伊達きよ(@kiyokiyomaroro)さんの人気ツイート(リツイート順)

51
をつけました。村一番の金物屋で仕入れた上等の鈴です。まるで澄んだ小鳥の声よりまだ美しくリンリンと鳴る鈴の音は、美しく愛らしい黒猫にとても似合っていました。代わりに狐の毛皮をごっそりと売ったので、狐の尻尾はさびしくなりましたが、狐はそれでも満足でした。黒猫には見窄らしい尻尾も見え
52
ませんから、いいのです。黒猫は誇らしげに鈴を鳴らして狐に聴かせてくれました。狐が「あぁいい音だ。そこにいるのがすぐわかる」と言うと、黒猫は「いつでも側にいます」と言いました。狐は少し大きくなった黒猫をよいしょと抱き上げて、その腹に頬を当てて「うん」と頷きました。
53
#創作BL 普段言動が塩な恋人が魔法にかけられて、すんごい好き好き言ってくるから「幸せだなぁ」って思いつつ、同時に「でもこれは魔法のせいだから」って落ち込む男の子。「可愛い」「大好き」「今すぐ抱きしめたい」って笑って「今日他の男に笑いかけてただろ。俺がいるのに」って拗ねた顔して、
54
派手顔だけど中身は地味な男子高校生くん。自己紹介初手で「趣味は糠床をかき混ぜることです」って言ったばかりにあだ名はヌカち。勉強も運動も中、特に面白いことを言うでもなく実に地味〜に生きてる。入学当初はその顔面力で陽キャたちにカラオケやらラウワンやらに誘われたものの中身が極めて地味で
55
それで黒猫の目がなおるように手術を受けさせてやるつもりだったのです。狐は「ずっと黒猫と一緒にいたい」という願いを箱に仕舞って鍵をかけて、縄でぐるぐる巻きにして心の泉に沈めました。代わりに、「黒猫を立派にしてやりたい。素晴らしい生活を与えてやりたい」という願いを掲げました。 続く。
56
黒猫は健やかに育ちました。柔らかな毛はなめし皮のように艶やかに硬くなり、丸っこかった鼻先はつんと尖って、ゆるりと持ち上げた頬から見える牙はすらりと尖っていました。狐の足先ほどの大きさしかなかったのに、今はその半身ほどの高さまで背が伸びました。村人が「よっぽど良い物を食わせている
57
こういうヤリチンとおぼこい子がさ、最後には両思いでずっとハッピーエンド……も好きなんだけど、付き合って数年後に元ヤリチンくんが「俺まだこいつのこと好きなんかな?」って自分の気持ちを疑うのも好き。なんか最初の頃感じていた胸がキュンとするようなことも少なくなったし、一緒にいても twitter.com/kiyokiyomaroro…
58
なってしまったのです。もちろん、そんなこと誰にも言えません。 黒猫には、「大きくなったら村を出て生きていくんだ」と言うつもりでした。黒猫は上品で美しく愛らしいのです。目さえ見えれば、きっと立派な職に就いて、素晴らしい人生を歩めるはずなのです。狐は、金と毛皮を貯めていました。
59
#創作BL 自分のストーカーのことをストーカーと気付かず「あ、よく会いますね〜お家近所ですか?」って挨拶しちゃう顔がいい男。ストーカーはその眩しさに「ごごごごめんなさい」って死にそうな顔で謝って逃げる。顔がいい男は「?」ってなりながらそのまま家に帰って「ただいまー。ってか家主に
60
んだろう。そんな金があったら親父の罪滅ぼしにあてたらどうだい」と嫌味を言ってくるほどの成長っぷりです。狐の父が村人から騙し取った金は、狐が返していました。というより、返しきったはずでした…が、まだ利子が残っています。狐は後何年、後どれほど金を返さなければならないか知り
61
ませんでした。村人の誰も、狐にそんなことを教えてくれなかったからです。狐はきっと、自分が生きているうちに返せる額ではないのだと思っていました。昔はそれでいいと思っていました、が、今は少し違います。村で父親の罪を償って生きていくより、黒猫とどこか遠くでのんびり暮らしたいと思うように
62
黒猫を拾ってから3回冬が来ました。黒猫は元気に育っています。いつの間にか、狐と同じくらいの大きさになってしまった黒猫のために、狐は新しく寝床をこさえてやりました。が、それぞれの寝床で寝たはずなのに、朝になると隣には黒猫がいました。黒猫は「あなたの側にいないと眠れない」と言いました
63
