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優しくされてこなかった人は、人前で泣けないと言いますよね。「泣いてはいけない」と言い聞かせていたのに、相手が「泣いてもいいんだよ。泣いて楽になろう」と優しく囁いてくるから決意が揺らいで。壊れ物を扱うような手つきで撫でられた瞬間に決壊して涙がこぼれ、「ずるい」としゃくりあげてほしい
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薔薇は贈り物にされる花のため、本数で花言葉が変わるところに惹かれます。7本は「ひそかな愛」ですから、片想いの相手に贈ってほしい。12本は「私の恋人になってください」ですから、告白の甘い言葉に添えてほしい。4本は「一生あなたを愛します」ですから、跪いて永遠を誓ってほしい。夢は広がります
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両思いなんだろうなと知りつつも、まだ恋人になるきっかけがつかめない2人の姿は、もどかしくも初々しくて心惹かれてしまいますよね。目の前にある手に自分の指を絡めていいのか、絡めたらなにか変わるだろうと予感しながらも動けずに、今日も隣に並ぶだけでとどめていたら可愛いです
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「君を好きになれて良かった」と微笑む恋も魅力ですが、「君なんか好きにならなきゃ良かった」と吐き捨てる恋にも仄暗い引力がありますよね。嫌いになる理由ならいくらでもあるのに感情は相手を向いたままで、「そんなこと言うぐらい僕に狂ってくれてありがとう」と返されて、ますます苦しくなれば良い
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唇を触る人は甘えたがりの説がありますが、相手の唇を触る人はさらに甘えたがりの側面が強そうで愛しいですよね。別のことをしている相手にもたれかかって、その無防備な唇をふにといじって「ねぇ」と呟いたらキスをされて「したいならしたいって言ってください」と言われるのでとろけた顔で頷けば素敵
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好き好き大好きと普段から愛を告げる人と、言われても素っ気ない対応をしている人の組み合わせが好きですね。あんまりにも相手の反応が薄いものだから拗ねて「君は一度も好きって言ってくれないんだね。やっぱり僕の片思いなのかな」と言ってみると赤くなり、「…嫌いなわけないだろ」と呟かれてほしい
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普段は苗字で呼び合っている2人が、肌を重ねる時だけ下の名前を使うと色っぽさが引き立ちますよね。相手が口を頑なに結んで声を洩らすのを耐えているから歯痒くて「名前を呼んでよ。下の名前」と唇をなぞれば、相手は熱に浮かされた声で途切れ途切れに、舌に慣れない愛しい人の名を繰り返せば良いです
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汗をかいた肌を、相手に嗅がれてしまう姿は官能的ですね。首筋に鼻を当てられて、「君の匂いがいっぱいする」と潤んだ声を出されて。ますます肌が熱を帯びて「汚いから」と逃げようとしたのにとどめられて、「君の身体に汚いとこなんてないよ」と言われれば、もう身を任せることしか出来なくなれば良い
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相手を大切だと思っているからこそ、自分の中の欲望を否定したくなる人が、いじらしいですね。その美しい姿を美しいまま眺めたいと思いながらも同時に、この手でめちゃくちゃにしてやりたいとの願望が消えなくて。無防備な姿を見てふと浮かんでしまった時は、自分自身が罪人のように感じられたなら良い
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肌を舐める行為は、「自分のフェロモンを身体に付着させる目的で行われる無意識下での独占欲の行為」という説があるそうですね。目の前の相手が自分以外に微笑みかける瞬間を想像するだけで頭がぐらついて、無意識で肌に舌を伸ばして。「自分の痕跡を深く残したい」との本能に素直になってしまえば良い
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それまで自分は恋愛に淡白だと思っていたのに、相手と恋人になってから、離れていると四六時中相手のことを考えているし、一緒にいると矢のように時間は過ぎ去っていくし、会う度「好きだよ」と口にしてしまう自分がいて。「本当の恋をしたことなかったんだな…」と気付いて顔を覆う、遅い初恋が愛しい
