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あの番組、中島誠之助さんが続けてきた配慮が浸透したのか、昔に比べて他の鑑定者もすごく優しくなった気がする。
大切にされてきた安物を笑わない。
たとえばオモチャなら「たくさん遊んであげてください」みたいな声かけがされるようになった。
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「なんでも鑑定団」の中島誠之助さんの解説だけ集めたDVDがあったら欲しいくらい大ファン。
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中島誠之助さん、たとえ鑑定結果が安い壺だったとしても、依頼人が大好きな祖父から譲り受けたとか、どうしても欲しくてお金を貯めて買ったとか、そういう背景を大切にして、「日常的にお花をいけてあげるなど活用なさってはいかがでしょうか」と声かけされているの、精神科医としてとても勉強になる。
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ちょっと付け足してまとめてます。
note.com/booklover_md/n…
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以前このエピソードを書いたとき、「自業自得だ!」「因果応報だ!」みたいなリプがついたが、ちがう、そうじゃないんだ……。
その発想は、たぶん、疾患差別と根っこのところでつながっている、あるいはつながろうとしている。
誰にでも起こりえるのが、病気なんだ。
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中高生のころ、近所にある作業所に通う人をバカにして、「キチガイ」と呼んでからかっていた。でも、いまは自分がそこに通ってる……。
過去にそういう話をしてくれた人がいて、「いつ自分や家族が発症するか分からない」という警句を書くときには必ず思い出す。
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コロナ禍の初期にあった疾患差別と、1日20万人の現状から、他の疾患に対する差別についても考える機会になることを望む。
たとえば統合失調症、うつ病、発達障害、認知症……。
自分は無関係と思いきり差別していても、コロナと同じく、自分や家族や大切な人が発症するかもしれない。
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コロナ禍の初期、田舎での初感染者は家に石を投げられて窓ガラスが割れ、怖くなって引っ越した。
感染した一人暮らしの学生は、郵便受けに「出ていけ」という紙を入れられ、やはり引っ越した。
あのとき石を投げた人は、今も未感染だろうか?
紙を入れた人の家族は、今もみんな未感染だろうか?
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これを読んで、秋葉原事件を思い出すかたが何人かいらっしゃった。
俺がこれを教わったのが2005年くらいで、秋葉原事件が2008年。
学生時代には想像もしなかったようなことが、現実になった。
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職員を恫喝するような人はみない。たとえ俺に対しては礼儀正しくても。
その逆は、みる。
診察室では言いたい放題でも、受付や電話で最低限のマナーを守る人なら、みる。
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俺が不在のとき、かかりつけ患者さんから仕事を辞めるため「働けない」という診断書を書いてほしい、しかも今すぐ欲しい、と電話。
受付が医師不在で対応できないと伝えると、しつこく、恫喝に近い要求をされた、と。
次回診察で伝えること。
次にそれやったら、うちではもうみないよ。
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60%の力で、全力投球。
「日常業務は60パーセントの力でこなす」
これがモットー。
トラブル発生時のための余力を用意しておくということ。
同時に「平時の日常業務くらいは60パーセントの力でこなせるようになろう」と心がけることでもある。
続
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医学生時代、蘇生法を学んだあとに先生から質問。
「みなさん、蘇生法はもう完ぺきに覚えてますね。では、血を流して倒れている人を見たら〜?」
学生「意識確認と心マと……あとAEDと」
先生「はいグサーッ!」
学生「???」
先生「殺人犯が隠れてました。まず周りの安全を確認してね」 twitter.com/Chucky_c_666/s…
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コロナワクチンを有料にして、「通知を受け取って2ヶ月は無料」にすれば、接種率はかなり高まると思う。
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以後、希死念慮や自殺願望を語る患者さんには、こちらから「次の外来には必ず来る」という約束を提案することが増えた。
患者さんから教わることは多い。
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「自殺しない約束はできない。でも、次の外来には必ず来るという約束ならできる。その約束を積み重ねていきたい」
昔、こんなふうに言う患者さんがいて感銘を受けた。
「死なない約束」より前向きだし、いつまでも続く「死なない約束」より期限がハッキリしていて良い。
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統合失調症の患者さんが「気持ちが沈む」と言う。理由を尋ねると、
「家族の重荷になっているから……」
若手のときなら「そんなことないと思いますよ」とつい言ってしまっていたかもしれない。そして、自分のその言葉に誘発され、慰め言葉を連発したかもしれない。
続
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我が家で考えると、俺が三姉妹をみて、7ヶ月の長男を妻がケアすることになりがち。だから、なるべく長男をみるように強く意識する。
もしも、役割負担の大小がいまいち分からないという人がいたら、配偶者にこう声をかけてみてはどうだろう。
「今日は役割を交代しよう」
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これは障害の有無にかかわらず、強く意識しないといけないと思う。
育児での役割は、無意識のうちに固定してしまう。そして、「主担当」「副担当」で分けると、たいていは上記のように副が負担の少ないほうに固定しがちなのではなかろうか。
これ、意識するだけじゃダメ。
強く意識する必要がある。
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子どもが何人かいて、そのうちの一人に障害があるという女性が、こんなことを言っていた。
「ふとした時、たとえば外食や旅行での入浴などで、夫が常に、当たり前のように『障害のない子たち』の隣に座り、彼らを風呂に入れる。とても良いパパなんだけど、私は地味に削られていく……」
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テレビ各局よ、安倍さんが撃たれる映像を何度も流すな。
子どもたちも見てしまった。パッと消したら、
「見た〜い!」
と言われた。まだ幼く、ドラマや映画との区別は曖昧だろう。
「これは人が本当に殺されるところだよ、わいわい見るもんじゃない」
かろうじて、それだけ言った。
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この女性たちも含め現場にいた人で、状況が落ち着いたあとに恐怖感、食欲低下、動悸、不眠など、「なんかいつもと違う」と感じることがあるかもしれません。
そういうときは、早めに信頼できる人に相談してください。
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NHK、女子高生らしき人に長々とインタビューして何考えてんだ……。
彼女ら、今はニコニコしているが、それは興奮状態による一時的なものかもしれない。人が殺されかけた場面を目撃した人、それも未成年にあそこまで語らせるって大人としてまったくダメだろ。
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受け持ちではなかったので詳しいことは知らないが、その人の姿を遠目に見ながら、音楽がその人に与えてきたであろう恵みと、音楽への没頭が奪ってしまった治療とに想いをはせては、答えの出ない自問を繰り返した。
患者さんの人生にとって、治療とはなにか。
いまだに答えは見つからない。
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精神科医1年目のとき、統合失調症を患う音楽家が入院していた。
若い頃に発症し、処方薬を飲まず、重症化して日常会話はできなかった。
その人のお気に入りは病棟のピアノで、しかしもう演奏はできず、一つの鍵盤を人差し指でそっと押しては、響く音を愛でるかのように目を閉じるのだった。
続