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「小さいころ飼っていたペットの名前は何ですか」
外務省職員からの思いもしなかった質問に、私は思わず破顔した。
「イモです」
これが日本政府による最初で最後の生存確認だった。
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mag2.com/m/0001685218.h…
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ネットの記事に出たので説明しておく。警視庁はすでに私の人質事件を認知しているので、私が被害届を出そうと出さなかろうと捜査する。それは警視庁が明言している。被害届出すかは強制ではないし、考えて決めてほしいということで、こちらは拒否していないし外事三課からの質問にも全て答えている。
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拘束中も帰国後もせっせとデマを拡散する人々がおり、当然、そのことも警視庁に詳細を話している。
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いまさらだが「テロリスト」について。殺人事件が起きた場合、証拠を揃え、反論もさせ、控訴・上告の権利も認めたうえで、判決が確定して初めて殺人犯と呼ぶことができ、死刑を含めた人権の制限ができるようになる。しかし「テロリスト」の場合はそうした手続きなしで殺すことができる。
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国家が殺したい人物を「テロリスト」とみなして超法規的に殺せてしまう。誰かを「テロリスト」と呼ぶことは、その人物を法による手続きなしで殺しても構わないと表明するに等しく、事実の提示が仕事であるジャーナリストがやるべきことではない。
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交渉したり身代金を払ったりする場合、生存証明は必須なのに、拘束中、日本政府は私が生きているか死んでいるか一度も確認してない。ヌスラに人質にされカタールが仲介したとされるスペイン人は何度も証明取られてた。生きてるかも確認しないで金払うなんて絶対にありえない。
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NGOが根拠不明どころか、私が実は4日前に解放されてたとか完全なデマといっしょに流しているただの噂話を、何ら確認すらせずにそのまま垂れ流した日本メディアは、日本が金を払う国だと世界中に宣伝することの影響をどれだけ考えてやったのか。
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もし人質になって身代金が払われることになったら、とかいうが日本政府は直接も間接も身代金なんか払わないし、職員が危険になるようなことも絶対にしない。身代金デマを垂れ流すから、旅券返納命令に対しても当然だとか言う人々が出てくることになる。
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私が人質になったのは今回のシリアが初めて。人質3回だとか6回だとかデマを拡散している人々は、私を叩くために、日本がホイホイ身代金を払う国だと世界中にせっせと宣伝し、結局は日本人全体を危険にさらす自滅行為を繰り返しているわけだ。
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自己責任論は、イラク人質事件で自衛隊撤退の要求が出たのに対し、自己責任=応じる必要はない=政府は何もしなくてよい、というのが原点。だから政府が何かをしたということならば、それは自己責任論に反するから政府を批判しなければならない、というのが本来の自己責任論。
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だから「自己責任だろ」という人たちは、常岡さんに自己責任を取らせないで出国禁止・旅券返納命令を出したことに対して批判しなければならない。
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40カ月ぶりに帰国したら杉本さんの旅券返納命令が合憲になっていた。拘束中に久しぶりに見た「猿の惑星」という映画は、長年の宇宙の旅から地球に戻ったら核戦争で自滅した人間に代わって猿が支配する惑星になっていたという話だったなあ。
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出国させたくない人間を自由に出国禁止にできるという話なので、記者以外にも今後好きなようにやるようになる。自分は記者じゃないしとか自分は関係ないとか思っているとそのうち後悔することになる。
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「テロリストに捕まっていたのにテレビがあるなんておかしい」っていう人々はその「テロリスト」を取材したことがあるということだろうから、匿名でそんなこと言っていないでそれを発表したほうがいい。取材したことあっても俺のと同じ相手でないと「おかしい」にはならんけど。
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捕虜になって戻ってきた自分の知っている人はボロボロだった、と言って私への批判の根拠にしている人がいたが、シリアで捕虜になっていた人に知人がいるのだろうか。ぜんぜん違う場所や組織の話だったら何の比較にもならんことくらいは分かりそうなものだが。
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日本記者クラブでの会見が3時間近くかかったのだが、その程度では40カ月の間にあったことのほんの概要しか説明できない。自分の過去40カ月の間の話を2-3時間で全て語れる人って、いったいどんな人生を送っているのかむしろ興味深い。
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同施設監禁のカナダ人と真相解明へ 47news.jp/news/column/47…ショーンに日本で会う前の年末に書いた。クリスチャンのショーンは「いちおう俺の宗教では人を許すべきだとされている。でも奴らを許す気に全くなれない。謝ってきたら許すけど」と言っていた。奴らの正体をきっちり暴かないといけない。
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ISの人質だった某国の記者と会って聞いたが、やはり1カ月に一回くらいの頻度で生存証明を取られていた。相手が本当に拘束していて、今も人質が生きているという証拠がなければ交渉を進めることも何かを渡すこともできない。他国を仲介や建て替えをするとしてもこれは同じ。
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拘束されていてカメラを向けられた状態で、言えと言われたことを言わなければ殺される可能性がある。だからその前に「放置しろ」「無視しろ」という暗号をすでに送ってあったわけだ。まさか日本政府その生存証明に全く関与していないとは思いもしなかったが。
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シリアで自分が人質になった件について外務省や政府を批判する気はないし含むところもない、と外務省の担当者には2018年10月24日の本人確認後の第一声から言っている。ただし事実関係は明らかにしなければならないから日本政府の対応についても言及はしなければならない。
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人質にされるのは紛争地に限ったことではない。「日本政府が身代金を払った」という話を拡散するのは、全ての日本人への危険を招く行為。払われたことを示す事実関係があるなら明らかにすればよいが、そうしたものを示せないならやめたほうがいい。
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先日日本国内で会った某元IS人質は、一緒に写した写真をネットに出さないように言っているので出さない。元人質たちが生存証明を取られていたことは既報だし自力で調べればよい。それを怠り結局「日本は身代金を払う」と拡散するのはもはや日本人を危険に晒したい願望があるからとしか思えん。
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ジャーナリストの出国を禁止する旅券返納命令が違憲となる理由 kenpoudoutei.com/ryoken-hennou/
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私が外務省に止められたにも関わらずシリアに入った、と言われているが、シリアに入る前に外務省ほか日本政府関係者からの接触は一切ない。あったのは2005年にヨルダンに行ったときに日本大使館から連絡が入っただけで、それ以降の接触は日本国内でも海外においても全くない。
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私の家族に対しても接触はまったくなかった。そもそも「私自身が外務省から何かを言われた」とは私は書いていないし言ってもいない。「止められたのに行った」という物語にするために作られ拡散されたデマ。