浦沢直樹や江口寿史といったいままで政治性を前面に出すことのなかった漫画家が安倍総理をネタにしたり批判したりすることに対して安倍政権支持者が強く反発しているのは、この二人のような所謂”普通の人(政治性の薄い人)たち”まで安倍政権を批判する状況になるのが本気で怖いからなんです。
安倍政権支持者はこれまで政権を批判する人に対して"サヨク”や"アベガー”などと呼び"一部の思想や思考が偏った人間”だとレッテルを貼る一方、政権を支持する自分たちを政治的・思想的に偏りがない"普通の人”であると主張することで「安倍政権を支持するのが普通」というネットの空気を醸成してきました
これは実はうまくいっていました。安倍政権による身内への利益誘導や公文書の隠匿・改竄、公金横領や公職選挙法違反などの疑惑や閣僚の不祥事が表沙汰になるたびに、それを批判する人たちに対して政権支持者は"サヨク”や"アベガー”などというレッテルを貼り批判を軽減してきたのです。
いま浦沢直樹先生や江口寿史先生が直面しているのはそれと同じ状況なんです。それは彼らが著名な漫画家だから起こっているのではなく、私を含めて安倍政権に批判的な言説が一定規模以上拡散したことのある人ならほぼ全ての人が体験することでもあります。
ところがコロナウィルスの感染拡大と経済危機という非常事態にあって、安倍政権の対応の遅れや国民の生活を顧みない態度は政権支持者でも糊塗しようがないレベルにまで広がっていきました。そしてマスク配布がその決定打となりました。
まだ収束してはいませんが、布マスク配布のニュースはいままで安倍政権を消極的に支持してきた人たちの態度を変えさせるのに十分なインパクトを持っていたものと思います。ネット上ではそれを支持する人の方が少数派となりました。彼らが一生懸命積み上げてきた"空気”が一変してしまったのです。
彼らは安倍政権批判者には"思想の偏っている人間"というレッテル貼りをする一方で、旧民主党や野党関係者は馬鹿にしても良いという空気も醸成してきました。彼らはその"空気”が反転してしまうことを恐れているのです。自分たちがやってきたことが今度は自分たちに帰ってくることになるわけですから。
浦沢直樹や江口寿史といったいままで政治性を前面に出すことのなかった漫画家まで安倍首相をネタにすることにこうまで強い反発を示すのはそういう理由・背景があるのですね。
でも、そもそもこれはおかしな話ですよね。完璧な政治家や完璧な政党、政府なんて存在しません。だから批判があって当たり前なんです。それを”批判しているのは一部の思想や思考が偏った人間だけ”などと考えることそれ自体が異常なことなんです。
しかし、これまで説明してきた通り、安倍政権支持者によるそうした"異常な思考”がネット上の政治言論に大きく影響を及ぼしてきた。故に現在のネット上の政治言論は歪んだものになってしまっている。いまの状況はそこから脱却する良い機会でもあると思います。
少なくとも、安倍政権を批判したりその問題点を指摘しただけで偏った思想の持ち主だというレッテルを貼られる現状は異常ですので、改善すべきでしょうね。皆自身の生活がかかっているわけですから、そういう安倍政権支持者は無視しておかしいことは「おかしい!」と言いましょう。
今回のスルメロック先生とのやり取りで一番おもしろかったのはやっぱり「風刺がちゃんとできるだけの知性がない」と言われて「俺を馬鹿にするお前より俺の方がフォロワーが多いんだぞ!」と恥ずかしいマウティングを"2回も”してきたことですね。
風刺漫画家として有名なスルメロック先生が昨日の一件をマンガにしてくれました!なんということでしょう!「フォロワー数でマウントとろうとして逆にネタにされるスルメロック先生」が、匠の手により「アンチをあっさり論破するスルメロック先生」に生まれ変わったではありませんか!
今回のコロナウィルス絡みの話題で数少ない「良かったな」と思えることのひとつは、皆が躊躇なく「金よこせ!」と主張し始めた点だと思います。でもね、本当は平時でも困ったことがあったら「金よこせ!それができないならその議席をあけろ!」というべきだったんですよね。
「非常時なんだから批判してる時じゃない協力しろ!」と言う人があとを断ちませんが、それは「批判を控え協力すればきちんと対応してくれる相手」たからこそ成立する態度であって、「ほっとくとお友達を税金でもてなしたり公文書改竄したり法律ねじ曲げたりする相手」にそれやるのはただのアホです。
非常時だからこそ、足りないものがあれば要求するべきです。非常時だからこそ、納得できないことがあれば反発するべきです。非常時だからこそ、おかしいと思うことがあれば批判するべきです。なぜなら、歴史は“非常時だから”という言葉で棄てられ、潰され、殺された人達の屍で埋め尽くされているから。
「いまは批判してる時じゃない!黙って協力しろ!」と言われてそのとおり黙って協力した結果ひと世代丸ごとスポイルされかけた氷河期世代のおっさんから一言。 「黙るな。求めろ。さもなければ与えられぬ。」
本当に分からないのですが、首相が「接触を7~8割減らさないと酷いことになるから協力してください」と緊急事態宣言を出した翌日に担当大臣が休業要請は2週間先送りとか言い出すわ、幹事長が「んなことできるわけねーけど国民は協力して」みたいなこと言い出す政権をどうやったら支持できるの?
平時ならまだ「あーあいつらグダグダだけどまあしょうがねーか」で済ませられるかもしれないけど、いまみたいにマジで自分たちの生活と命がかかっている非常時にこんなコントみたいなことやってる政権をどうして支持できるんでしょう。
つか、中国でコロナウィルスの感染拡大がはじまってからずっと安倍政権の対応ってグダグダもいいとこだったわけで、それが緊急事態宣言を出したあとのいまも続いてるわけですよ。一時的に判断や対応を誤ったとかもうそういうレベルではないわけです。
それでも「安倍政権ならしっかり対応してくれる」とか「代わりがいない」とか言ってる人たちは救いようがないアホだと思いますよ。
せめて金払いが良ければ支持する理由もわかるけど、未だに一律現金給付も休業要請に対する補償もするつもりがないって言ってるんですよ?本当に"まともな判断ができない状態になっている”としか言いようがないです
いいかいみんな、“音楽の政治利用”“芸術の政治利用”というのは、こういう行為のことを言うんだ。“創作者が作品に政治的メッセージを込めること”は創作の一部であって政治利用ではないんだ。“政治家が創作物を政治的なキャンペーンや人気取りに使うこと”を“政治利用”というんだ。よく覚えておいてね。 twitter.com/AbeShinzo/stat…
誇張でも皮肉でもない端的な事実として、今の日本は、首相や政府が「休業補償している国はない」「日本の補償は世界で最も手厚い」と主張しさえすればそれが事実ではないと分かっていても「事実だ」と強弁する数%の人たちと、検証を放棄してそれを鵜呑みにする数十%の人たちによって動かされています
この状況になってようやくそのことを実感したという人もいるのではないかと思いますが、この傾向はここ数年ずっと続いていることです。政権与党に不利となる事案や問題が発生する度に、首相はじめ政府はただただその事実を否定し、支持者はそれに追随するということが繰り返されてきました。