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どこまでタツキ先生が計算してるのかわかんないんですけど、デンジくんのしんどさの大半は「語彙がないこと」「物語化のできなさ」から来ていて、普通の人だったら自分の境遇をある種の物語にして自分の状態を説明できるはずがそれをやれない。だからヤクザやマキマさんにあっさり呑み込まれる。
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デンジくんは実はそれ以前の問題で、「彼女がいれば幸せなはずだ」「うまいもの食えば幸せなはずだ」っていう稚拙な物語しか語れない語彙しか持ってなかった。そして作中だとデンジくんに「本読め」って言ってくれる人はいないんですよね。マキマさんだけが一緒に映画みようって言ってくれる。
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現代人が平安時代にトリップしたりしたら身体はでっかいし髪は短いしで不美人扱いだろうという話、「身の丈六尺、禿髪、白玉のごとき肌」だから多分異形かつ美しい鬼として扱って貰えるんじゃないですかね……と思っております。現代人は栄養が行き届いているし疱瘡もないしで輝くような美肌ぞろい。
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昔読んだたしかイギリスのファンタジー小説で、パジャマ姿で過去に転移した現代人の子どもたちが「輝くように白い衣をまとい、真珠のような肌をした」天使と見紛う姿をしていると書かれていて、そういや当時と今だと技術水準が違うわと思い当たったのでした
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博士号含め数学科行った知り合い何人かいますが、「電卓くれ」「計算苦手」はみんな言うからホント面白かった。どうも数学的思考能力と四則演算を正確に行う能力は別らしく、小学生も計算できるけど式が立てられない子と式は立てられてるのに計算ボロボロな子に割と別れます。
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日本人は「この世界は人間のためにあるわけではなく、神は割と人間のことなど気にかけてはおらず時にはむしろ災害で、自然は恵みであると同時に災厄、人類は別に霊長で最も優れた存在ではない」って世界観だから、「実は宇宙も神も人間など気にかけてはいない」と言われても「そっかぁ……」はあるかも
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ただし、クトゥルフ系の神格を「未だ知られざる強大な祟り神が実は世界中のそこかしこに潜んでいる」という書き方をしている作品はヒッとなるので、日本産クトゥルフ神話は民俗学ホラーと相性良いイメージ。
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ちょいと補足しますと旧約聖書派生の一神教の神は必ずしも人間に都合がよい存在じゃないのですが、『人は神の似姿であり、全ての試練には意味がある』んですよね。だから旧約聖書のヨブ記みたいな酷い話もあるのですが、あれですら神はヨブを気にかけている。完全なる無関心な宇宙って概念じゃない。
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だから神学だと「何故神は全知全能なのに完全な世界を作らなかったのだろう?」「例えば真に無垢なるもの、罪を犯せるはずもない産まれる前の胎児が重い障害を負って産まれるのは神のどういう意志によるものなのだ?」と考え続けていて、多神教的な混沌世界観とは異なる恐怖に満ちてもいます。
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だから例えば日本人がヨブ記(神が人を試すため信心深い善人無茶苦茶ひどい目にあわせる話)を読むと「一神教の神、ろくでもねぇな」で済ましちゃうのですがそれは誤読で、なぜ神はこのように理不尽に世界を作ったのか、というキリスト教的恐怖と謎が本来そこにあるわけです。キリスト教的世界、恐いよ
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そういう意味だと神も人も同じように泣き笑い悩み恋をする日本的多神教世界は緩くて幸せだなあと私などは思ったりします。一神教的な厳格さの真の恐ろしさもまた、多分わかりにくいものでしょう。だって神に見捨てられたと思った人がヤケになって大量殺人鬼になったりするし。厳しい。
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江すて本編とは関係ないところなのですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ fse.tw/RHplRWJP#all
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TRPGで人生が崩壊した話、私は物理的に制約がある状況だったからギリギリセーフでしたがMMORPGで何回も聞いた話だしリレー小説の恋愛交流でも起こりかけた話だから『自分ではない誰か』を演じ続るのは危険な場合があると思っといたほうがよいです。あれは他の依存症とはちょっと違うよ。
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平安時代もいい加減長いけど、貴族の女が後ろ盾を失って草ボーボーの家に住んでて憐れな様子と書いてる一方で「鮎寿司売ってる女を見てたら泥酔して桶の中にゲロ吐いたのをそのまま混ぜて何事もないように売ってたよ」とか今昔物語に書いてたりして、貴族と平民で世界観が違いすぎるんですよね
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しかしTwitterが無くなると困ると思った人が一斉に「白河の清きに魚も棲みかねて……」とつぶやき出すツイッタージャパン、別にシェイクスピアのことを気にしなくとも充分に教養に溢れているじゃないのと思いました。
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あと一文字則宗好きな人はみてください。一番見たいものが見られます。
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城好きの家族に熱砂の国と暁光の都の地図だけを見せて考察を聞きました。結論として、「オアシスに商人が作った商業都市と、防御拠点としての城の周りに勝手に人がすんで出来上がった街。全然違うよ」だそうです。 fse.tw/IVv59YzJ#all
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歌仙極を受け入れられないという人の話で唯一心底「そうだね……」となってしまった話は、「とても虫が苦手」でした。それはそう。仕方ないね……
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2.5舞台を男性キャストだけに独占させてきたのはよろしくない、それはそう……ただそれ以上にユーザーを警戒させていたのは、女性キャストが出る=恋愛モノになる ことだったんだと思う。それくらい男女入り混じったコンテンツは恋愛以外を書いてくれない。世の習いとして。
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宝石の国は無垢で美しかった鉱物生命体の中に産まれたとある異端の個体が『欲』を抱いた結果全生命を巻き込む事件に巻き込まれていくポストヒューマンSF仏教漫画ですね
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宝石の国のキャラは死ぬというより別人のように変貌してゆくしその結果は『欲』を知ってしまった結果に近いので、キャラの一貫性や魅力的であることを望むようなオタク読みとの相性はむちゃ悪いです。『火の鳥』に似ているとよく言われる。
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エクメアとカンゴー厶の関係は「本人が周りから押し付けられていた役割から開放されて思うように生きられるようになり、その恩人に恋をした」「彼女を利用していた筈がその愛情を受け入れてしまった」というド王道のハッピーエンドですよ。ただ「本当の彼女」を読者が受け入れられないという意地悪さ。
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そういう「人間は勝手だからありのままのその人の幸せなんて望まない。自分が期待した姿でなくなったら非難する」みたいな人間の救われなさそのものをゴリゴリ刷り込んでくる漫画ですね>宝石の国
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自分のエゴに早々に気付いてちゃんと折り合いをつけた子ほどはやく幸せを得ていますが、その姿が読者の望む魅力的なキャラとはかけ離れてゆくし、「私は私に媚びてくれる彼を望んでいただけだ」と突きつけてくるのが怖いですよね宝石の国
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生きていれば環境や人付き合いが変化するたび別人のように変貌していくのは「生物として当たり前のこと」なので、そこをあえてキャラクターとして固定している漫画のお作法を採用していないとこうなる話というのか。