1301
編集者「バッドエンドと胸糞の罠というものがあって…」
新人漫画家「罠?」
「バッドエンドや胸糞にするだけでなんか『レベル高くなった』と思っちゃう思い込みの罠がある。実際は胸糞展開の中にもちゃんと面白いもの面白くないものはあって、普通につまんない胸糞展開はあるんだよね…」
1306
ウィル・スミスの件関係なくても、みんなの前で屈辱的なこと言われて、でも「ほら笑うとこだよ」「これ許さないと器小さいよ」という圧の下で拳握りしめて耐えた経験ある人も多いんだろうなと思う。
1309
作品の未完が「作者が飽きた」「サボり」「怠慢」とされることが多いですが、中には精神的健康的に継続が難しくなり断念したものもたくさんあります。
それをひとまとめに「作者の甘え」と断じるにも慎重であっていただければ幸いです。
それは会社を辞めた人を甘えと非難するのと同じかもしれません。
1318
ホラー漫画描いてると悩むのが「キャラの気絶のさせ方」。よくある「腹パン」「クロロホルム」「スタンガン」がどれもリアルじゃ気絶しないことで知れ渡ってるので、じゃあリアルに人が一番気絶するシチュってなんだって考えた時に
「ブラック労働で過労」
が出てくるのせつない。
1319
新人漫画家「『エロならオレでも描けそう』『4コマならオレでも描けそう』『BLなら自分でもデビューできそう』とかいうの山程聞かされるんですが…」
編集「『描ける』のと『面白く描ける』の間にはすさまじい距離があると教えてあげて」
1323
編集「たとえば『万引きをしている女子高生をコンビニバイトの男子高校生が取り押さえる』だと『なぜ彼女は万引きをしたのか』『なぜ男子高校生はバイトをしているのか』『取り押さえ方は乱暴なのかそっとなのか』とたくさんの分岐とバックグラウンドを想像するきっかけになる。その訓練でもある」
1324
新人漫画家「ありきたりの範囲はどれくらいでしょうか」
編集「まぁ『痴漢と間違われる』『肩がぶつかる』『降ってくる』漫画でよく見るパターンかな。ただこの訓練の大事なとこは、シチュエーションを作ることでその男女の属性やドラマを作る訓練にもなること」
1325
新人漫画家「シナリオ力をつけるいい訓練ってあります?」
編集「あるよ。じゃあ簡単なお題で。『知り合いじゃない男子高校生と女子高生を知り合いにする方法を考えなさい』ただし、できるだけありきたりではない方法で」
「!?」
「30個ぐらい考えてみようか」