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朝が弱い人が、頭が働かないままに相手に甘えている姿が可愛らしいですね。寝起きは受け答えがままならないから、起こされてもボンヤリした顔で相手を見つめるだけで。何を言われても小動物のように、うんうんとただ頷いてしまって。その大人しさに、相手は胸撃ち抜かれていることに気付かなければ良い
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命令するタイプのサディストも良いですが、優美に微笑みながら「どうして欲しいの?」と尋ねて、相手の羞恥心と本音を引きずり出すタイプのサディストも良いですよね。真っ赤な顔で相手が「抱き締めたいです」と答えれば「子供っぽいね」と笑った後「10秒ならいいよ」と腕を伸ばしたりして欲しいです
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一緒にいると胸が騒いで高鳴ってしまう関係も素敵ですが、一緒にいると胸が穏やかに透明になる関係も、特別さを感じますね。「人前だとよく喋るのに、2人きりだとあんまり話さないよね」と指摘されて、「君といると落ち着くから」と返し、「喋らなくても分かり合えるって感じるから」と付け足せば良い
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ベッドの中で囁かれる「やらしいね」の一言が艶めかしい。キスで身体の線が解けて、触れられて赤く色づいて、期待で潤んだ目を向けたら、「やらしいね」と微笑まれて。なにも悪いことはしていないと頭では分かっているのに、自分がイケナイ人間であるかのように感じて、いっそう火がついてしまえば良い
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相手の優しさを「勘違いしてはいけない」と自らに言い聞かせる人が、愛おしいですね。大切にされるたびに意識してしまう自分はいるのに、意識したら後々つらいだけだと思い込んで、「あの人は誰にでも優しいんだ」と小さく言い聞かせて。傷つかないために、自分から甘ったるい希望を捨ててしまえば良い
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ひとに愛されたことがないために、相手から注がれる愛情を「怖い」と感じてしまう人が愛おしいです。期待したら裏切られるだけと思っているから、「好き」と言われると、「嫌い」と言われる日がくるのだと想像してしまって。「嫌いになんてならないよ」の言葉に怖くなって、みっともなく泣いたら良い
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相手の声に恋をするのは甘美ですね。その気じゃなくても、甘く名前を呼ばれると鼓動が早くなって、気付けば「もっと名前呼んで」と縋っていて、繰り返し呼ばれて「好きだよ」とまで言われたらたまらなくて、耳にキスをされたら平常心なんて吹き飛んで、「ベッド行こ?」と自分から誘っていたら良いです
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ココ・シャネルが「口紅は落ちる過程にこそドラマがある」と言ったように、口紅が落ちる理由は色々想像出来て楽しいですよね。キスで落ちるのも、手の甲で乱暴に拭われて落ちるのも、グラスについて落ちるのも、煙草を吸って落ちるのも、相手の服に触れて落ちるのも、どれも秘密めいた美しさがあります
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自分から相手を引き寄せて、腕の中へと閉じ込めながら、「逃げないの?」と尋ねてしまう姿に惹かれます。言われた側は、「こんなこと言うくせに腕の力は緩めないんだからずるいなぁ」と苦笑して、回された腕にそっと手を添えて、「逃げないよ。逃げないために覚悟してきたんだよ」と度胸を見せたら良い
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自分も悪口を言っているのに他人が相手の悪口を言うと怒り出す、相手が褒められていると黙っていられない。一見相手を嫌っているような言動に宿る「俺が一番あいつを知っている。他の人間には口出しさせない」という子供じみた独占欲はいじらしいですし、世界はそれを愛と呼びます
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人前では、頼れる大人として振舞っている人が、恋人の前では弱気な子供の姿になってしまって、甘やかされているのが可愛いです。他人の前では顔色ひとつ変えないのに、恋人には会うなり「疲れた。お願い、ハグして」と甘えきり、ほっと緩んだ顔で「君がいるから強い姿でいられるんだ」とこぼしてほしい
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両思いなんだろうなと思いながらも、まだ行動を起こせない2人の甘酸っぱさは素敵ですよね。2人で並んで歩いている時にふと、目の前にあるこの手を突然掴んでもきっと振り払われはしないんだろうなと考えてしまい、繋ぐかどうか迷って。迷った上で今日も諦めて、「寒いね」とだけ話しかけていれば良い