9/18公開『Daughters ドーターズ』 中目黒で一緒に暮らす女二人。父親のいない子供が生まれてくるその日に向かって時間が進んでゆくなか、もう二度と戻ってこない二人だけの日々に記憶が巻き戻る。三吉彩花が「新米パパのため」と書かれた本を袋から出して見せた瞬間に心が踊った、今時な女女物語。
GagaOOlala 『#BLBrokenFantasy 』 タイBL産業のドキュメンタリー映画。タイで起きているBLの流行がいかに実社会を変える力を持っているかはもちろんのこと、出演俳優が被る弊害や製作現場における同性愛嫌悪の現状など否定的な側面についても言及されている貴重な映像作品。 gagaoolala.com/en/videos/1707…
本作を監督したAam監督によれば、タイのBL産業自体は、製作陣に未だ同性愛嫌悪な人も多く、時代遅れだと感じるときがあると言う。カメラマンでさえ、男性二人のキスシーンが終わった後に吐くような身振りをしたりすると。
製作陣のメディアでの無理解な発言は、当然そのまま作品の内容自体がそれ相応のものであると見做され得る。レズビアンカップルが「女性役」/「男性役」で成り立っているというような異性愛規範に基づく思い込みを広めるのはやめた方がいいと思う。 mantan-web.jp/article/202008…
日付変わって本日9月11日からいよいよ『窮鼠はチーズの夢を見る』が公開となります。私もまた、長い間この日を待っていた一人です。映画芸術とリアルサウンドに寄稿した文章も、ぜひ観賞後にもう一度お読みいただけたら嬉しいです。 realsound.jp/movie/2020/08/…
エリザベス・デビッキは『TENET テネット』よりも『Vita&Virginia』の方がより魅力的に描かれていると思うので日本劇場公開いかがでしょう……『燃ゆる女の肖像』の流れとかで……。
タイBLドラマ『Until We Meet Again~運命の赤い糸~』 前世で引き裂かれた恋人同士の生まれ変わりである二人が再び出逢う。時代や社会の同性愛を取り巻く変容を描出し、縦糸と横糸でほかのあらゆる悲しい物語を優しく編み込んでゆく。「今度は誰も死なない」という台詞が持つ言葉の力強さを忘れない。
12/4公開『燃ゆる女の肖像』試写。結婚を決められた女の肖像を描くことになった画家の女。映画と絵画が融合した唯一無二の画面でやがて女二人は愛し合う。これは失われたものを男社会から奪還する目論みでもある。視線の映画としても繋がる『キャロル』と並んでレズビアン映画史における記念碑的作品。
『燃ゆる女の肖像』の宣伝をご担当されている方が、性的マイノリティを描く作品を巡る昨今の様々な問題とも向き合いつつ、きちんと学びながら作品を届けていきたいとおっしゃられていました。とても誠実な姿勢でこの映画のことを大切にしてくださっているように感じます。その言葉に嬉しくなりました。
『Lost to shame』(2016) 男性の役者がトランス女性役を演じることになり、調査に乗り出す。マイノリティに対する表面的な理解の面は次第に剥がされ、偽善や欺瞞が暴かれていく。厚顔無恥な「芸術」を告発する激昂の韓国映画。トランスジェンダーを描く舞台が典型的悲劇なこともシニックが効いている。
この映画が心底恐ろしいと同時にものすごいと思うのは、「LGBT表象」に乗っかって脚光を浴びているマイノリティを演じるマジョリティと、虐げられているマイノリティを舞台装置を利用して対比/対面させているところで、ここまで真っ向からこのことを批判する映画は今のところごく限られているのでは。
『お嬢さん』の女と『はちどり』の女が「再会」する、ホン・サンス監督『逃げた女』は来年劇場公開予定なので、ぜひ観てください。
『ユンヒへ/ユンヒに』 ──「私たちは何も悪くないから」 韓国と日本に住む女性の手紙の往復で進む韓国のレズビアン映画。月と雪が彼女たちを隔てる国境を結びゆく。交わされる言葉はほぼ手紙に書かれた文字であって、直接発される声によるものではない。その透徹さがより二人の時間の重みを伝える。
『私と彼女』(2015) 50代のレズビアンカップルを描くイタリア映画。同性が相手なのが初めてのレズビアンを自認していない側と、オープンにしている側が次第にすれ違ってゆく。若い女性同士がドラマチックに恋に落ちる映画が多いなか、成熟した女性同士のすでに長年過ごした関係性に焦点をあてている。
「女性監督ならではの繊細な表現」という決まり文句をいまだによく見かけるけど、女性監督だから繊細なのではなくて、その人だから繊細なの。
レズビアンの作家トーベ・ヤンソンを描く映画『TOVE(原題)』の公開が、2021年秋に決定したとのこと。今からとても楽しみな作品。 klockworx-v.com/tove/
異性愛映画に対しては「異性愛映画であることを超えて/にとどまらず〜」と言わないのに、「LGBT映画」に対しては「LGBT映画であることを超えて/にとどまらず〜」と言われるのは、マジョリティに受け入れられることを前提としている上に、明らかにそれを下位の概念に陥れてる謂であって賛同できない。
タイBLドラマはクィアの若者層をエンパワメントしてくれるコンテンツとしても素晴らしいものだった筈なのに、その層がアクセスしやすいYouTubeでの鑑賞ができなくなっていくのは悲しい。LGBTQ系コンテンツは、他のコンテンツとは事情が異なる側面があるのだということをほんの少しでも理解して欲しい。
『君の心に刻んだ名前』を「禁断の恋がテーマのティーン向けラブロマンス」などとしているNetflixは何を考えているのだろう。同性愛を「禁断」と形容すべきではないことはこれまでも散々指摘されてきたはずなのに是正されていないことに驚く。
宇多丸さんの『燃ゆる女の肖像』評の「性描写が消費されないバランスを保っている」というのは本当にレズビアン映画にとって由々しき問題で、『キャロル』公開時に朝の情報番組でとある俳優が「『アデル、ブルーは熱い色』って映画がすごいんだよ~」と嬉々として話し始めたことを未だに忘れてない。
BLについては堀あきこ・守如子『BLの教科書』、ジェームズ・ウェルカー『BLが開く扉』、溝口彰子『BL進化論 』といった素晴らしい先行研究の数々がある。メディアで取り上げるのなら、BLなど専門知識がなくても大丈夫だろうと思わず、「勝手なイメージ」で話し出してしまう前に一通り学んで欲しい。
1/15公開『恋する遊園地』 遊園地のアトラクションに恋した主人公を描く非人間と人間の恋の物語。異性愛規範に嵌まることのできなかった「変わった女」にも居場所を与えるような、あたたかい受容の映画だった。それが『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランであることを踏まえると、より説得力を増す。
ジェンダー研究者Cassia Rothによる『燃ゆる女の肖像』の「中絶」表象について書かれた記事を、透明ランナーさんが翻訳してくれている。エロイーズとマリアンヌの二人だけでなく、ソフィーの存在(とソフィーの中絶の場面)を重要視するレビューはとても多かった。 note.com/k18/n/n9d7b73d…
テレビに出ている俳優の女性を見て、老いただの老けただのを話題にしてトレンド入りしているのが、本当に嫌だなと思う。
『チェデン&アップル』(2017年) 夫を亡くしてレズビアンを宣言し、忘れられない初恋の女性を探し求めるチェデン。恋人の暴力に耐えられず相手を殺害して逃避行する元俳優のアップル。フィリピン版『テルマ&ルイーズ』と言われる六十代の女性二人の旅を描くコメディ映画。初恋相手探しの結末が良い。