少年たちの出自は様々。料理も様々。映画を観た後でどの国の料理を食べようか、どのレストランに立ち寄ろうか、どんな食材買って帰ろうか、楽しく悩みつつも移民問題に想いを馳せることになる『ウィ、シェフ!』5/5(金)から上映です。
名門校に入学したのはいいけど数学が苦手で落ちこぼれた男子が、どうやら夜間警備の無愛想おじさんが数学得意らしいと知って弟子入りする映画を上映します。人生には解ではなく途中式が大事と教えてくれるこのおじさん、実は学問と自由を求めて北朝鮮から脱北してきた天才数学者。得意どころじゃない。
そしてこのおじさん、演じてるのは『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシク。『シュリ』以来22年ぶりとなる北朝鮮の方言を使いこなして過去持つ男に説得力を持たせています。円周率から作られたπソングの精緻な美しさも印象に残る『不思議の国の数学者』5/26(金)から上映です。
この世界に居場所なんてない発光少女や蟲使いや磁界人間らイタリアの異能者たちが身を寄せ合って、異能を芸ということにして小さなサーカスを営んでいたのだけど、仕事を得るためドイツの人気サーカス団に行ったらそこがナチスのためにガチで異能者を探してるヤバいサーカス団だった映画を上映します。
ちなみにこの監督の前作は、超人的な力を得てしまったイタリアのチンピラマフィアがそんな自分を日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」のキャラだと信じ込んだ少女のために同じく超人となってその力で人気YouTuberになろうと画策する巨悪(巨悪か?)と闘う『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。作風、ブレてない。
というわけで、生まれつき異能者である哀しみを背負ったイタリアの弱小サーカス団員たちが、人体実験で異能者を作ろうと目論む強大なベルリン・サーカス団の団長と相対することになる、問答無用の異能力サーカス戦争アクション映画『フリークスアウト』乞うご期待です。
これ以上ないほど空気の澄んだ北イタリアの山麓で1人は都会育ち1人は山育ちの少年が出会ったのは10歳のこと。以来2人は無二の親友で、思春期から大人へと巡る季節を時には共に時には離れ離れに成長していく、男たちの完璧な友情映画を上映します。「焚火に美しい山々、そしてお前。一生これで満足だ」
穏やかな午後に森の教会に集った6人の女性が、想いを語り合って連帯する場面から始まる映画を上映します。ただし話題は【黒人やアジア人どもがのさばる多様性社会】への強烈なヘイト。6人は町に繰り出し…この映画、ここから90分のノンストップ撮影で邪悪と最悪以外1秒も映りません。史上最悪の映画。
ご存じない方のために念のためお知らせしますが来年は2024年なので犬が喋ります。で、第4次世界大戦で荒廃した世界で少年と相棒になってるわけですが、少年が地上では珍しい"女性"に惹かれて地下世界に行ってしまいます。むく犬を置いて。という、続きが気になりすぎる1975年の映画を緊急上映します。
寿司屋の出前バイトでパリ・オペラ座に入ったラッパー君が、そこの生徒に邪険にされておふざけオペラ口調でディスり返したら、先生にラップじゃなくオペラの才能を見出されてしまう映画を上映します。先生の手引きで未知の世界に飛び込むラッパー君、恥ずかしくて仲間にオペラ習ってること、言えない。
それでもバイト暮らしのラッパー君とオペラに人生をかけてきた先生との出会いと、そこから始まる秘密のオペラレッスンは、やがて2人だけでなく周囲の人々の人生にも変化をもたらしていくことになります。ガルニエ宮が美しい『テノール!人生はハーモニー』は7/7(金)より上映。
スリルもなく失望もなく、10年の刑期で得たポーカーのスキルで細々と生計を立てている男が、投獄の発端となった元上官と再会したことで仄暗い復讐のゲームから降りられなくなっていく映画を上映します。自分の罪は永遠に消えない。奴を許すことはできない。贖罪と復讐、配られたカード2枚が心を壊す。
