優秀な訪問看護師が1人いると、最期まで自宅で過ごせる人が大きく増える。 地域の幸せの総量も増える。 医学モデルと生活モデルをバランスよく織り交ぜながら、患者・家族の不安を先回りしてケアし、在宅医の足りないところを補いつつ、必要なタイミングで常にそこにいる。 彼女たちは地域の宝。
僕らのチームは昨年1年間で21,000件の緊急コールを受電した。東京消防庁が受ける後期高齢者の119番は年間約25万人。その8%強に相当する。 うち7,300件に往診で対応した。これは都立墨東病院への年間救急搬送件数よりもちょっと多い。 在宅医療が頑張れば、救急医療の負担を少し軽減できる。
人生の最終段階、病状は進行し、全身状態は不安定になる。これを「医療依存度が高まる」と考える人がいるけど、それは違う。 医療によってその人の予後や全身状態を改善できる余地は、人生が最期に近づくけば近づくほど少なくなる。「医療依存度は低下する」のだ。
千葉市で訪問診療するようになってから、小児の在宅医療の依頼を多く受けるようになった。特に多いのが脳腫瘍の子供たち。治癒を諦め、在宅医療に移行するケースは、成人の脳腫瘍よりも圧倒的に多い。