地球を出て、たぶん国家があれこれ手間取ってるうちに企業がどんどん力をつけて、法の及ばぬ未開の原野めいた宇宙に版図を広げた結果、「利益追求する企業」が実質的な「武士のイエ」、「企業グループ」が「幕府」とかに近いものになったと考えると面白い社会体制の変化。そりゃ決闘も再興する。
なんというか水星の魔女、中近世の諸侯や貴族、武家のノリで考えると分かりやすいのが面白い。シチュエーションはガンダムでSFなんですが、全体を回してる理屈が貴族同士が私戦とかやってる自力救済の時代が近いんですよね。
ジェタークは決着のタイミングを踏み倒そうとした。ペイルはレギュレーションを踏み倒した。グラスレーはホント、何やるつもりなんでしょうねえ……あるじも跡取りも、何も考えずに正々堂々取りに行くつもりだとは思えない曲者の面構えしてる。
度胸と暴力で速攻かけるジェタークの企業戦略と、凄惨かつ陰湿なペイルの企業戦略。どっちもプロスペラとスレッタがひとまずチャート崩壊させたっぽいですが、残るグラスレー社はいったいどんな方向での「企業戦略」を出してくるんだろうと思うと、今からちょっと興味深いですね。(思考整理メモ)
要するに、「ペイルとグラスレーは性格悪い&老獪だから様子見してくる」「じゃあその陰険合戦に乗らず、バカのふりして華やかにホルダー取ろう」「そしてデリングを爆殺してミオリネ確保して有無をいわさずグループ継承だ」ってわけで、相手の得意ジャンルに乗らないで事を片付けようとしてる。
視点を変えてジェターク社とかは、「早い時期からホルダーでも、挑戦されまくって情報取られる」みたいなデメリットを、「でも投資家受けはいいし、途中でデリング総裁が爆死すれば婚約自体は有効じゃん?」で解決しようとしたわけで、こちらもペイル社の陰湿な趣きとは違う、暴力的なロジカルさ。
これだけダーティファイトかました上で、「普通に力負けしました」「相手は旧来デメリット克服してる上に謎の切り札があります」となると、これペイル社、トロフィー獲得チャートの引き直し、けっこう困った事になってるのでは……?
そしてダーティな手も躊躇せず、ガチでトロフィー獲りに行ってるペイル社に唯一の計算違いがあるとしたら、「なんか謎の技術で旧来のガンドフォーマットを過去にした、未知の新型機体がド辺境の水星からきた。謎の援助者もいるっぽい」という点。……この計算違いは予想できないし、そしてデカい。
これまでエランではなくグエルがホルダーだったのは、エランの『使用回数』に制限あるから、挑戦受けるチャンピオンじゃなく、チャレンジャーの立場を保持しておいたほうが都合がいいから……とか諸々考えると、ペイル社の作戦は完璧っすねえ、倫理道徳って点に目をつぶればよぉ~~!
なら、強化人士とガンダムを用いて適切な時期にホルダー獲得。強化人士の損耗が限界化したり、観測データから違法性を指摘されたら、強化人士は証拠隠滅(物理)した上で交代。適宜、無改造の本物エランが前に出て潔白アピールと御三家パワーでの揉み消しして、最終的にミオリネと結婚する形が妥当。
であるに、娘婿候補が「極端な短命」かつ「禁忌技術使用の生きた証拠」かつ「会社に復讐心もってる」とか100%まずい。けどガンダムは強力。他の企業が秘密裏に研究してたら、突然ホルダーをもぎ取られるかもしれない。(実際スレッタがほぼそれ)
(※このルール自体は、「系列グループ間で無制限の暗闘やスパイ合戦、脚の引っ張り合いで内紛して所属企業が相互に消耗していくより、学園内でのスケール小さい決闘ごっこに夢中になってて欲しい。会社にも投資家にも」みたいな、デリングのある種の統治政策か?)
#水星の魔女 「本物エラン」なんて言葉がトレンド入りしてましたが、ペイル社のやりようはかなりロジカルですよね。そもそもが、ミオリネが結婚可能な年齢になった時点でのホルダー(≒同年代最強のパイロット)が、デリング総裁の娘婿になるというルールなわけで。
スレッタたち学生側では、ガンドフォーマットは「生まれる前の禁忌技術」だし、エランがそうだとも知らないから、「持久戦になれば勝ち確定」なんて発想は生じないんですよね。だからグエル戦のエランとファラクトの性能を想定し、引き撃ち持久がずっとある前提で戦術組み立てるしかない。視点差。
と考えると、プロスペラ的にはベルメリアに「何人目」と尋ねて動揺が見られた時点で、エランが「(エアリアルに秘められた何らかの謎機構とは違う)従来路線の延長、ガンドフォーマット用の使い捨パイロットである」と判別できてもう勝ち確なのか。よくできた旧型ね。エアリアルには勝てない。以上。
考えてみるともしブースター無くても、ビットの操作精度が違うから電磁スタンビット群は撃墜可能で、単発の大型ライフルはあのビットの大盾で捌けるから瞬殺は無理なのに、持久戦にするとガンド入れてるパイロットのエランが保たない……
あとこう、ファラクトとエアリアルの差がえげつない。宇宙が決闘場所ならプロスペラもシン・セー開発公社からブースターくらい都合できないものかと思ったし、実際スレッタは地球寮の支援でブースター増設して寄って勝ちにもってきましたが……
水星の魔女、何かを書くのが上手いんじゃなくて、「書かない」のが上手い。いらないとこ見極めて最低限のシーンでさっと説明すませて、本筋とテーマ性で鋭く抉ってくる感じ。賢く鋭く創った結果のスピード感。
まさにこれ。1話で悲劇に落とすのは無理だと思ってたんですよ。尺から考えても決闘から心情変化、和解で終わりかなと思ったらそのまま刃が伸びてきて斬られた。全体的にスピードと間合いがおかしい。 twitter.com/keiso_silicon1…
水星の魔女、「祝福/呪い」のテーマ性があまりに一貫してて怖い。今回のバースデーソングとかまさにそう。同じモチーフを繰り返し違う形で……いやすごいな。
人の心を理解しないと人でなしにはなれない。
"ラージャマウリは、数学にものをゆわせ、完璧にクレバーな答えを用意していた。それは「真の男の映画を超えるには・・・・真の男を2人・・・・・ダブル主役で出せばいい・・・」" diehardtales.com/n/n9c7bc24551a5 インド人、数学につよすぎる。2は1よりも多い……まさかそんな数式がッ!
埋もれかけてた力石の神様が「やい。そばつぶやい、わしを持ち上げてくれんか」って言うとこから始まって、「不思議なこともあるものだと、みんなは首をひねりました」ってなって、「記事を読んだそばつぶは仰天しました」ってなって、「めでたしめでたし」で締める顛末記が読みたい。
忘れ去られて隅に寄せられてた力石を、力持ちが担いで参道そばに戻したとか、もう民話の趣ですもんねえ……反応が暖かいのも納得。
「百合婚ガンダム」 「機動戦士ウテナ」 「水星たぬき合戦がんだむ」 「花よりガンド」 「ときめきエアリアル」…   みんな大喜利が上手い