1902
では、貴方の本人は何処かというと、腸内の広大なフローラの中で夢心地で鼻歌を歌っているたった一つの微生物だ。
1903
そもそも人は己のどの部位をして自分と定義しているのだろうか。脳か、心臓か?そのように消去法で考察してゆくと、骨格は他人であることがわかる。
今わかっても手遅れなのだが、アレは他人である。
1904
人は私の顔には表情筋がない、表情筋がないと口々に言っているが、無くてあたりまえなのである。考えコブなのだから。
1905
そしてオマエタチが私の顔だと信じて疑わない部位は私のものではなく、鳥脳の考えを溜めておく「考えコブ」と呼ばれる器官である。実際、考えコブから下がヒラサワなのである。
実際、そうなのだ。
1906
実は鳥脳が宿主であり、私が鳥脳に寄生しているのである。
鳥の足のように見えている器官は鳥脳のものではなく私の器官であり「外食道」と呼ばれ、胃から養分を逆流させて鳥脳に運ぶチューブなのである。
1907
鳥脳(ちょうのう)という器官が頭蓋骨の外に突き出ており、通常は髪の毛で隠れている。
天気の良い日はこのようにして陽に当てると良いのだ。
(時間稼ぎのために費やされる時間のほうが稼がれる時間より長いのがステルス時間稼ぎの特徴)
1909
鉄曜日は15分しかないため、多くの人が見逃している。
既に水曜日であるため、私は鍼に行く。
じゃ!
1910
月火鉄水木金風土日
これが私の一週間だ。
風曜日はおしゃべりばかりしている者の顔を打ち砕きに行く日だ。
1911
今日が何曜日かを自分で決められないようじゃまだまだだ。
今日は鉄曜日だ。
鉄曜日は糸巻きをしない代わりに入浴中の自転車こぎをして現実を開闢する。
1912
ところで私は羽田空港P3予約駐車場にたどり着けたんだろうか?
帰ってきたのだからたどり着けたに違いない。
(時間稼ぎのTwその1)
1914
狂ったスケジュールを組み直し、あすから労働のマレーシアン暴走族だ。
KLの田園都市をスーパーカブでぶっちぎるぞ、こら。
1916
「節子や」
「なあに、おばあちゃん」
「あの男が現れたんだね?心を決めなさい。まもなく大きな大きなアイデンティティークライシスがやってくるよ」
「わかった、おばあちゃん!みんな!またこんど!」
1917
「お嬢ちゃん、あの凱旋門に向かって投げるんだ。あの客観の調査団と称する嘘つきどもをめがけて」
「うん!ステルス!」
1919
「おばあちゃんて?!」
「この島でただ一人、アヤクチョのスピンドルを回しているよ」
「じゃ、もしかしてお嬢ちゃん、トンネル分銅をもっているね?」
「うん!」
1920
JKはブロック塀に向かってシークワーサーをかじりながら言った。
「あ!ステルスだ!おばあちゃんが言ってたよ、大きなアイデンティティークライシスがやってくる前にハルディンホテルはどこ?って尋ねる男が現れるって!」
1921
「そうである」とされているものは忠実にカバーされ、実感も実態も無視される善意の世界はその店の中だけではない。どこに行ってもそうだ。
「お嬢ちゃん、ハルディン・ホテルはどっち?」
と道端のJKにきいてみた。
(ウソだけど)
1922
雪解けの裾でヤギは空を仰ぐ
南方の町に凍えて見た夢。
1923
離れる
ヤギ立たない
結局有意なパターンは見つからなかった。
ヒラサワ、ヤギに一杯食わされた。
1924
近寄る
ヤギ寄ってくる
草を差し出す
ヤギ食べる
離れる
ヤギ立つ
近寄る
ヤギ寄ってくる
1925
ヤギが後ろ足だけで立ち上がる意味を読み取ろうとした。
喜んでいるのか
怒っているのか
すねているのか