1926
本日移動日のため休業とする。
1927
諸事情により本日は無しとする。
1929
作業椅子の高さがいまいちなので別のところから持ってきたなごみいす。
1931
なぜ?駄目だとわかるとどうしてもアップしたくなる性格
1933
ネームバリューに付着する99%が下らん。
1934
緻密な計画と屈強な精神と清廉なる人たる所以をもってこの芝居を終わらせようとする人々がいなければ、世界は間もなく最低のフィナーレを迎え、だれもいなくなる。
喜んで行進に加わる模範的アバターたちから先にいなくなる。
だがそうはならない。忍耐だ。
1935
次にやってきたのはCASIO FZ-1という名機だった。
FZ-1は否応なく「スケルトン・コースト公園」をヒラサワの胸中から発掘した。
1936
お気づきのように、
「近所の神社の境内へ」
という言葉の組み合わせからは自然と生まれるメロディーがある。
私は仮歌の魔術師と自認しているけど、それゆえ本歌詞作りに苦労するのである。「あー、あんな仮歌詞作るんじゃなかった」と。自業自得。
自業自得の数で決まるヒラサワ品質。
1937
サイボーグの仮歌の仮歌詞には
「近所の神社の境内へ」
とか
「米もライスも同じ」
という語句が含まれており、この二つがいたく気に入られてしまった。
そりゃインパクトあるでしょうよ。
1938
インパクトを翻訳すると
印象に残ればバカでも良い。
売れない利口より売れるバカ募集。
ということになる。
どうりで。
1939
その後はプロデューサーと大もめである。
「いやいや、仮歌のインパクトがすごすぎるんでね、あれどうしても生かしたいよね」
「コミックソングじゃないんですけど。そりゃふざけて作ったんだからインパクトはあるでしょうけど」
お偉いさんはすぐ「インパクト」と言う。
1940
しかし、仮歌のデモというものは諸刃の剣なのである。
「なるほど、こういう曲か」と感触をつかんでもらうのは良いが、仮の歌詞から離れられなくなり、本歌詞に違和感を感じ、元に戻してほしいと、とんでもない理不尽なことを要求されることがあるのである。
1941
これでは仕事にならない。海岸に涼みに行くことを思い立った時、自然と口から「あきらめに行こう」という独り言がでた。
1942
となりのチンピラがどんちゃん騒ぎするものだから窓が開けられない。
室内温度は上がり、CZ-5000の割れた基盤を支える筐体のあちこちが熱膨張?でゆがんだ?
二度と音が出なくなった。
1943
鍵盤を強く弾けばねじれの均衡が崩れ音が出なくなる。
手を開き、そーっと弾けるフレーズを模索するうちにサイボーグのイントロができた。
1944
押すと→コスト
1945
ところがCZ-5000には弱点があった。極限まで押すと削減を図ったため筐体が脆弱で運搬中に基盤が割れるのである。
サイボーグの運命やいかに。
続きはまた明日。
またこんど!!
1946
わ、ひっぱりすぎた。どうやってまとめるのこれ?
1947
「ごめんねヒラサワ君、俺うまいことごまかすからとにかくオケ録っちゃおう」
ということでCZ-5000からすべてのパートが同時に流れた時にはさすが疑心暗鬼のスポンサー様も驚いた。
幸先いいぞ。
1948
プロデューサーはしどろもどろでスポンサー様に
「あの、今日はあの、生のピアノがメインなんで」
と、ブース内のグランドピアノを指さして言った。
今度は私の顔が蒼くなった。
1949
私はソレ一台を持ってスポンサーのお偉いさんがズラッと並ぶCMの録音スタジオに向かった。
「え?それだけ?」
とプロデューサーが蒼い顔をして言った。
1950
サイボーグの建築に先立ち、この機材がどれほど「使えるデジタルシンセ」なのかを「お仕事」で検証した。
「使えるデジタルシンセ」という言葉は「使えないデジタルシンセ」に腹立ちを覚えた人間にはウケる言葉だった。
まじ、つかえねー。が勢ぞろいしていた時代。