1351
編集「だから『ヒネりがない』をそのまま受け取ってどんどん多くの読者や初見に意味不明なオチになっていくことが多い」
新人「なるほど…オチを変えないにしても、アプローチを変えるとか派手にしてみるとかにしてみます」
編集「全部が全部ではないが、そういうことが多いから、気をつけよう」
1352
新人漫画家「オチが弱い、ヒネリが足りないと友人に言われたのですが」
編集「僕はそう思わないけど…気になるならオチをわかりやすくするか、演出を派手にしよう」
「ヒネらなくていいんですか?」
「人は理解できなかったり届かなかったりした時に『オチが弱い』って言っちゃうことがあるんだ」
1353
編集「だがたまにその『説明がいらんやつ』をぐっちゃぐちゃに咀嚼して自分の趣味と性癖ぶっけかけてオリジリティ全開にしか見えないように作る天才がいる。そしてその天才が作ったものが新しい『説明がいらんやつ』になるんだ」
1354
新人漫画家「どういう漫画が流行るんでしょうか?」
編集「説明がいらんやつ」
新人「説明がいらんやつ??」
編集「ドラクエベースとかネットスラングとかメジャーな属性とか学園とか『説明がいらんやつ』」
新人「へぇ…」
編集「だが気をつけろ、そういう作品は時代の先駆けにはなりづらい」
1355
マスコミのよく言う「高級車を乗り回していた」って表現がすごいのは、これ聞くと豪遊して運転も荒いの想像してしまうけど、たとえ安全運転してて「そこそこだけ」高い車でも「高級車を乗り回していた」って言えるのでこれさえ言っちゃえばネガティブイメージ刷り込めることなんですよね。
1356
新人漫画家「萌えとかわかりません」
編集「なんでもいいからキャラ属性言ってみろ」
「ええと…ヤンキー女子」
「次にその属性と真逆なこと言ってみろ」
「えーと喧嘩が怖い・臆病」
「くっつけてみろ」
「『ヤンキー女子だけど喧嘩が怖い』…ア…萌える…!」
「だろォ!?」
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平家物語を観た僕
「平家滅ばないで…」
鎌倉殿観た僕
「平家滅ぼさないと…」
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「敬語で話しかけてくるヤツは自分より下の人間」ってすげー基準で生きてる人がいることはかつて接客業やってる時に学んだウソみたいな事実。
1360
漫画家って「こいつにこうさせたい」よりも「こいつならこうするだろ」で描くことの方が多いんですよ、実は…。
それが「キャラを作る」ということですし。
1361
ちなみにじゃあ露骨に「こいつ悪役ですよー」的なわかりやすい悪人キャラを出すと「こんなやついるわけないだろ」と言われたりします…。
架空です。創作です。キャラは時に「わかりやすいアイコン」です…。
1362
「ヒャッハーなシーンを描いたからと言って作者もヒャッハーしたいに違いない」と思うのはちょっと短絡にすぎると思います。
1363
実例あったんですけど、悪役やモブにあえて悪いことを言わせているシーンをそこだけ切り出してSNSに貼って「作者は悪人」みたいな流布をはかる人もいるという事態になってます…。
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ちょっと漫画の架空のキャラに対して「素行がいいか悪いか」をジャッジする人が増えて、それで世間の作品全体の評価まで誘導しようとする傾向があるのはちょっと怖いです。
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「好きなこと仕事にできていいなぁ」とクリエイティブ系の人は言われがちだけど、青春時代のリソースを全部夢のために消費して、しかも失敗したら悲惨な状況になるというギャンブルを乗り越えて就いた仕事でもあるのでどうか優しい目で見ていただければ。
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創作において「正しさ」は「面白さ」を担保してくれない。
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昔「ドラマで悪役を演じているのは本当の悪役で、ドラマ上で死んだ役者は本当に死んでいる」と思い込んでいる成人がいると聞いていたが、僕が描く「明らかにおかしい人」の考え方と作者の考え方が一緒だと断言する人もおられる。
「おかしい」と思うから描いているのであって、同一思想なわけがない。
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ある漫画家先生が「作中である問題を、主人公とヒロインが滅茶苦茶な方法で解決してるけど、それはこの2人の解決法であって世間全員がその方法で解決できないじゃないかって怒るのはやめてほしい」という意のことおっしゃってて、これほどの先生がこんな当たり前のこと言わなきゃいけないのが悲しい。