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児相に電話すれば休めたり助かったりするような、単純なシステムは育児業界に存在しない。《わたし》たちは瞬間瞬間を懸命に生き、子どもを育み、トイレさえひとり油断して行けない暮らしの中で、時々怨嗟の如きSOSを放つのに、それが「明日の託児」にも「制度的救済」にも繋がることは滅多にない
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高齢者向けマンション広告で『見守りサービス』『いつでも駆けつけ』が売りになっているのを見るたびに「乳幼児育児層にこそそれ必要なんだけどな」と遮光器土偶顔になってしまう
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パートナーの無理解を受けて苦しんでいる人に対して、「あなたがそこでそうしていなければその苦しみはない」と説くのは非常に簡単であり、技術的には幼児でもできることです(あなたが幼児レベルだと言っているのではなく、机上の空論だけなら考察材料の少ない幼児にも可能だということです)。 twitter.com/uniuniversi/st…
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「いまおまえは妊娠出産育児家事しかも3倍のコストをノーカウントで発話しましたね。で、彼女が『疲れた』と言った、それで?それがなんなんですか?」
「忘れて…」
「覆水盆に返らないので失言した時は『忘れて』じゃなくて『ごめんなさい』が妥当だとわたしは思いますよ」
「ウニョロウニョロ…」
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18世紀に『子どもは子どもであるということ』がルソーにより発見されたように、そろそろ『母親は人間であるということ』も気付かれ広く知られてほしい
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虐待は悪です、そんなことは百も承知だ。そこそこ普通を自負する人間でも、虐待しそうになるところまで育児という営みは理性を圧迫することがある。だからこそ負荷分散が必要で、児相に繋がりハイ解決という机上の空論からいい加減議論を進めるべき時期に来ている、ただそれだけのことなのに。なのに。
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《朗報》親や祖父母、兄弟姉妹などの同居家族が暴れる・殴ってくる・逸脱した言動をするといった場合、今後18・19歳の人も成人として医療保護入院に同意できます。家族の暴挙に苦しんでいたら迷わず警察か精神科病院へ連絡してみてください※それ以下の年齢の方は自分が保護される方向で助かりましょう
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虐待致死の報道に触れるたび、わたしは自分と重ね合わせる。「なぜ児相に行かなかった」「なぜ産んだ」「なぜ親であることを手放さない」との外野の誹りは、いずれもイフのわたしに向けられたもののように思う。もしもわたしが2歳の子どもと死を選んでいたら、同じ誹りを受けるのは免れなかったろう
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あんな失望は、経験したことがない。育児は現代日本では自己完結すべき長期イベントなのだ。結局わたしはそのまま卑屈に忍耐を続け、夜な夜な「今日も死なせずに済んだ」と泣いて安堵し、「幼稚園まであと何日」と震える指でカレンダーをなぞり、ぎりぎりの精神状態で母性神話フルマラソンを駆け抜けた
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『ぶつかり男』は実在する人間なのに、ある種の特権階級の人たちにとってはずっと眉唾な都市伝説のままで、それを話題にする方が笑い物にされてしまう。
悔しいね、悲しいね。嫌な思いをせず電車やバスに乗りたいだけなのに、そんな自由も保障されないアンバランスなこの社会。
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子どもがよく熱を出す。出勤できない日は日給と信頼を失う。病児保育を頼めば赤字になる。派遣契約終了も迫っている。転職活動は面接の約束がことごとく子の熱で流れて行く。困り果て、役所で相談窓口の電話番号をもらったのが2ヶ月前。何度かけても、いつも話し中。繋がらないまま、日ばかり過ぎる。
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各位の周りに身内の介護してる子どもないし若者がいたら「えらいね」「親孝行だね」じゃなくて「役所と繋がってる?本来それは子どもがやるべきことではないから大人に任せていいんだよ」のお声掛けをお願いしたく候
