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しかしながら7万円では家賃を払って生活ができるはずがない。またお金を支給するので教育や医療などの福祉サービスはお金で買えというベイシックインカム案では教育や医療が商売になる危険性がある。まず教育や医療などの福祉サービスをしっかりと低価格または無償で提供する社会をつくるのが先だ。
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10月19日(月)のテレビ朝日ABEMA TVでは「国民全員に毎月7万円を給付するなら高齢者への年金や生活保護保護者への費用をなくすことができる。それによって浮いた予算をこちらに回すので財政負担はそれほど増えることにはならない」という竹中平蔵氏のベイシックインカム案が話題となった。
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生活保護問題では不正受給を問題にする人が多いが不正受給総額は生活保護保護費全体の0・4%に過ぎない。それよりも生活保護捕捉率が僅か2割程度で生活保護を利用できる人のうち8割が利用していないことこそ問題にすべきなのだ。生活保護を利用せずに餓死者が出ているのが日本社会の現実である。
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ドイツやフランスでは生活保護の利用は恥ではなく当たり前の権利であるという考え方が社会に定着している。韓国ソウル市では福祉担当職員が生活困窮世帯を訪ねて生活保護につなげる出前福祉制度が創設され生活保護捕捉率は6割となっている。ソウルの地下鉄車内では生活保護の広告も行われている。
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日本の生活保護捕捉率が低いのは生活保護バッシングや自己責任論が横行し生活保護を利用することは恥だととらえている人が多いこと政府や地方自治体が生活保護ついて積極的に広報と教育をしていないこと生活保護の利用は基本的権利であるという考えが社会に定着していないことなどが原因となっている。
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10月19日(月)午後10時頃からテレビ朝日のABEMA TVに出演した。テーマは生活保護問題で生活保護について好意的に取り上げていただいた。日本の生活保護捕捉率(生活保護を利用する権利のある人のうち生活保護を利用している人の割合)は2割程度であり、ドイツ6割超フランス9割超と比較して極端に低い。
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住民に近い自治体の権限と財源を強化するということは地方自治の原則である。大阪市を廃止して大阪市の権限と財源を大阪府に吸い上げる「大阪都構想」は、地方自治の原理・原則に反する愚行であると言わねばならない。
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読売新聞が9〜10月に実施した大阪市を除く19人の政令市長に対するアンケートでは、「政令市の廃止」を選択した市長はゼロで、政令市長の多くが志向したのは逆に政令市の権限と財源を強化する方向だったということである。
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大阪市を廃止して4つの特別区に再編する大阪都構想の是非を問う住民投票が10月12日に告示され11月1日に投開票される。大阪都構想の一番の狙いは「二重行政」の解消ということである。現在大阪市のような政令指定都市(政令市)は全国で20あるが、大阪市を除いて他の政令市では政令市廃止の動きはない。
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今回の菅首相による6人の任命拒否は、人事介入を通して政府方針に日本学術会議を従わせようとするものであり、日本学術会議の変質、事実上の解体を狙ったものである。私たちは学問の自由を守り日本学術会議の独立性を守るためにも、菅首相に6人の任命拒否を撤回させなければならない。
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一方安倍政権は2014年「武器輸出三原則」を緩和する「防衛装備移転三原則」の閣議決定を行い武器輸出を事実上解禁するとともに2015年集団的自衛権行使を容認する安保法制を強行的に成立させた。また防衛省は2015年度「安全保障技術研究推進制度」を開始し、軍事研究に大学を協力させようとしている。
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また日本学術会議は2017年には、1950年声明と1967年声明を継承するとする「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表している。
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日本学術会議は科学が戦争の利用された戦前の反省を踏まえ1949年に設立された。設立の経緯もあり同会議は科学が軍事研究をすることには一貫して反対の立場をとってきた。1950年と1967年には戦争目的、軍事目的のための科学研究を行わない旨の声明を発表している。
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岡田教授はまた何者かが99人に削除したのであれば総理大臣の任命権と日本学術会議の選考権に対する重大な侵害だと批判している。岡田教授の指摘する通り今回の菅首相の任命行為は日本学術会議法違反あり、菅首相は違法行為を直ちに是正し日本学術会議の推薦に基く105人全員の任命を行うべきである。
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菅首相は10月9日のインタビューで日本学術会議が推薦した105人の名簿は見ず6人を除外する99人分の名簿しか見ていないと答えた。これに対し任命を拒否された岡田正則早大教授は、首相が推薦段階の名簿を見ていないとすれば学術会議の推薦に基づかずに任命したことになり日本学術会議法違反と指摘した。
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10月6日の野党合同ヒヤリングで内閣府は「首相が推薦通り任命する義務はない」との見解をまとめた2018年作成の内部文書を提出した。しかしながら「形だけの推薦制であり、学会から推薦された者は拒否しない」とする1983年国会の政府答弁がある。国会にも諮らず重大な解釈変更をすることは許されない。
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菅首相は10月5日の内閣記者会のインタビューで日本学術会議会員候補6人の任命拒否問題に関し「総合的俯瞰的な活動を確保する観点から今回の任命を判断した」と説明したが、これでは6人任命拒否の具体的理由は全く明らかになっていない。菅首相は6人任命拒否の具体的理由を国民に明らかにすべきである。
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菅首相は10月5日の内閣記者会のインタビューで日本学術会議会員候補6人の任命拒否問題に関し「総合的俯瞰的な活動を確保する観点から今回の任命を判断した」と説明したが、これでは6人の任命拒否の具体的理由は全く明らかになっていない。菅首相は6人の任命拒否の具体的理由を国民に明らかにすべきだ。
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自民党の船田元衆院議員は10月5日配信のメールマガジンで「1983年に公選制から任命制に変更した際私も衆院文教委員として審議に携った」「(政府は当時)『推薦者は拒否しない形だけの推薦制』『形式的な任命制』と口をそろえていた」として、今回の任命拒否は明らかな法律解釈の変更だと批判している。
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日本学術会議会員の任命拒否問題に関し、是枝裕和、想田和弘、塚本晋也、森達也、綿井健陽さんら映画人有志22人が10月5日抗議の声明を発表した。今回の政府のやり方は「学問の自由への侵害」だけでなく「表現の自由への侵害であり、言論の自由への明確な挑戦」であると厳しく批判している。
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日本学術会議会員の任命拒否問題に関しては、10月4日国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが「国際人権法違反であり許されない」との声明を発表している。また、10月5日田中優子法政大学総長が学問の自由を守る立場から断じて許しててはならないとの総長メッセージを発信している。
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1983年当時の中曽根康弘首相や丹羽兵助総理府総務長官の国会答弁から考えても、今回の菅義偉首相による日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命拒否がこれまでの政府解釈を無視した違法な決定であることは明らかである。
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日本学術会議会員の任命に関し中曽根康弘首相は国会で「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と答弁し(1983年5月12日参院文教委員会)、丹羽兵助総理府総務長官も「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」と答弁している(同年11月24日同委員会)。