なかなか信じ難いかもしれないのですが、DV被害者が離婚に向けた行動を取ると、加害者は物凄い「被害者意識」を持ちます。
自分が依頼している弁護士とのLINEのスクリーンショットをTwitterでアップしているアカウントを見かけましたが、これをされると弁護士は辞任するモードに入ります。自身が弁護士を解任するつもりでない限りやらない方がよいでしょう。
離婚事件をほとんど扱っていない弁護士の語る理想の親権・監護・面会交流理論は、弁護士という肩書はついていても素人の思いつきの域を出るものではないと思います。 現場を経験しないと見えてこないことはたくさんあるので。
DV・モラルハラスメント加害者やパワハラ・アカハラ加害者は、被害者が外部に相談することを物凄く嫌がります。 自分たちのしていることが、自分たちが勝手に作った内部ルールではまかり通っても市民社会の法理では許されないということを、無意識のうちに自覚しているからなのかもしれません。
DVやモラハラを受けていて離婚を決意する人の中には、子供が加害行為を目にすることによって傷ついたり逆に加害者と同じような言動をするようになってきたりするのを見て決意する人が少なくありません。 自分のことだけなら我慢できても子供のことを考えると我慢すべきでないとなる人は多いです。
DVモラハラ被害者がすぐに逃げ出さないことが少なくない理由は、離婚のために動くのはとても勇気とエネルギーが必要だからという点があります。 DVモラハラの被害をやり過ごしながら日々の生活を過ごしていると離婚に向けた行動を取れないまま月日が流れていきます。
DVやモラルハラスメントは病気や障害ではなく価値観の問題です。 DVモラハラ加害者は話が通じないということがありますが、仕事で上司や取引先とやり取りをするときは普通にコミュニケーションが取れます。 被害者とは対等なコミュニケーションを取るつもりがないだけです。
「離婚弁護士やDVシェルターが家族の断絶を招いている。」という意見を見かけました。 私は「個別具体的な事情によっては断絶するのもやむを得ない、あるいは断絶した方が望ましい家族関係も存在する。そのような家族関係であっても断絶できない方がはるかに問題である。」と考えます。
たまに「弁護士が入って家庭を壊された」と主張する人がいますが、離婚事件を多く扱う弁護士からすると、家庭を壊すというよりは既に修復不能又は困難になった家庭の解体撤去作業をしているという感じです。
今朝、NHK総合の朝の情報番組「あさイチ」でモラハラ特集があったのでほんのちょっとだけ見ました。 そこで、要注意な兆候として「被害者本人の感情の起伏が少なくなってきている」というのが挙げられていました。 DV・モラハラ被害者は自身のメンタルを守るために感情を凍らせることがあります。
これを見ていて思い出したのが、少なくない依頼者が、「同居中は感覚が麻痺していたので一緒に生活できていたが、別居して感覚が戻ってから加害者のことが怖くてたまらなくなった」と言っていたことです。
先日のあさイチの放送を受けてか、モラハラ被害について「すぐに言い返せばよかったんだ」的な意見を見かけます。 しかし、何かしら不快なことがあったからと言って、その場でとっさに言い返すというのは一種のスキルであり、そのスキルがない人は多いです。 普通に生きる分には不要なスキルですし。
DV・モラハラ加害者が口論をするときの特徴 ・皮肉や嫌味を言う ・あざける ・相手の言い分を歪曲する ・前に話し合ったときに起きたことを歪曲する ・自分自身がしていることや思っていることを相手がしていることだと言って非難する
・絶対的な確信をもって、偉そうな威張った口調で「事実の定義づけ」をする ・相手がしているときに口をはさむ ・相手に耳を貸さないし応えない ・相手の意見や味方を大声で笑い飛ばす ・相手が不満を言うと逆手にとって攻める ・話題を自分の不満にすりかえる ・いつも辛辣で不当な批判をする
・相手に罪悪感をもたせる ・被害者を演じる ・ニヤニヤ笑ったり、あきれた顔をしたり、軽蔑した表情を浮かべる ・わめいたり、怒鳴ったりする ・ののしる ・おとしめる言葉で呼んだり、侮辱したり、見下したりする ・立ち去る ・威張る ・脅しながら接近する ・相手の行く手をさえぎる
・怒ったときに至近距離に迫るなど、さまzさまな身体的な脅しをする ・別れると言って脅す ・傷つけると言って脅す
DV・モラハラ加害者は対等な人間関係を築かずに上下関係を作ろうとするのというのは再三ツイートしています。 が、婚姻前はパートナーを対等な立場で尊重しているかのように振る舞うということもよくあります。 そうなると、DV・モラハラ気質があると婚姻前の段階で見抜くのは難しいでしょう。
「なんで結婚前にDV・モラハラ加害者であることを見抜けなかったんだ」「DV・モラハラ加害者であることを見抜けなかった方が悪い」という意見をたまに見かけますが、ちゃんと隠れている地雷を踏んでしまうのはやむを得ないです。 婚姻前の恋愛状態だと目が曇りがちなので、余計見抜きにくいです。
子連れ別居した配偶者を未成年者略取罪で刑事告訴するという話をTwitterでちょくちょく見かけますが、有罪判決どころか起訴された例すら聞いたことがないです。 なお、子連れ別居後に実力行使で取り返したケースが未成年者略取罪に該当するとして裁判例は存在します。
親権を取れば養育費を払わないでよいというのは事実ですが、本人の年収が2000万円近くあり、かつ子供にお金をかけるつもりがないというのでない限り、養育費よりも子供にかかる費用の方が普通は高額です。
私は弁護士1年目にかなり激しいモラルハラスメントの録音を聞いたのですが、「こんなことを配偶者に言う人間がいるのか」ととても衝撃的でした。 強烈なモラルハラスメントは、普通に生活していると出会うことはなので、なかなか想像しにくいものがあります。
ちなみに、その録音データの反訳文は私が吐き気をもよおしながら作成しました。 文字起こしされた文章を読むだけでも相当強烈だったのですが、それでも実際の音声に比べたら迫力は大幅に減っていました。 モラハラは声の大きさ、トーン、間などの非言語的な面も大きいです。
この判決が実務に与える影響は大きそうです。 病院は離婚前の手術には共同親権者両名の同意書を求める→単独監護者は別居親が署名を拒否したら親権停止の保全処分を申し立て裁判所は速やかに申し立てを認容する、みたいな運用になるのかもしれません。 mainichi.jp/articles/20221…
この判決について色々検討してみたのですが、高裁でひっくり返る可能性はそこそこあるんじゃないかなと思いました。 以下、連ツイします。 なお、私の個人的な見解に過ぎず、権威はありません。 娘への手術、面会禁止された父親の同意なしは違法 大津地裁判決 | 毎日新聞 mainichi.jp/articles/20221…
大津地裁の滋賀医科大学への訴訟の結果により懸念されるのが、共同親権に服する未成年者への手術について、紛争を恐れた病院が法的責任がどうあるかはさておき、別居親の同意書がなければ手術をしないという運用に舵をきるのではないかという点です。 これは、保育園の転園で似たことが生じています。