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1枚差し出してきた。ありがとうございます、と部屋を出ようとしたら、「もう高校生なんだから、そのくらい自分で管理なさいね。持ってないのは恥ずかしいよ」と偉そうに冷たく言い放った。わたしは言葉もなくドアをぴしゃりと閉めた。嫌な奴だな。同級生が自分で来なくて本当によかったと思った。
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仕方ないので電車が来るまでホームに整列していたところ、誰にも順番追い越されないわ乗る時にぶつかられないわ乗ってから座席に座れるわ蹴られないわと快適で、外出時に毎度蹴られないようぶつかられないよう気を張っていたのなんだったんだと思うくらい遠慮が要らなくて、わたしは吐き気に襲われた。
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わたしにも彼のような逞しく大きな身体か、肩から手首までを覆うように刻み込まれた鮮やかなタトゥーか、あるいは単に男性という属性のいずれかでもあれば、子どもをより守りやすかっただろうし暮らしやすかったんだろうなと思ったら、そんなことを考えなければいけない事実に泣けてきて、
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あの手紙は独善的で断定的で気色悪くてすぐに生ゴミを砕く装置に突っ込んでしまったが、彼のように未熟な《正しい思想》を掲げる人による攻撃は今日もどこかで炸裂していて、その事実はわたしを奮い立たせると同時に、半径50cmのスペースにわたしを敢えて踏み止ませる。
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生理になること、毎月何日間も痛みでのたうち回ること、ナプキンを生涯買い続けること、吐き気と不安とままならなさに耐えること、苦痛緩和のピルを飲む行為さえ詰られること、それらの濁流に否応なく取り込まれる女性の、状況が改善されますように。知識は人を救い、情報は社会を成熟させると信じて。
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助かれ、地獄の底の子どもよ。生きて、楽しく過ごしてから死ね。その家庭の中でくたばるな。逃げろ、逃げろ、病院に駆け込め。助かった後の心配はあとですればいい。街にはゾンビもウヨウヨいるから大丈夫、身も心も搾取され尽くしたあなたが、もう一度生きられたら、わたしたちゾンビはみんな喜ぶ。
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たぶん彼は失言したとも自分の認識が甘かったとも思ってなくて、へんなやつに余計な話題振っちゃったなくらいにしか思ってなくて、明日からも主婦disの心で妊娠出産育児家事はタダとの認識で生きていくのだろう。断絶。職場で毎日会うけどさようなら
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同僚の好青年氏、普段から「うちは家事シェアしてるのに妻がキレる」と困り顔をしておられるのだが、先ほど業務中に突然オフィスの冷蔵庫を開けたかと思ったら、所有者不明の期限切れ食品を次々に出して「ダメになってましたよ」と笑顔でなぜかわたしに渡してくれた。問題の在処を垣間見てしまった気分
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生理がいつ来るか、血がどのくらい出るかなんて高校生くらいじゃまだ安定してないし、ナプキンに対して「そんなもん要らない」と予算を割いてもらえない子だって少なくない。そこで思春期の子たちの尊厳を守り、無駄に傷付かないよう導くのが《先生》ってものじゃないの?と疑問がぐるぐる渦巻いた。
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わたしが子どもと死ななかったのは単に偶然の結果に過ぎない。眠る我が子の口を塞ぐ夢を幾度みたことか知れない。その度に罪悪感に苦しみ、同時に楽になりたいとも願った。3歳半を過ぎたあたりで子どもが人間っぽくなり、そこから視界が明るく広くなったものの、それまでは悲しいほどに孤独だった
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2歳児の脳はまだ未成熟だし、意思疎通もできているようでできていないから、わたしは子どもの狂人がごとき一挙手一投足に対する苛立ちを日増しに募らせ、ある日、床を殴りつけてしまった。レゴブロックをわたしの顔めがけて投げつけていた幼子は、本人からしたら脈絡のない大きな音に驚いて泣き出した
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ショックだったのを覚えている。女でママで子連れで弱そうで容易に反撃もできないくらい荷物が多いから、邪険にされていたんだ、ずっと。
子連れで出かける時はいつも旦那さんが一緒、というママ友にそう話しても「そんな嫌な目には遭わない」と首を傾げられたのは、こういうことだったんだ、きっと。