まとめ ・2頭のミニキリンは、どちらも多分骨の病気で、低身長症のため脚だけが極端に短い ・ただしどちらも子供で、同世代のキリンと比べたらやや小さい位 ・見つかったのは五年間で2頭 ・背丈が半分、相次いで、という表現は日本語版の記事だけ ・和訳時に情報が半分ほど削除されている11/11
こうしてみると、英語版記事になる際にミスリーディングな表現があり、日本語版の記事になる際に「ほとんど嘘みたいな大袈裟な表現」が加わり、元記事にあった情報の多くが削除されていることがわかります。 普段見聞きしているニュースでも、同様の情報操作はいたるところにあるのでしょうね…10/11
論文、研究者のビデオインタビュー、英語版記事、日本語版記事の全てで書かれていないのは、今回見つかったミニキリンと同じ1歳くらいの個体の平均身長です。過去の論文や動物園の情報を調べると、1歳のキリンの身長は3m強。ミニキリンは確かに小さいですが、背丈が半分は明らかに言い過ぎです。9/11
これが日本語版の記事になると、まずタイトルが「背丈が平均の半分のミニキリン発見」となります。 本文でも「体高が平均の半分ほど」とあり、五年間で2頭の症例に対して「相次いで」という表現が加わります。矮小化の原因や絶滅が心配されていることなどはまるっと削除されています。8/11
そして最後に、ミニキリンはキリン保全団体の調査で見つかったこと、キリンは現在かなり数が減って絶滅危惧種であること、原因は生息地の減少や密猟であること、ただ財団の活動によって最近は数が増えていることを記しています。英語版はここまで。 1歳の若い個体だという情報が抜け落ちた位です。7/11
次に、この「ミニ化」は骨が作られる仕組みに何か異常があったためと考えられること、こうした低身長症は人間や家畜ではまれに見られること、けれども野生動物では極めて珍しいことなどが書かれています。これは論文の内容に基づいた記述です。6/11
ポイントは、身長の情報を併記しているだけで、決して「背丈が半分」とは言っていないことです。 身長の情報は正しいので、併記すること自体は間違いではありません。ロイターの記者、間違いとは言えないギリギリのラインをせめていて、なかなかすごいです。褒められたものではないですが。5/11
これが英語版ロイターでは、「ウガンダとナミビアで矮小化した2頭のキリンが発見」という記事になります。記事の中では、このキリンたちが若い個体であることに触れないまま、大人のキリンの平均身長が5m、今回のミニキリンたちの身長が2.5m、2.8mであることを記しています。4/11
論文の著者が属するキリン保全団体の研究者のビデオインタビューでは、「ウガンダとナミビアで見つかった2頭のキリンは、どちらも一歳ほどの若い個体で、明らかにdwarf giraffe(ここは専門家の発言ですが、本当は論文で使っているdwarfism=低身長症という表現が正確と思う)だ」と発言しています3/11
まず、元の論文の内容は「2014-2019年の観察調査により、ウガンダとナミビアで低身長症という病気のようなキリンが2頭見つかった」というもの。2頭はどちらも一歳ほどで、同年代の普通のキリンに比べて、肘から先の骨が明らかに短い」という報告です。背丈の話はどこにも載っていません。2/11
昨日話題になった「ミニキリン」について。 自分の専門に近い内容で、論文も既に読んでいて、海外の専門家のインタビュー動画・英語の元記事・和訳された日本語記事の全てが確認できたため、どこで情報が歪められたのかがよくわかりました。二度とない経験かもしれないので、メモしていきます。1/11 twitter.com/yahoonewstopic…
このニュースがソースになって、テレビでも紹介されて、「今、背丈が半分のミニキリンがたくさん生まれているんだって!」と勘違いする人がたくさん現れるのかと思うと本当に悲しい。 注目されたらなんでも良いわけじゃない…正しく知って興味を持ってもらいたいのに… twitter.com/AnatomyGiraffe…
なんだかとってもやるせない気持ちになったので、この個体を発見したキリン保全財団のチャリティTシャツでも宣伝しておきます。英語のサイトしかないですが、とっても可愛く、キリンの保全にも貢献できるので、ぜひ。 twitter.com/AnatomyGiraffe…
