行ったんだけど、中におふたり、グッチみのあるお洒落な方がいて、80年代ええわぁ……ってなってる…
youtu.be/1O2Y8rPE0i8
165
「っていうか、きみ暴走族とか知らんでしょ。見せたる」と言って寝る前に色々映像を見てたら思いのほかすごくって、最初はすごいなー!とかって笑ってたんだけど、そのうちめっちゃ怖い煽り運転動画とかになって、なんか「世界の理不尽の煮凝り」をぶつけられたような感じになって、沈黙になって寝た
167
NHKでコロナ禍におけるリーダーの言葉を特集していた。大切なのは「家族のように」語る言葉だという。家族家族と連呼するが、そんな属性を越えて機能し影響を与え合い、力を発揮するのが言葉じゃないのか。家族をエンパシーの証明や最上級に置くのはもうやめてほしい。
168
端的に、(おそらくは) 英語圏の人物なり組織なりが、そんな情報をどうやって入手してるのかが謎だし、そんなことして何になるのか、すべてが意味不明すぎて怖い。
169
こんなふうに記事化されて、私だけじゃなかったんだとどこか安心する気持ちもあるけど、怖かったし落ち込んだ。詐欺メールというと大したことない印象があるかもなんだけど、本当に手が込んでて、私の日本の版元とか進めてる仕事の内容まで調べて書いてるの。今も全然すっきりしないし、気持ち悪い。
170
作品はただ消えたらしい。誰が何のために作家の外国語を含む未発表作品を集めているのか。怖いのはメールの内容に真実味があり固有名や人間関係を把握していて実に巧妙なこと。完全に人間が意図を持ってやっており、返信に対してもきちんと辻褄を合わせてくる。目的がないとは思えない気味の悪い事件。
171
しかも私の場合は日本語で、一体どうするつもりなのか。別の情報にアクセスするなど他の目的があるのかなど考えたけどわからない。ただこの詐欺は私だけでなく多発しており、今回のNYTの記事によると、しかし不当に入手した原稿は不法に発表されたりすることもなく、依然として目的は不明なまま。
172
本人ではなくフェイクであることが判明。私のアシスタント、翻訳者へも周到に関連するメールを送っており、アドレスも内容も相当に手が混んでいてFBIへの通報を検討していた。原稿を手に入れてどうするつもりなのか、
173
これ。私も被害に遭った本当に気味の悪い事件。エージェント担当者から今書いてる原稿を急ぎ送って欲しいというメールが来て、関係者の名前も版元の事情もちゃんと合ってる巧妙な内容。でもいつも呼び合う愛称だけが違っており、あれ?と思って問い合わせたら、 nytimes.com/2020/12/21/boo…
174
175
ナタリー・ポートマンさんが「夏物語、読んでるで」とメンションしてくれてびっくりしたけど、宗右衛門ブルースとか巻子のスナックとか恩田のとことか読んではると思うとシュールやな……テーマと文体についての感想も。おおきにナタリー!
@picadorbooks @EuropaEditions