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※こういうとき「オーパーツ」という言葉を用いるのは誤りで、オーパーツとは「その時代にはありえないはずのもの」。アナログ制作時代どんどん表現やクオリティを突き詰めてって、その頂点としてこれらがあるので「オーパーツ」ではないんよね。言いたいことの正解は「ロストテクノロジー」です。
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バスタード旧OVA版も「時代の上澄み」の側であって、たとえ同時代であってもジャンプ原作TVアニメの安普請さは今より酷かったりするけれど、「旧版はオーパーツ(※)だから」て言い訳しながらはるかに低品質の映像を新作するのって虚しい作業だ。
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グラデトーンが生む「ぬらぬら感」がまったく翻案されてない
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情報量が多い往年のギトギト作風と現代主流の淡泊あっさり画風には、「好みの違い」以上に物理的な「手数の違い」があって、今風にシンプルな塗り分けでサッと影つけするより、チマチマとタッチを書き加えたり細かくクドクド塗り分け指定したりする方が、そりゃハイコストにはなるが…
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アナログ制作はほっといてもノイズ、パーティクルが発生してそのぶん視覚情報量が多くなり、対しデジタル制作にはなにひとつパーティクルが乗ってくれないので、余計のっぺり平坦に見えてしまう
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もひとつ、アナログ着色時代は色トレス部分がカゲ色と違ってくれるのでそのぶん情報量がデジタル制作の現代アニメよりも高い(「ただ情報が多い」というだけで、トレス線はカゲ色より濃かったり薄かったりバラバラなので一定の明暗効果を生み出してるわけではない)。
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挙げた新旧ギトギト画風はどれも線画段階で疑似BL影にもなる「///」を入れまくってて、手数が多けりゃとうぜんクドく見えるもの。メタリック表現の定番=ほんらいの影部分を極小にして反射光面を広くとる手法では「極小のほんらいの影部分」がBL影になりがちだ
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昔のギトギト画風は「細かくクドく影指定して二号影、BL影もさかんに入れる」という塗り方面と「線画にコチョコチョ、コチョコチョとタッチを加えてクドくする」の二方面の合わせ技だけど、バスタードはどっちも現代的な淡泊あっさり路線。「///」な誤魔化しタッチを入れまくる原作とは全然違う…
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時間芸術であるアニメとそうでない原作漫画のおおきな違いは台詞にもあって、どんな長文でも一瞬で読み流せる漫画の台詞をそのまま再現してしまうと、小気味良いやりとり、軽快なギャグパートなんかが軒並み死ぬ。台詞が字から音声になると、読み上げる物理的な限界がたちまちガンガン露呈する。
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「翻案」があたりまえだった昔と違い、今はなんちゃって原作忠実路線が猛威を揮ってる。アニメはドウサを伴う時間芸術なのに、こうやって静止画キャプだけ比べ「原作漫画に忠実!」ってやって喜ぶタイプの客層の声がデカくなっちまった、それに応えて安直な路線を選びすぎるようになっちまったんだ。
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ここで責め具に使われるスライムはガラが「品種改良」したもので、ヨーコさんには「人間の服だけを溶かすコトもできる」と伝えて脅してんだけど、手枷も溶かして脆くする能力も持たせてたんちゃうか。所詮は暇つぶしのからかい遊びでしかない責めなので、適当なところで戒めを解くつもりにしていたと。
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原作の手枷はなんで外れるのかさっぱりわからねえ画で、まぁガラの忍術ってことで流してしまうものだけど、OVA版独自の「脆くなった」は「ガラが触れずに勝手に手枷が外れる理屈」と「外れるタイミングがちょうどよくギリギリセーフになる理屈」をうまく回収してるんだよな。
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いつも言ってる「漫画原作の表層に過ぎない漫画のコマを忠実になぞってしまうと、逆に原作から忠実でなくなる」とはこういうこと。ただ2コマの進行をそのまんまトレースしてしまうと、この一連の責めシーンの「なんとかぎりぎり拘束者(ガラ)には局部を絶対見せずに切り抜ける」流れがなくなる。
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旧OVA版はこの2コマの流れがちゃんと映像になるよう「翻案」していて、「いよいよあらわになってしまいそうなタイミング」で「必死で右手で隠そうとしたら」「(壊れるはずがない)枷が壊れてギリギリセーフ」ていうアニオリ芝居にしてるんよ。事後、脆いことにツッコミを入れる台詞が添えられる。
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何十年も前のOVAは当時なりにほどほどアレンジが入ってる…この比較でも旧版はレイアウトが違う。漫画をアニメにするなら「翻案」して当たり前という時代…今はコマの画角を真似、コマ進行を真似、台詞を一字一句同じにしちゃったりするが、それでは忠実から遠ざかるんだ。
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