この短足キリンは、キリン保全団体のモニタリング調査で見つかった個体。 キリンの個体数は過去30年間で約4割減少していて、今や絶滅危急種。原因は、気候変動や内乱による生息地の減少や密猟。ただ、ここ数年の財団の活動で徐々に数が回復しつつある。 そういった情報が全部削除されている。ひどい。
元の記事はこれか。 元記事でも大人のキリンの身長と短足のドワーフキリンの身長が比べられているけれど、タイトルは「ナミビアとウガンダで2頭の矮小化キリンを発見」。全然違う。 そして、キリンが絶滅に瀕しているなどの情報もなぜか削除されている。ひどい。 jp.reuters.com/article/us-gir…
確かに今回報告されたキリンは脚が異常に短いですが、このキリンたちはまだ成熟しきっていない子どもです。それを「背が平均の半分のミニキリン」と呼ぶのはNGだと思います。 背が平均の半分しかない「ミニキリン」発見、脚が異常に短いと専門家(ロイター) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/0270d…
昨夜の「サンドウィッチマン&芦田愛菜の #博士ちゃん 」を見てくださった方々、どうもありがとうございます🦒 科博の収蔵庫は、年に1度一般公開日があります。「羨ましい〜!」と思った方々、コロナが終息した暁には、ぜひ一般公開に遊びにいらしてください。剥製の部屋も人骨の部屋も入れます!
科博の川田さん、最後に博士ちゃんに「お互い頑張ろうな」と声をかけたと思うんですが、そこはカットされちゃってたな〜。川田さんはいつも「頑張って」じゃなく「お互い頑張ろうな」って声かけしてて(私に対しても)、あれは素敵な心掛けだなぁって思います。#博士ちゃん
「知ってることを説明したい、という子の方がいいと思う」というシーン、撮影されているって知らなかったのでびっくりした! それにしても、ポッケに手を突っ込んでいるの態度悪く見えて反省…収蔵庫結構寒いんです😵 #博士ちゃん
先日バズったコレ、「誰かに言われて諦めてしまうなら、好きじゃなかったってことでしょ」という発言を沢山いただいたのですが、「好き」という気持ちは何もないところから無限に湧いてくるものではないので、「好き」や「興味」を育む意欲を奪えば、簡単に枯渇してしまうものだと、私は思います。 twitter.com/AnatomyGiraffe…
明日1/9 18:56からの「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん!」に出演します。ほぼ飛び入りだったので出演はわずかだと思いますが、映像を確認した共演者(科博の川田先生)から「すげぇ面白いぞ」というメールがきたので、楽しみです。 tv-asahi.co.jp/hakasechan/
素晴らしい映像!! キリンは瞬きが極端に少なく(数分に1度くらい)、目の乾燥を防ぐため、涙が多いようです。某動物園の飼育員さんから「うちのキリンよく泣いているんですけど、黄砂や火山灰の影響ですか?」と尋ねられたことがありますが、全国的にどこの動物園でも涙を零しているようです🦒 twitter.com/uta_31/status/…
動物園の動物が食べる「草」や「葉っぱ」を作っている人のインタビュー、めちゃくちゃ面白いので、たくさんの人に読んで欲しい。世の中には本当に色んな仕事がある。 「京都動物園のゴリラはドクダミが好き。でも、王子動物園のゴリラは食べない。」 agri-biz.jp/item/content/p…
コラのような短足のキリン…。四肢の骨格の形成不全だろうとのこと。首の長さはわずかに短いかな、くらい。こういうこともあるのか… なお、左の個体は2017年5月から、右の個体は2020年7月から観察記録がなく、死んでしまった可能性も高いみたい。 twitter.com/Save_Giraffe/s…
これは「好きな事を仕事にすると嫌いになる」が真か偽かという話ではないです。仕事にすべき、趣味にすべきという話でもないです。単に、呪いの言葉=思考の枠を縛る言葉だと思うな、という話。 覚悟や本気を試すために「嫌いになるかもよ?」と好きな気持ちを人質に取るのは良くないと思うのです。