#創作BL 高校生同士。恋人が可愛いアイドルのことを好きになって、「推し」と言いながら楽しそうにステッカーとかスマホカバーに入れて、スマホの壁紙に設定したり、ライブ行ったり。楽しそうだな、と思うと同時に「俺は恋人だけど推しじゃない」ってなんかふと考え込んじゃう。自分は彼のスマホの
64
。狐はそんなはずはないとわかっていましたが、何も言わずに黒猫を受け入れてやりました。黒猫の願いなら、どんな小さなことでも叶えてやりたかったのです。 黒猫の体がしっかりとしてきたということは、手術を受けるだけの体力もついてきたということ。狐はこっそりと街に出て、医者に事情を説明しま
65
創作BL 恋人が付き合い始めの頃に比べて「冷めてる」っていうのがわかって、なんか「あぁ」ってなっちゃう男の子。付き合い始めの頃は毎日電話してたな、背中を向けて寝るなんてなかったな、休みの日に何してるかわからないなんてことなかったな、キスのない「バイバイ」なんてなかったな、なんて。
66
倫理観もへったくれもない、足を失った軍人とその部下がひっそりと山の中で暮らしている穏やかに薄暗い話。 上司は平民出身の叩き上げの軍人で、部下は良いとこのお坊ちゃん軍人。坊ちゃんは「軍で経験積ませて後々政界に進出させてやろう」っていう親の思惑で比較的安全な部隊に所属
67
知った夫がいい雰囲気の時にガシッて体を掴んだら「捕食される!」って勘違いした人間に「ぎゃーっ!」って叫ばれる。で、違うのに…食わないのに…っていじけてたら事情を知った人間にギュッて体を抱きしめられて。「これは…なかなかいいものだ…」ってほこほこする。ハグ好きドラゴンの爆誕。
68
あげるように何度も何度も頷きました。それでも黒猫が不安そうにしていたので、狐は言いました。「君が鈴を鳴らせばどこにいてもわかるから」と。「どこにいてもきっと見つけてあげるから」と。黒猫は狐を見上げて、はい、と頷きました。黒猫はとても賢くて、とても聞き分けのいい子です。黒猫は、
69
ではなかった愛しい黒猫を思い泣きました。医者はそんな狐を見下ろし弾けるように笑いながら「あの子は黒猫ではないよ。獰猛で優秀な黒豹さ」と言いました。 狐の黒猫なんてものは、この世のどこにも存在しなかったのです。 続く。
70
頭も賢いので、しかるべき教育を受けさせてあげたいと思っていました。もっと大きな街の全寮制の学園に入れてあげられれば、それが一番いいと。しかし、手術も受けさせて立派な学園に入れてやるには、金も毛皮も足りません。とりあえずは目の手術を優先して…、と語る狐に、なんと医者が「よければ私が
71
狐は「ありがとう」と言いました。どうしてこんなに大事な言葉を忘れていたんだろうと不思議に思いながら、「ありがとう、黒猫」「ありがとう」と何度も何度も繰り返しました。こんなにも透き通ったありがとうを言うのは人生で二度目でした。 初めて混じり気のない「ありがとう」を聞いたあの時のよう
72
した。医者は狐の話を親身になって聞いてくれました。そして狐の顔や毛皮をジッと眺めてから、狐の手に自身の手をするりと絡めてきました。「手術後は、その子を手放す気でいらっしゃると?」どうして手を触られているのかわからないまま、狐は正直に「あぁ」と頷きました。黒猫は見た目もいいけれど
73
援助しましょうか」と申し出てきました。狐が驚いて顔を上げると、医者は「今のお話に胸を打たれました。良ければ私がお金を出しましょう」と。「本当に?」と驚く狐に、医者は「ただし」と話を付け加えました。「全額は援助できません。一部は狐さんにもご負担していただきたい」と。そして「やぁ、
74
季節がいくつも過ぎました。狐は黒猫が来る前と同じような生活をしていました。変わったことといえば、荒屋を訪ねてくる人物が一人増えたことくらいです。それは、あの医者でした。彼は狐からきっちりと借金を取り立てていました。「悪いことをするにはこの村はちょうどいい」と言いながら。彼は豪華な
75
狐はいつも寝物語に外の世界の素晴らしさを語りました。「美味しいものがたくさんある」「狐さんのご飯が一番美味しいです」「綺麗な人や物がたくさんある」「僕の目には見えません」「金が…、何も不自由しないくらいの金が稼げる」「貴方と楽しく暮らせるだけのお金があればいいのです」しかし、