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ひととの言葉のいらない領域でも意思疎通できてしまうやりとりがベースにある。
この、おうち専用語のまま外でコミュニケーションをすると、言葉足らずで齟齬が生まれたりしてしまう場合が考えられる。
より多くの人と問題なく意思疎通ができるためにも、上記した経験を積ませるのが大切だと思い候
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嬉しかった。はじめて、その子の心が知れた気がした。
同時に、ぼくは小学生の頃、庭の畑の手入れをする、祖母の言葉を思い出していた。
「雑草なんて名前の植物はないんだよ。ひとつひとつ、ちゃんと名前をもってる。雑草という名になるのは、呼ぶ人のその心次第さ。」
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「誰が宿題を出していないかのチェックを子どもにしてもらう。」「出していない人の名前を黒板に貼り出す。」
これかなり危険です。
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中学の頃に言われた担任の言葉。
「腕立て伏せそのものを
試合中に使う人はいないでしょう。
腕立て伏せで鍛えられているものが
何かを探れば、その本質は見えてくる。
今あなたたちが『意味がない』と思う
『勉強』は、その腕立て伏せの本質を
探りきれていないからじゃない?」
本質を考えた日。
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はっとした。
その子の内側を知らないまま「いなくなれば」なんて思っていた自分が恥ずかしくなった。その子を雑草だと決めつけ扱っていたのは、紛れもない自分だった。
「教えてくれて、ありがとう」
そう伝えると、その子は笑った。
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先日、そんなことがあったと故郷にいる祖母に伝えると、ひとしきり笑ったあと
「あなたは、本当によく覚えているね。ありがとう。あなたはやっぱり、先生に向いているよ。」と言ってくれた。
間違えてばかりの日々だけど
少しは祖母に近づけたのかな。
また漫画にしよう。
おしまい。
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その子は一生懸命、擦り切れた手で、何か喋りながら、丁寧にその雑草を抜いていた。
「これはススメノカタビラ、これは…」
「その雑草、名前があるの?」
「うん。あるよ。これはメヒシバ。」
「へええ、植物、好きなの?」
「うん、すき。おじいちゃんが好きだったから。」
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中学の頃の担任の先生の言葉。
「テストで100点を取った時
試合で誰かに勝った時
描いた絵が誰かより評価された時
その結果を使って誰かを見下したり
貶めたりしてはいけない。
誇れる能力は、他者を思いやる心と両輪で
はじめて前へ進んでいく。
心も育てなさい。
大きな力に見合う、広い心を。」
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季節は初夏。じりじりと日差しが強まる頃、その子と一緒にクラスで栽培している畑の草抜きをすることになった。爪に土が挟まる。手が切れる。抜いても抜いても終わらない。「ああ、邪魔くさい雑草。」きっとあの子も、今に面倒くさくなるに違いない。そう思いながらその子に目をやると、
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聞くと、小さい頃からおじいちゃんと山に行っては山菜をとって、その度に草木の名前を教えてくれたんだと。その頃から植物が好きになったんだと言っていた。あと草を抜きながら、昔のゲゲゲの鬼太郎も好きだと教えてくれた。今のリメイク版は?と聞くと、ネコ娘が可愛すぎる。と。
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とある教頭の言葉。
「子どもに黙って掃除させたり、黙ってなにかをさせることを強いる『黙○○』。あれは良くない。子どもは本来喋るし、コントロールできない生き物。それを強いるのは支配で教育じゃない。教えるなら『没頭』です。没頭は集中の境地。言葉が削ぎ落とされ、結果、静寂が生まれる。」
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