スキンヘッドでフィジカルバッキバキに鍛えてるけど愛嬌たっぷりな小学校の校長先生が、授業に「哲学」の科目を取り入れて子どもたちや街に変化を起こしていく2年間を綴った映画を上映します。今も対立や闘争の傷跡が残るベルファストの街で「哲学」は概念や机上の空論ではなく、生きるためのよすが。
ちなみにこれはドキュメンタリーなので校長がフィジカルバッキバキなのは伏線とかじゃありません。単に筋トレ好き。でも過去を想像させるには充分だし、そういう彼が、やられたらやり返すでいいのか?思考と対話を自らの武器にしようじゃないか、と児童や保護者や教師たちに示していくのがグッとくる。
北アイルランド紛争でプロテスタントとカトリックの対立が繰り返されてきたこの街で、かつての自分のような憎しみや対立を子どもたちに継承したくない。自分と違う人とも語り合おう、想像しようと、彼らに伝わる言葉で伝えたい。『ぼくたちの哲学教室』6/23(金)から上映です。
憧れの映画業界で働き始めた新人ちゃんの映画を上映します。『プラダを着た悪魔』みたいな映画かな? 無機質なオフィス、コピー機、給湯室、電話、メール、電話、メール、目の細かい紙ヤスリのようにメンタルを1mmずつ削る小さな日常的ハラスメント。そしてその日、彼女は【あること】に気付く。
会社のトップが若い女性に、女性たちに、何かをしている。多分。明確な証拠はない。キャリアのためには勘違いかもと自分を納得させたほうがいい。させたほうが… というわけで『プラダを着た悪魔』みたいな映画ではありません。硬質でひんやりとした、小さな大理石の立方体のような映画。
ギレルモ・デル・トロ監督が撮ると静岡南郵便局も「何かが棲んでいる」気配に。 twitter.com/RealGDT/status…
体長2.5cmの靴をはいた小さな貝と友だちになって、一緒に暮らす映画を上映します。実写とコマ撮りを組み合わせた映画なんですが、おうちの中をマルセル君がチコチコ歩く映像の破壊力、ヤバいです。心のやわらかいところをギュッとさせるストーリーも今年一。大好き。予告編、何度も何度も観てしまう。
靴をはいた小さな貝、今はこの家にマルセルとおばあちゃんだけ。実は大家族が失踪していて、それがマルセルの心の傷です。でもおばあちゃんと友達のディーン(この映像↓を撮ってる同居人)に後押しされて、外は未知だし見つからなかったら悲しいけど、勇気を出して探すことに
小学校の頃から揃いのスプーンみたいにぴったり一緒の親友同士がそれを中学でイジられて、片方が意識してしまって一緒に遊べなくなる映画を上映します。拒絶された側の、世界が砕ける音がする。 もうすでに透明な糸で締めたように心が痛いですが、この映画のキャッチコピーは 永遠を壊したのは、僕。
そう、関係を壊した側が主人公です。 永遠って壊れるんですね。小さな子がきれいな蝶を握り潰してしまうように、あっけなく。13歳にとってはあまりにも残酷な幼年期の終わりを、喪失と絶望と再生を、繊細に繊細にフィルムに定着させた『CLOSE/クロース』は7/21(金)公開です。
美しき捕虜に魅入られて、捕らえた側の心が囚われていく映画を上映します。戦争という巨大装置の歯車と歯車の隙間で、条理と不条理、本音と建前、身を縛られた者と心を縛られた者の関係がすり潰されるように反転していく。演じたのはデヴィッド・ボウイと坂本龍一。もう二度と撮られることのない映画。
パリの小さなアトリエで、絵は描けるけど物語が作れないイラストレーターの脳内にやんちゃな男子小学生のキャラが生まれたので、ストーリーならお手のものの親友作家と一緒になってその子の世界を拡張してみたら、フランス最高の児童書シリーズ「プチ・二コラ」が誕生してしまった映画を上映します。
コードネームは【ティンカー/鋳掛屋】【テイラー/仕立屋】【ソルジャー/兵隊】【プアマン/貧者】。英国情報部【サーカス】で最高幹部4人の誰かが敵と内通、誰が内部捜査権を握っても事態悪化の可能性ありという最悪の状況で、唯一利害関係のない引退した老スパイに全てが託される映画を上映します。